2016年5月27日更新

【獣医師が解説】人間にとって不快な湿気は犬猫にとっても不快なの?

じめじめした湿気が気になる季節が近づいてきました。日本の梅雨から夏にかけての湿度の高い気候が苦手な人も多いでしょう。それでは、犬や猫にとってもやはり湿気は不快なものでしょうか。高い湿度が体に及ぼす影響にはどのようなものがあるのでしょうか。今回のテーマは、「犬猫も湿気を不快に感じるのか?」そして、「犬猫の湿気対策」です。

犬や猫が快適に感じる湿度と温度とは?

犬_素材dog-1194077_640
一般的には、犬や猫は湿度40〜60%程度、気温22℃前後が快適に感じると言われています。犬に比べると暑さには強い猫でも、高温多湿はやはり不快に感じ、体への負担も大きくなります。湿気を不快に感じたり、多湿が体への負担となったりして、食欲が落ちたり、活動量が落ちたりする犬や猫もいるでしょう。

ただ、快適に感じる湿度や温度は、犬種や猫種、生活している地域の気候や生活環境により異なります。また、個体差もありますので、愛犬や愛猫の様子を見ながら、快適な環境を見極めるようにしてください。

多湿が原因で犬に起こりやすい問題

湿度が高いことは、不快なだけでなく、様々な健康上の問題をもたらします。

皮膚や耳のトラブル


多湿によって細菌やカビが繁殖しやすくなるため、梅雨から夏にかけては、皮膚や耳のトラブルが増加しやすくなります。特に垂れ耳の犬種や、被毛が密で皮膚が蒸れやすい犬種では注意が必要です。治療が難しくなることも少なくないため、湿気対策とともに、定期的な耳掃除やブラッシングといったケアが欠かせません。

熱中症

imasia_11102818_S
犬は人間のように汗をかくことによる体温調節ができません。パンティングといって、呼気から水分を蒸発させること(蒸散作用)によって体温調節を行ないます。湿度が高いと、この蒸散作用が効率よく進まないため、体温調節がうまくできなくなってしまうのです。そのため、湿度が上がると熱中症のリスクが非常に高くなります。

特に、短頭種やダブルコートの犬種は熱中症を起こしやすいため注意してください。また、体温調節機能が十分でない子犬や高齢犬、肥満の犬も熱中症にかかりやすいことが知られています。

熱中症は命に関わる病気です。特に湿度が60%を超えるような時には、特別暑いと感じる日でなくても、必ず湿気対策をするようにしましょう。

多湿が原因で猫に起こりやすい問題

犬と比べると猫は暑さには強いものの、高温に加えて多湿となる環境下では、やはり体への負担は大きく、健康上の問題が起こることがあります。

熱中症


猫も犬と同様に、汗腺が少なく、口や鼻から水分を蒸発させて体温調節をしています。そのため、60%を超えるような特に高い湿度となると、猫も熱中症を起こす可能性があります。

犬や猫が快適に暮らす為の湿気対策


脱走に十分に気をつけながら定期的に風通しをよくして、室内にこもった湿気を逃がすようにしてください。また、ケージや寝床の下にすのこを敷くなどして、風通しをよくすることも効果的です。

エアコンを使うのであれば、28℃程度の高めの温度設定で除湿運転にすることで、愛犬や愛猫の生活環境が冷え過ぎることを防いでください。その際、ペット用のクーリングマットを敷くなどして、愛犬や愛猫が自由に涼める場所を作っておくとよいでしょう。

愛犬や愛猫に留守番をさせるときには特に注意が必要です。

8606063002_c1c8be54f3_z
外の気温がそれほど高くないからと思って油断をしていると、日の当たる、閉めきった室内は、非常に蒸し暑い状態になっていることがあります。留守中に愛犬や愛猫が熱中症を起こさないために、風通しをよくする、直射日光が当たらないようにするなどの対策をしてください。それでも室内が蒸し暑くなる場合には、除湿運転などでエアコンを適切に使用しましょう。

上手に湿気対策をして、元気に快適な夏を迎えましょう


人と同じように、犬や猫にとっても、高温多湿は不快なものですし、体に大きな負担となります。是非、うまく湿気対策をしながら、快適な夏を迎えましょう。特に、命に関わる熱中症は必ず防がなくてはなりません。まだ外の気温がそれほど高くない時期でも油断せずに、しっかりとした対策をとるようにしてください。

ペット生活 獣医師



獣医師

ペット生活編集部の獣医師アカウント。ペットとの暮らしを豊かにするお役立ち情報をお届けします。

関連記事

絶対に防げる犬の熱中症。対策と起きてしまった時の対応。

犬にとっても暑さがこたえる夏。人間が「暑い」と思う環境は、被毛をまとっている犬にとっては「とっても暑い」という環境です。気温があがるとお年寄りや子供の熱中症の事故のニュースも増えてきます。こ……

犬に関する夏の注意

【獣医師監修】夏は外耳炎に要注意!愛犬の耳のチェックをしてみましょう!

