2016年6月9日更新

【動物看護士が解説】術後や傷の治療中に役立つ?犬のエリザベスカラーと術後服

突然ですが、エリザベスカラーというものはご存知ですか?エリマキトカゲのような、首に付けるものですが、見た目は少し窮屈そうで可哀想に見えてしまうこともありますよね。しかし、エリザベスカラーには様々な役割があり、時に愛犬の強い味方になってくれるものなのです。

なぜエリザベスカラーが必要なの?

エリザベスカラーには(以下、カラー)、傷の保護や病気の予防、病気の悪化などを防ぐ役割があります。
とは言っても、実際にどんな風に役立つのかいまいちわかりませんよね?カラーが役立つ具体例をご紹介します。

避妊、去勢手術のあと

健康であっても、避妊、去勢手術は大部分の犬が受ける手術です。カラーが役立つのは手術後の傷の管理です。

皮膚を切って生殖器を摘出していますから、皮膚を縫うために糸がかけてありますよね。絆創膏などの保護をして返してくれる動物病院も多くありますが、大抵の犬は舐めてすぐ引き剥がしてしまいます。絆創膏だけならまだしも、傷までもしつこく舐めてしまい、感染症を起こしたり、ひどい場合は糸を歯で切ったり、皮膚を開いてしまうこともあります。

ここで役に立つのがカラーです。
カラーをしていれば傷を舐めることが出来ないので、傷を清潔に保ち、糸を切ってしまったり、皮膚を開いてしまう危険もありません。

病気の治療中

カラーは手術のあとだけではなく、怪我などの治療中にも役立ちます。目や耳、足先やお尻など、怪我やちょっとした病気の治療をしなくてはならないこともありますよね。

例えば、お散歩中に草や木の枝などで目を怪我してしまった。動物病院で目薬を処方されて、極力目を掻いたり、床にすりつけたりしないで、と言われたけれど、気にして頻繁に目をこすっている。

耳に垢が溜まって炎症を起こしてしまって、やめさせても頻繁に耳を掻いてしまっている。そのせいで耳に傷が出来てしまう。
手足の先の皮膚が痒くて、暇さえあれば舐めてしまう。

などの場合、カラーをすると、目や耳などに手足が届くこともありませんし、口が足先に届くこともないので、きちんと治療に集中することが出来ます。治療中に悪化させるような行為を防げるので、治療期間も短く済ませることができます。

カラーにはデメリットもある?

カラーの役割についてお話しましたが、便利に思えるカラーにもデメリットがあります。

慣れるまで、ストレスになる

犬_ビーグル_素材
通常付いていないものが、首に付いていますから違和感で動かなくなってしまう犬も多くいます。

ちょっとしたカラーの重さや、視界に邪魔が入ることでかなりのストレスを感じ、排泄をしなくなったり、食事を摂らなくなったりする犬もいます。歩くときも、カラーと床が擦れて首に負荷がかかり、むせてしまうこともあります。

多くの犬は2、3日経てば慣れてきて、身体の一部として受け入れ、通常の生活に戻ることができますが、神経質な子だと慣れるのが難しいこともあります。

サイズが合わないと意味がない

これは動物病院側の判断力に任せるしかありませんが、鼻の長い犬種や胴の長い犬種、それぞれにきちんと適応するサイズでないと、保護したいところが保護できていなかったり、保護したい部分をカラーの端で傷つけてしまったりします。

付け始めの慣れない時は大丈夫でも、慣れてくると扱いがうまくなり、上手にカラーを避けて舐めたり噛んだりするようになることもあるので、普段の生活の中にきちんと目的に合った使い方が出来ているかよく観察しましょう。

もしも、付けている意味がなくなってしまうようであれば、飼い主さんの判断で勝手に外すのではなく、必ず動物病院に連絡し、改善策を教えてもらいましょう

毛が薄くなることがある

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首輪と同じで、首に常にカラーをつけていると、こすれて毛が切れたり、抜けたりして、首回りがハゲてしまうことがあります。
また、カラーをしたまま食事をしたりすると、カスや水分がカラーを流れて首にたまり、皮膚炎を起こしたり、毛玉が出来たりすることもあります。

飼い主さんが常に見ていられる時間は、カラーを外す、食事の時はカラーを外すなどの工夫をすればこのようなことが起こることはまずないでしょう。

もともと毛が薄くて、皮膚にカラーがこすれやすい場合や、クッション代わりになるものを巻くなどして皮膚を保護してあげましょう。ただし、素人判断で首に巻くと、誤食や窒息の原因になりますので、動物病院に相談するのがよいでしょう。

留守番中、水やご飯は食べられる?

食事の際は、飼い主さんが必ず側にいて、カラーを外して食べさせるのが1番なのですが、留守番中や見ていられない時は、いつもよりお皿を高い位置に置くようにしてあげてください。

カラーが床に着くと、首でひっかかってそれ以上前へ出られなくなるので、お皿に口が届かなくなってしまいます。お皿を少し高くしてあげれば、カラーが床についても口が届くので、お皿の下に底面を合わせるように食器を裏返して置いてあげると、高さが出て、かつカラーも当たらずに邪魔にならないのでオススメです。

カラーが付けられなかったら?

神経質な子や、カラーを付けていてもあまり意味を成さない場合は、術後服やネットを巻く方法もあります。

普段から洋服が着慣れている犬は、術後服を着せてもあまり気にしないので、ストレスが少なく、オススメです。普段から洋服に慣れていない犬は、気にして裾を噛んだり、破こうとしたり、動きがぎこちなくなってしまうことがあります。カラーと同じく、2、3日経てば慣れてよくなることが多いですが、しつこく噛んだり破ったりすると誤食にも繋がりますので、この場合はカラーに慣れてもらうのが良いでしょう。

カラーもだめ、術後服もだめ、という場合は両方やってみるか、ストレスが軽そうな方を、飼い主さんが犬から目を離すときだけ我慢してもらうのが良いでしょう。

上手に付き合って

カラーや術後服が可哀想に見えて、動物病院で指示されても結局付けていない、という飼い主さんが稀にいますが、そのせいで傷が悪化したり、治療が長引いたりするケースが多くあります。可哀想に見えても、慣れてしまえば犬はあまり気にしません。

常につけていなくてはいけないわけではないので、術後や治療中は飼い主さんも犬もぐっと我慢して完治するまでカラーとうまく付き合っていきましょう。

ストレスが心配な場合は、飼い主さんが見ていられる時間は外して遊んであげるなどして発散させてあげましょう。

Neige



動物看護士/トリマー

現役動物看護師・兼トリマー。 生涯学習、駆け足で前に進む医療にマイペースに追いかける毎日。 犬猫に関する色々なことをわかりやすくお伝えします。

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