2016年6月22日更新

【動物法務のプロが解説】ペット可賃貸住宅で犬猫が苦手な人に文句を言われてしまったら…

ペット飼育可の賃貸住宅でも、賃借人のなかには様々な事情からペットを飼育していない方、あるいは、犬猫が苦手な方が入室していることも考えられます。多数の人々が同じ建物で暮らす集合住宅では、ちょっとしたことからトラブルに巻き込まれることもあります。

ペット飼育可の賃貸住宅であっても、犬猫が苦手な人から文句を言われることも起こり得るかもしれません。そういった文句を言われた場合はどのように対処すべきでしょうか? その時に慌てないために参考になる基本的な心構えなどをみていきましょう。

基本的な考え方

SONY DSC
ペット飼育可であっても近隣に迷惑をかけてはいけないということは誰もが持つ共通認識かと思いますが、きちんとルールを守り、まわりに実害が及ばないよう適正に犬や猫を飼育しているのに、価値観や感じ方、飼育方法の認識などの違いから、クレームがつくかもしれません。

このような場合、基本的にはペットを飼育している賃借人に賃貸借契約条項の違反や、社会通念上近隣の迷惑となる行為などがなければ、他室賃借人とのお話しは当該物件賃貸人がするべきでしょう。管理業者がいれば管理業者も交えて話し合いをするようにしましょう。

日頃からの備え

imasia_195365_S
日頃のご近所付き合いやコミュニケーションもとても大事なことです。マンションでペットクラブやペットの会などの組織があるのであれば、相談してみるのもよいでしょう。それと、じっくりと見ることがないという方が多いかと思われますが、賃貸借契約書などの該当する規定を確認しておいたり、飼い主とペットに関係する法規を確認しておいたりすることは、トラブル予防やいざという時の安心材料になるでしょう。

飼い主とペットに関係する法規としては、動物の愛護及び管理に関する法律 (昭和48年10月1日法律第105号)や、同法に基づく「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」(平成14年環境省告示第37号)、各自治体の動物愛護管理関係の条例・規則などに規定があります。いずれもペットを飼うにあたって飼い主が知っておかなければならないことが規定されています。

その他の参考資料

「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」

環境省では、「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」(出典:環境省HP・報道発表資料http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=12244)を策定しています。「住宅密集地」にはマンション等の集合住宅を含んでいます。

このガイドラインは、環境省が「人と犬や猫が調和した快適な居住環境の維持向上、人と犬や猫が共生できる町づくりを図るための基本的な配慮事項等をまとめた」ものとして、平成22年に作成されたもので、HPよりダウンロード(環境省HP「動物愛護と適正な管理」http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/info/index.html)できます。参考になるものですので、一度目を通してみてはいかがでしょうか。

執筆協力:伊藤成規(行政書士 (一社)どうぶつ法務福祉協会・賃貸住宅ペット問題担当アドバイザー)

山口 一哉



(一社)どうぶつ法務福祉協会・代表理事(行政書士)

一般社団法人どうぶつ法務福祉協会・代表理事/行政書士横浜いずみ共同事務所・代表。(一社)ペットライフデザイン協会理事。幼少期に犬を飼っていたことと、捨て猫との暮らしをきっかけに、何か出来ることはないかと模索していたところ、「動物法務」の存在を知り、開業を決意。平成21年行政書士事務所開業、平成23年横浜市に移転。成年後見、遺言、人と動物に関する許認可等各種手続や書類作成の支援が主な業務。平成27年一般社団法人どうぶつ法務福祉協会設立、同代表理事に就任。1級愛玩動物飼養管理士、愛護動物虐待防止管理士、少額短期保険募集人の資格を保有。

一般社団法人どうぶつ法務福祉協会HP
行政書士横浜いずみ共同事務所HP
ブログ

関連記事

【動物法務のプロが解説】犬同士のトラブル・散歩中にほかの犬に咬まれた!

街なかを歩いていると、様々な場所や時間に犬を散歩させている人をよく見かけるようになりました。なかには小型犬から大型犬まで、多頭で一人の方が連れて散歩している姿を目にすることもあります。多くの……

犬の法律

ペットの法律、知ってますか?ペットに関する法律と飼い主の義務・罰則

ペットは法律上では「物品」として扱われていますが、命ある大切な存在であることは人間と変わりません。 昭和48年に施行された動物愛護管理法は動物を虐待から守るための法律でしたが、その後、……

犬の健康と病気

【動物法務のプロが解説】ペット不可の賃貸住宅で犬猫を飼育したらどうなる?

