現代日本のペット事情
人間の子どもの数を、ペットの数が抜いたというニュースが話題になりました。多くのホームセンターでは、ペット用品売り場が以前よりも大きなスペースになり、コンビニでも当たり前のようにペットフードが販売されるようになりました
これは、少子化や核家族化が進み、一世帯あたりの住民が少なくなっていることから、高齢者に限らず、人がペットに癒しを求めていることの表れかもしれません。
また、過去のように家の外で犬や猫を飼う人が減り、室内で飼育する人が増えたことから、犬や猫と人が、より親密な、家族のような関係になっていることも考えられます。
高齢者にこそペット
現代社会では、個人差こそありますが、年齢を増すと共に社会との接点が少なくなる傾向にあります。一人暮らしの高齢者も増え、孤立化する高齢者の増加も社会問題になっています。
社交性のない方でも、犬の散歩や、ペットの話題で、地域との交流が生まれたり、新しい人間関係ができることも多いそうです。犬や猫が代表的ですが、人に懐く、いわゆる愛玩動物といわれるペットは、高齢者に限らず、人の心に癒しを与えてくれます。
お世話をすることは自分の薬になる
人は何かの使命や責任を負っている時に、驚くほどの力を発揮します!人間はもちろんのこと、犬や猫、鳥や魚、他の小動物、花や木など、「自分がいないと困る存在、生きていけない存在」がいるということで、気持ちにハリと生き甲斐ができるのです。
犬や猫は高度な知能を持っているので、飼い主に懐いたり、しぐさや行動で可愛らしい反応をしてくれます。機嫌の悪い時があっても、基本的にはいつでも飼い主のことが大好きで、裏切ることがないところも、人気の理由かもしれませんね。
しかし、良いことばかりではない
ペットを飼うことは、メリットの多い反面、大きな責任を負うことにもなります。
「ペットが重い病気になったらどうしよう…」「自分の身体が悪くなり、散歩やお世話ができなくなったら…」「自分が病気で入院するようなことになったら…」「ペットを最後まで飼育することができるのだろうか…」と、悪いことを考え始めたらキリがありません。しかし、これはなにも高齢者に限ったことではなく、若い人や家族がいる人にもあてはまることなのです。
誰もが100%の責任など持てないことですから、前もった飼育計画と、自分にできる限りの努力があれば、「高齢だからペットは飼えない」などと、諦めることはありません。
具体的になにをすれば良いのか
まずは、飼育計画を持つことです。犬猫の場合で説明をすると、自分が飼育できなくなった時、代わりに飼育してくれる人の確保や、動物関連団体、動物受け入れ施設等に前もって相談をしてみてください。
また、新しくペットを迎え入れるなら、子犬や子猫ではなく、老犬・老猫の里親になるという方法もあります。老犬・老猫は運動量が少なく高齢者向きとも言えます。
フードやペットシーツ、医療費、ペットホテルやペットシッターの利用代金も予算に入れたいところ。犬猫も年齢を重ねると療養食費や医療費が掛かることがありますので、考慮が必要です。
犬猫も長寿になっている
室内飼育でフードも良くなったので、犬猫の寿命がぐっと上がり、20年生きる犬猫も珍しくない時代になりました。高齢者のペットに関しては社会問題にもなっており、高齢者を対象にした新しい各種保険、信託制度も次々と出てきました。問題は高額の費用が掛かることや、システムが難解で、信頼のおける優良事業者選びなど、簡単ではないことです。
しかし、ある程度の経済力(例:厚生年金)と、前持った計画性、愛情を持った高齢者であれば、ペットを飼育することは十分に可能です。
高齢者とペットに幸せな暮らしを
テレビなどのマスコミで報道されている、高齢者のペット多頭飼育崩壊などは、病気を蔓延させたり、無秩序な繁殖をさせたりなど、「ただかわいい・かわいそう」というだけで頭数を増やした、計画性のない一部の高齢者が起こした悲しい事故です。
経済的に余力が少なくても、飼い主と周囲の計画性、努力、愛情でカバーできる部分もありますので、悲惨なニュースだけをみて諦めないでください。
高齢者が安心してペットを飼育できる環境作りは、個人レベルだけではなく、企業や行政、国も参加、協力していく必要性があり、それだけの価値があると思うのです。犬猫は、人間に与えられた最高の伴侶です。