暑く、湿気の多い夏になると増える犬の病気の一つが外耳炎です。よく頭を掻いたり、頭をどこかでこすったりしていませんか。これらは犬が耳を痒がる時に見せるサインの一つです。 最近耳のチェック……

犬に関する夏の注意

暑い夏に気をつけたい犬の散歩。熱中症にさせない為に準備したいグッズやお散歩のコース、お散歩の時間

犬の散歩、暑い季節と寒い季節で同じコース、時間に出かけたりしていませんか?散歩は犬にとって楽しいイベントですが、年齢や季節によっては体に負担がかかり、体力消耗や病気の原因になることもあります……

犬に関する夏の注意

【獣医師が解説】犬や猫も日焼けをするの?対策は?

最近はずいぶん日差しが強くなってきましたね。日差しが強くなってくると気になることのひとつといえば、『日焼け』だと思います。人と同じように、犬や猫も日焼けをするのか、気になったことはありません……

犬に関する夏の注意

正しい散歩、できてますか?小型〜大型犬、季節ごとの散歩のルール

愛犬にとってお散歩は運動不足やストレスを解消し、健康的な生活を送るためには不可欠なものです。しかしただ歩けばいいという訳じゃなく、散歩の中できちんと愛犬との関係性を保ってルールを教えていくこ……

犬に関する夏の注意

見た目よりもよく食べる?ヨークシャー・テリアのエサの量について

動く宝石ともいわれる美しい被毛を持つヨークシャー・テリア。気品のある風貌から食事も上品にちょこちょこっと食べるのかな?というイメージがありますね。実は意外と食欲旺盛な犬が多いようなのです。今……

犬に関する冬の注意

夏のお留守番で気を付けること【犬編】

愛犬と一緒に暮らす方にとって、お留守番には様々な不安がつきものです。夏のお留守番となると、さらに心配ごとも増えてしまうものです。注意すべきことをふまえた上で、事前に準備をして、愛犬の体調を崩……

犬に関する夏の注意

【暑さ対策!】愛犬のためのおすすめグッズ 9選

人間と違い、犬は身体に汗腺がほとんどありません。パンティング(ハアハアと口で呼吸する)の気化熱で体温調節をしたりするものの、人と比較すると、熱を外に出す力は非常に弱いものです。 特に夏……

犬に関する夏の注意

【獣医師が解説】ペット向け経口補水液とは?ペット向け経口補水液の使い方と注意点

経口補水液は、開発途上国などで多くのこどもの下痢に対して効果をあげていることで注目され、近年は日本でも脱水状態の治療に利用できる食品として知られてきています。テレビCMや薬局の店頭などで経口……

犬に関する夏の注意

【動物看護師が解説】犬のサマーカットのメリット・デメリット

ジメジメの梅雨が終わると、ついに本格的に暑い夏が来ますね。わたしたちは暑ければ薄着をし、涼むことができますが、犬たちは毛を脱ぐことはできません。ならばいっそのこと、短くカットしてあげようと思……

犬に関する夏の注意

【暑さ対策!】愛犬・愛猫のため、電気不要のひんやりグッズおすすめ10選

とにかく暑い夏!毛皮を着ている動物たちは本当に大変です。放置していると、熱中症などを起こしてしまいますので、涼しくなる工夫をしてあげたいものです。 今回は、お留守番をしている間も安心、……

犬に関する夏の注意

【獣医師が解説!】人間用の日焼け止めなどがついた肌を犬や猫が舐めても大丈夫?

夏の外出時に欠かせないもののひとつが「日焼け止め」ですね。体に日焼け止めを塗ったあと、愛犬や愛猫がそこを舐めてしまったという経験のある人も少なくないのではないでしょうか。犬や猫が人間用の日焼……

犬に関する夏の注意

【虫除け対策!】 安心安全 犬猫の虫除けグッズ10選

もうすぐ夏到来。愛犬・愛猫の虫刺されも気になる季節ですよね。 しかし猫(やその他の肉食動物)は、犬には使用できるエッセンシャルオイルも有害となるという説もあるため、猫の虫除け対策に関し……

【獣医師が解説】熱中症のサインを知っておこう。よく見られる熱中症のサインとは?

暑い日が増えてきましたね。本格的な夏がやってくる前の今の時期から、是非気をつけておきたい病気が「熱中症」です。 熱中症は、時には命に関わることもある恐ろしい病気です。熱中症を起こさない……

犬に関する夏の注意

【獣医師監修】正しい知識を身につけて、猛暑を乗り切ろう!愛犬のための熱中症対策マニュアル

重度になると死に至ることもある熱中症。夏真っ盛りのこの時期、その症状から応急処置、予防策についてあらためておさらいしておきましょう。全身を毛で覆われ、人間と違って汗をかくことで熱を放出するこ……

犬に関する夏の注意