ペットと暮らせる賃貸住宅は、入居者がペットと一緒に暮らしたいとのニーズもあり、増えてきてはいるものの、まだまだ十分な数があるとは言えません。またマンション、アパート等集合住宅では、賃貸借契約……

犬の法律

飼っている犬や猫に自分の財産を残すことはできる?ペットに遺産相続する方法とは?

2011年「世界で最もお金持ちの猫」としてブラッキーという猫がギネスブックに認定されました。 ブラッキーは映画製作者ベン・リー氏が飼っていた猫でしたが、遺言により彼の死後にその財産のす……

犬の幸せ

愛犬家には嬉しい!NYの法案がまもなく実施

世界有数の愛犬国であるアメリカ。 昨年の10月にニューヨークで愛犬家には嬉しいとある法案が可決されました。 どんな法案? 「Dining with Dogs(犬と食事)」というこの……

犬のニュース

【動物法務のプロが解説】犬猫を飼っていることで嫌がらせを受けている…どうすればいい?

ペットブームといわれて久しいところですが、数年以上前と比べて飼い主さんのマナーが向上し、モラルが浸透してきているとは思われます。何より、犬・猫を家族同様に接していることの現われだといえるでし……

犬の法律

無断で飼ったらトラブルになる可能性も!迷子の犬、猫を見つけた時に取るべき行動について

首輪をした犬や猫がウロウロしていたのを偶然に保護。しばらく飼い主らしき人を探したけれど見つからなかった場合、その犬や猫をそのまま自分の家で飼っても良いのでしょうか? 昔はよくあった拾い……

犬の幸せ

【動物法務のプロが解説】犬/猫を放し飼いにしていると…

一昔前まで、犬や猫は当然のように放し飼いでの飼育が行われていることもありました。現在ではほとんどの飼い主が「室内飼育」「管理下に置いた飼育」をしているので、以前ほど放し飼いされているケースは……

犬の法律

「災害時のペット同伴避難所の開設を!」の署名活動をしています

「災害時のペット同伴避難所の開設を!」の署名活動 9月23日(金曜日)に多くの国会議員の前で「ペット同伴避難所の必要性」を講演することになった すごーいでしょ(^○^)何がすごい……

犬のニュース

ペット信託でペットの未来を守ろう!今話題のペット信託情報まとめ

家族の一員である大切なペット、いつまでも一緒にいたい気持ちは誰しも同じだと思いますが、「自分がいなくなってしまったらペットはどうなるだろう…」と不安を感じる方も多いのではないでしょうか? ……

犬の幸せ

【動物法務のプロが解説】ペットを飼っている場合の原状回復ってどこまで?

賃貸住宅でペットを飼っていれば、ペットによる物件への汚れや傷をつけた場合など、退去する時の原状回復が気になる方は多いかと思います。何か特別な注意が必要なの?ペットを飼っている場合の原状回復っ……

犬の法律

【動物法務のプロが解説】ペット可賃貸住宅で犬猫が苦手な人に文句を言われてしまったら…

ペット飼育可の賃貸住宅でも、賃借人のなかには様々な事情からペットを飼育していない方、あるいは、犬猫が苦手な方が入室していることも考えられます。多数の人々が同じ建物で暮らす集合住宅では、ちょっ……

犬の法律

【動物法務のプロが解説】犬の鳴き声がうるさい場合

最近はペットブームということもあり、犬を飼う家が一戸建て・マンションを問わず非常に増えてきました。そうなると必ずといってよいほど出てくる問題の一つが、「犬の鳴き声・騒音」です。犬というのは元……

犬の法律

犬が大好きな人でも意外と知らない?!犬の雑学 5選

飼い主さんなら毎日身近なところにいる家族のような犬ですが、調べてみると意外な事実がたくさんあります。そこで今回は、まだあまり知られていない犬の体の秘密、犬の歴史、ギネスに登録されている犬など……

犬の雑学

【動物法務のプロが解説】犬同士がケンカをしてケガをした/させた

犬は日頃からしつけをしていても、性格や相性の問題というものがどうしてもありますので、散歩ですれ違ってもまったく気にしない場合もあれば、遠くからでも声や姿に反応して興奮状態になる場合もあります……

犬の法律