2016年5月30日更新

【獣医師が解説】熱中症のサインを知っておこう。よく見られる熱中症のサインとは?

暑い日が増えてきましたね。本格的な夏がやってくる前の今の時期から、是非気をつけておきたい病気が「熱中症」です。

熱中症は、時には命に関わることもある恐ろしい病気です。熱中症を起こさないように日頃から十分に気をつけておくことはとても大切です。それでも万が一、愛犬が熱中症を起こしたときには、とにかくすぐに処置を行い、愛犬の命を守らなくてはなりません。

熱中症への対応は一刻を争うことも少なくありません。熱中症から愛犬を守るため、熱中症のサインについて知っておきましょう。

熱中症とは…


気温や湿度の高い場所で激しい運動をしたり、長時間直射日光を浴びたりした時や、高温で換気が不十分なところに長時間いたりした時に、体温調節ができなくなることで起こるさまざまな体の障害を総称して、熱中症と呼びます。

汗腺の発達が少ない犬や猫は、人のように汗をかくことによる体温調節はほとんど行なっていません。そのかわりに、冷たい物に直接触れることや、呼吸によって水分を舌から蒸発させたときの気化熱によって体温を調節します。そのため、飼育環境や散歩時の環境によっては、体温調節が難しく、体温があがりすぎることがあります。高体温が犬や猫の体に様々な悪影響を及ぼし、熱中症となるのです。

熱中症を起こしやすい動物は…

素材dog-861141_640
全ての犬や猫が熱中症を起こす可能性があります。

中でも、パグやブルドッグといった短頭種とよばれる犬種、肥満の犬や猫は注意が必要です。さらに、過去に熱中症を起こしたことのある犬や猫は、体温中枢(脳の体温を調節する機能を持つ部位)の機能が低下していることがあるため、熱中症を再度起こしやすい傾向があります。

熱中症のサインとは?


熱中症を起こし始めの時期であれば、息が荒くなったり、あまり動きたがらなくなったりします。すぐに涼しいところへ移動して、水分をしっかりとらせてあげましょう。体が熱いようであれば、速やかに冷やしてあげてください。

熱中症が進行してくると、口を大きくあけて苦しそうな呼吸をはじめ、ぐったりしてきます。よだれが多くなり、口のまわりがよだれでぐっしょりと濡れてしまうほどになることも特徴的です。

また、目や口の中の粘膜の赤みが増して、レンガのような色になってきます。体を触ると、明らかに体温が上昇していることを感じられるでしょう。このような症状が見られる場合には、熱中症がかなり強く疑われます。一刻も早く、体温を低下させる処置が必要です。

やがて、ふらついたり、尿や便の失禁をしてしまったりするようになるほか、震えたりけいれん発作を起こしたりするようになります。さらには、吐血や下血、血尿が見られることもあります。さらに時間が経過すると、 意識がなくなり、呼びかけにも反応しなくなります。体温を低下させる処置に加え、緊急救命措置が必要となりますが、残念ながら死亡してしまうこともあります。

こんな症状にも注意!


熱中症のひとつの症状として、嘔吐や下痢、食欲不振といった消化器症状が見られることもあります。 もちろん、消化器症状の原因は熱中症だけではありませんが、愛犬や愛猫に急な消化器症状が見られ、体温が上昇しているような場合には、熱中症を起こすような要因がなかったか、一度見直してみてください。意識がしっかりとしているならば、水分をしっかりととらせて、体を冷やした上で、必ず動物病院を受診してください。

遅れて起こる症状にも注意!回復したように見えても必ず受診を。

犬_素材dog-852251_640
愛犬や愛猫に熱中症のサインが見られたら、とにかく速やかに涼しい場所に移動して、意識があれば水を飲ませるようにしてください。可能であれば、全身に水をかけるなどして体温を下げましょう。一度回復したように見えても、時間の経過とともに再度状態が悪化する場合もあります

また、熱によりダメージを受けた臓器による影響が、時間が経過してから出てくることもあります。愛犬や愛猫が回復したように見えても、必ず動物病院を受診してください。

熱中症のサインを見逃さず、愛犬の命を守りましょう

素材20160324164658
炎天下での散歩や激しい運動を避ける、自宅での留守番の場合は適切にエアコンを使用する、車内で留守番をさせない、適切に水分補給をする、といったことを守り、まずは熱中症を予防しましょう。それでも愛犬や愛猫が熱中症にかかってしまう場合もあるかもしれません。熱中症のサインを見逃さず、速やかな対処で愛犬・愛猫の命を守りましょう。

ペット生活 獣医師



獣医師

ペット生活編集部の獣医師アカウント。ペットとの暮らしを豊かにするお役立ち情報をお届けします。

関連記事

絶対に防げる犬の熱中症。対策と起きてしまった時の対応。

犬にとっても暑さがこたえる夏。人間が「暑い」と思う環境は、被毛をまとっている犬にとっては「とっても暑い」という環境です。気温があがるとお年寄りや子供の熱中症の事故のニュースも増えてきます。こ……

犬に関する夏の注意

【獣医師監修】夏は外耳炎に要注意!愛犬の耳のチェックをしてみましょう!

暑く、湿気の多い夏になると増える犬の病気の一つが外耳炎です。よく頭を掻いたり、頭をどこかでこすったりしていませんか。これらは犬が耳を痒がる時に見せるサインの一つです。 最近耳のチェック……

犬に関する夏の注意

【獣医師が解説】ペット向け経口補水液とは?ペット向け経口補水液の使い方と注意点

経口補水液は、開発途上国などで多くのこどもの下痢に対して効果をあげていることで注目され、近年は日本でも脱水状態の治療に利用できる食品として知られてきています。テレビCMや薬局の店頭などで経口……

犬に関する夏の注意

【獣医師が解説】犬や猫も日焼けをするの?対策は?

最近はずいぶん日差しが強くなってきましたね。日差しが強くなってくると気になることのひとつといえば、『日焼け』だと思います。人と同じように、犬や猫も日焼けをするのか、気になったことはありません……

犬に関する夏の注意

【動物看護師が解説】犬のサマーカットのメリット・デメリット

ジメジメの梅雨が終わると、ついに本格的に暑い夏が来ますね。わたしたちは暑ければ薄着をし、涼むことができますが、犬たちは毛を脱ぐことはできません。ならばいっそのこと、短くカットしてあげようと思……

犬に関する夏の注意