2016年7月1日更新

僕らの居場所は言わにゃいで その5:ちぎれた耳だと思わにゃいで

末吉弦太



写真家

カメラマンとして企業のウェブサイト・広告用の写真を撮影する傍ら、各地を転々としつつ外暮しの猫たちを撮り続ける。 主要機材:PENTAX 645Z、Nikon D5、FUJIFILM X100 撮影場所を公にすることのリスクや問題について警鐘を鳴らすハッシュタグ「#僕らの居場所は言わにゃいで」を使って、猫の居場所をシェアするのではなく、静かに見守る気持ちをシェアしませんか?

 

僕らの居場所は言わにゃいで

ウチの猫、と紹介していいのか迷うところですが、少なくともウチの庭でご飯を食べ、ウチの花壇にウンチをして、ときどきウチの布団で寝ている時点でマイケルはウチの猫と言っても差し支えないのかもしれません。数年前に先代の庭猫と入れ替わるかたちでウチの庭に住み着いた茶トラの男の子であります。

いつ、どこで生まれたかわからないし、どうやって生きてきたのかさえわからない。

とにかく人見知りで警戒心が強く、ナワバリに侵入してきた猫には徹底的に好戦的な、野良っこらしい野良っこですが、どういうワケか自分には懐いており、顔を見ると抱っこをせがんできます。10kg近い巨体を抱き上げると、通りすがりの人が「それ、犬!?」と声をかけてきて、なんだかのどかな世間話が始まるのですが、巨体のマイケルが決まって言われるのは――

「ケンカ強そうな猫ちゃんですね。耳もちぎれてるし」

僕らの居場所は言わにゃいで

皆さんも、こんな風に耳が欠けた猫を見たことがあるのではないでしょうか?

実はこれ、喧嘩でちぎれてしまったものばかりではなく、人間の手によって避妊・去勢手術が施された猫であることの目印だったりします(もちろん、喧嘩でちぎれてる子もいるため一概には言えません)。

自分は「耳カット」と呼んでいますが、カットの形状が桜の花びらに似てることから「さくら耳」と呼ばれたり、そのさくら耳の猫たちを「さくら猫」と呼ぶことも。

僕らの居場所は言わにゃいで

男の子は右耳、女の子は左耳をカットするらしいですが、うちのマイケルは左耳だったりして、その辺はいい加減なのでしょう。ついでにカットの形状も病院によってマチマチなので自分は一律「耳カット」と呼ぶことにしています。

そもそも、なぜ手術をしたら印をつける必要があるのか?

様々な説がありますけれども、一番納得できる説としては「既に避妊済の猫を間違えて、もういっぺん手術することがないように」というものです。男の子の猫はお尻を見れば手術済かそうでないかわかりますが、女の子の猫は目視だとわかりにくい上に、麻酔&開腹手術になるため身体への負担が大きい。

「お腹を開けたら手術済でしたとさ!チャンチャン!」

ちっとも笑えませんよね。

僕らの居場所は言わにゃいで

これからは、街中で見かけた猫の耳が欠けていたら。

喧嘩でちぎれた耳だと思わにゃいで。

欠けた耳は、その猫が人と何かしらの関わりを持っていることを教えてくれています。

そこには猫の暮らしと、人間の暮らしがある。

猫たちの居場所を明かしてしまうことは、その場所で静かに暮らす猫と人間の暮らしを、彼らの望まぬかたちで賑やかにしてしまうかもしれない。そんな可能性について想いを巡らせて「僕らの居場所は言わにゃいで」の言葉を思い出してください。

・・・というところで、次回はただ通りすがりの猫を撮るだけでない、一歩踏み込んだ写真の楽しみ方についてお話させていただければと思います。

それでわ、また。

★撮影方法や外猫との接し方など写真にまつわるご質問を募集中です!場所の情報以外は何でもざっくばらんにお答えいたしますので、どしどしお寄せください。