2016年6月10日更新

絶対に防げる犬の熱中症。対策と起きてしまった時の対応。

高橋 佐奈



ドッグケア

ドッグマッサージサロン&School kukulu* 代表。 愛犬をきっかけに犬のホリスティックケアという世界を知り、ドッグマッサージ、犬の介護・リハビリについて学ぶ。 犬の心も身体も「楽」になってほしいという想いで「緩めるドッグマッサージ・犬のエクササイズ・メディカルアロマ」を取り入れたサロンをスタート。 毎日愛犬と過ごすご家族ができるケアをセミナーではお伝えしています。

 

犬にとっても暑さがこたえる夏。人間が「暑い」と思う環境は、被毛をまとっている犬にとっては「とっても暑い」という環境です。気温があがるとお年寄りや子供の熱中症の事故のニュースも増えてきます。これは犬も同じです。熱中症は命を落とす危険もあります。

愛犬の命を守るのはご家族。熱中症は、ご家族が注意をすれば絶対に防げるものです。熱中症にさせないためには何に気をつけるべきなのか。また熱中症になってしまった時にどう対応するか。を知っておきましょう。

 

高湿度にも注意。熱中症とは・・・

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犬は正常な状態の場合、身体は体温が上がり過ぎないよう発汗やパンティング(ハアハアという呼吸)になどによって調整しながら正常な体温を保っています。

気温が高い状態が長く続くと、発汗やパンティングにより水分や塩分が失われていきます。また湿度が高いと汗が蒸発せず体内にこもったままの状態になり、体内の『熱』が放出されなくなってしまいます。

高温多湿の環境に長時間いることにより体温調整機能が乱れ、体内に熱がこもったり、急激に体内の水分・塩分が奪われたりすることが全身に影響を及ぼし、けいれん・吐き気など様々な症状をあらわすのが熱中症です

熱中症の症状

少しでもいつもと違う症状がみられた時は、早急に動物病院へ連れて行きましょう。最悪の場合はショック死してしまうこともあります。

  • 元気がない(ぐったりしている)
  • 荒い呼吸(口を大きく開けていることが多い)
  • 舌の色が赤黒い
  • ふらつきがある
  • 大量のヨダレ
  • 脈拍・心拍数の増加
  • 眼振(眼球が不規則に動く)
  • 嘔吐や下痢、血便
  • けいれん
  • 意識がない

夏だけではない。

夏の時期は特に注意が必要ですが、気温が上がりやすくなる春や梅雨の時期も注意が必要です。朝晩は涼しくても日中の気温が高くなることで発症することも少なくありません。

車に犬だけを置いていくなんて「絶対に」やってはいけないこと

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熱中症は、車内・室内・炎天下どこにいても起こり得ます。「ちょっとお買い物。」といって車内に犬だけを残して車から離れることは絶対にしてはいけません。それは『数分』であったとしてもです。

エンジンをかけたままクーラーをつけているから大丈夫ということも絶対にありません。犬が手をかけてクーラーがOffになることも考えられます。犬の体温は平均39度です。熱中症になる体温は41度以上と言われています。体温が2度あがるだけで熱中症を招くのです。

室内でも注意が必要

室内でも留守番をしている間の室内の温度や湿度も注意が必要です。クーラーや除湿をかけて、室温がなるべく一定に保てる状態で出かけましょう。普段ケージの中など犬が自主的に場所を移動することができない場合は、クーラーの風が直接あたらない場所へ移動させたり、直射日光があたらない環境を作りましょう。

室温:25〜26度 湿度:50〜60% が犬にとって快適な状態です。

室外で飼っている場合

室外で生活をしている犬は、スダレなどを利用して直接日が当たらない環境を作り、十分な水分を準備してあげましょう。太陽は動いています。1日中、日陰がなくならないよう環境作りにも工夫をしましょう。また、小屋の周りに打ち水なども、気温を下げるのに効果的です。

今は犬の熱中症対策の商品がいろいろ出ています。生活している環境にあわせて、その子にあったもので、安全に元気に夏を過ごしましょう。

 

老犬や寝たきりの子はクーラーによる冷えにも注意

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高齢になった犬は特に体温調節が苦手です。寝たきりの犬は自分で場所を移動することができません。クーラーの風が直接当たらないように、犬が寝ている場所を移動させ身体を冷やさないようにする工夫が必要です。

犬が寝ているベッドやケージの周りに凍らせたペットボトルを置くことで気温を下げる効果もあります。徐々に氷が溶けていきますので冷えすぎるということも防ぐことができます。

また高齢の犬は普段から脱水状態になっている場合も少なくありません。普段からこまめに必要な水分量を摂取できるようにしましょう。

涼しくなってからお散歩に

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真夏は早朝や夕方お散歩に行く方も多いはず。特に夕方のお散歩は、人間が涼しいと感じていてもアスファルトの上はまだまだ熱気がこもっています。背丈が道路に近い犬は、その熱気の中を歩くことになります。

アスファルトの上を歩くことが多い場合は、日没後1時間以上経ってからお散歩に出かけるのが理想です。休憩をとりながらこまめに水分補給をしてお散歩をしてあげましょう。

肉球のやけどにも注意

犬が足踏みをしているような状態の時は、肉球が熱い!というサインかもしれません。特にアスファルトやタイルはもちろんですが、日中はビーチなど砂の上もかなりの高温になっていて人間も裸足で歩くのは危険です。

『犬は裸足で歩いている』ということを忘れないでください。

運動不足にも注意

特に夏は、犬と外出する機会も減ります。運動不足にならないよう、室内でできる運動などをとりいれてあげましょう。

海や川にいっしょにお出かけするのも夏の楽しみ。

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熱中症についての注意をいろいろ書きましたが、それでも・・夏だからこそ楽しめる場所もあります!!海や川で泳ぐのは、犬にとっても気持ちがいいです。「夏に出かけるのは危険!」ではなく、しっかりと熱中症にならない対策をとってお出かけを楽しみましょう。

もし犬が熱中症?と思うような症状が見られたらすぐ動物病院へ

とにかく近くの動物病院へ行くようにしましょう。熱中症の症状を発症してから長時間が経過すると、完全な回復が難しくなることがあります。

病院へ到着するまでの間、できるだけ犬の体温を下げながら移動します。犬がぐったり横たわっているような状態の時は、なるべく担架などのようなものに乗せて運ぶようにしてあげましょう。

水を飲むようであれば飲ませる

非常時はスポーツ飲料水などの浸透性のある水分でも大丈夫です。

身体を冷やす

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全身に水をかけたり、濡らした布で腿の付け根(内股)や脇の下などに当て体温を下げます。濡らした布をパタパタと振ると、布の冷たさがより増します。

全身に水をかけられない場合は、濡らした布で全身を覆います。

意識がない場合

体を冷やすことが優先です。体を冷やしながら獣医さんの指示に従い応急処置をしましょう。

覚えておくといいワンポイント!

犬がショック状態など「意識がない」場合、鼻にある 人中(じんちゅう)というツボへ刺激をあたえてみてください。その場にあるもの(鍵やペンや木の枝などなんでもいいです)でツボを強く刺激します。※あくまでも応急処置です。
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場所:犬の鼻の筋(たてのライン)の上から1/3のところ

こんな犬は特に注意

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短頭種の犬

ブルドック・シーズー・パグ・ペキニーズなどのマズルが短い犬は、体の構造上スムーズに呼吸がしづらく、高温多湿であるほど熱の発散効率が悪くなり熱中症になりやすいとされています。

太っている犬

皮下脂肪があるため熱がこもりやすくなります。また心臓へも負担がかかります。特に首まわりの脂肪が気管を圧迫し、呼吸機能が低下させ体温調節が難しくなります。

北方出身(原産)の犬

シベリアンハスキー・セントバーナード・サモエドなどの北方犬種は、寒さから身を守るため生まれつき厚い毛皮を持っており、暑さに弱いとされています。

仔犬、老犬、心臓や呼吸器が弱い犬

体の機能が未発達な仔犬、機能が衰えてきている老犬、また心臓や呼吸機能などに疾患をもっている犬は、健康な成犬よりも体温調節が難しい体内環境にあります。

震災時に増えた熱中症

4月に起きた熊本・大分の震災で、ある動物病院では熱中症で来院した犬が増えました。それは、一緒に避難はしたものの、犬・猫は駐車場や車中で過ごしていたケースが多かったからだそうです。

大きな震災の後は断水していることも多く、身体を冷やすための水も十分に確保できないことも想定されます。震災時は、いつもと違う環境や恐怖・不安などから犬たちは想像以上のストレスを受けています。その影響で体調を崩しやすくなります。

災害の状況にもよりますが、駐車場や車中など熱のこもりやすい場所にいる場合は、頻繁に外の風通しのよい場所で過ごす時間をとるなど、普段以上に気をつけ二次被害を防ぎましょう。避難をした時でも、犬と家族は絶対一緒にいることが大切です。それはお互いを守るためです。

まとめ

留守番をするにしても、一緒にお出かけをするにしても、飼い主さんが正しい知識をもっていれば、熱中症は必ず防げるものです。しっかりと準備をして、愛犬と楽しく夏をすごしてください。