2016年7月29日更新

【獣医師が解説】生後間もない猫を保護をしたら

生後間もない猫を保護したときに、最初にしなくてはならないこととは、どのようなことでしょうか。子猫が元気に鳴いている場合もあれば、ぐったりしている場合もあるでしょう。いずれにしても、生まれて間もない子猫が、自力で生きていくことはとても難しいことです。ここでは、保護した子猫のために、まずはじめにしてあげたいことを紹介します。

保温がとにかく大切です

生まれて間もない子猫は、自力で体温維持ができません。そのため、子猫を保護したら、まず保温をしてください。特に、子猫の体を触って冷たく感じる場合には、体温が下がっていて危険な状態です。すぐに暖めてあげてください。

保温のしかた

発砲スチロールなどの箱の底にタオルを敷き、その上にペットヒーターや電気あんか、湯たんぽなどを設置します。湯たんぽは、お湯を入れたペットボトルでも構いませんが、熱湯は使用しないでください。また、お湯が冷めると、冷たくなりますので、定期的に温度を確認して、冷めてきたら交換する必要があります。温度調節ができるヒーターであれば、母猫の体温に近い38℃くらいに設定しましょう。時々タオルの上から実際に触ってみて、熱くなりすぎていないか確認してください。

子猫を入れる箱は、子猫が自分で移動して温度調節ができるように、保温器具が床面積の半分くらいを占めるようなサイズがよいでしょう。さらに上からタオルを敷いてフワフワにしてあげ、保温器具が直接子猫に接触しないようにしてください。

子猫を入れた箱は、直射日光があたらない場所に置いてください。また、箱そのものが落下してしまったり、子猫の入った箱の上に室内のものが落下してきたりすることがないように、安全な場所に置きましょう。

ヒーターや湯たんぽが用意できない場合は、発砲スチロールの箱の中にフワフワのタオルを敷き、子猫を入れてあげてください。冬場であれば室温を25〜30℃くらいに設定しましょう。このとき、暖房の風が直接当たらないように気をつけてください。使い捨てカイロは熱くなりすぎることがあるので、使わないでください。

すみやかに動物病院を受診しましょう

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子猫の日齢と健康状態を把握し、必要な処置を受けるために、子猫を保護したらできるだけ早く動物病院を受診してください。可能であれば保護したその足で動物病院へ向かいましょう。診察を受けた上で、世話をするにあたっての指導を受けておくと安心です。

すぐに受診できない時には…

すぐに動物病院を受診できない場合は、子猫の日齢と健康状態をある程度自分で把握し、授乳や排泄の介助をする必要があります。どうしてもすぐに動物病院を受診できない場合のため、日齢の推定と健康状態の把握のポイント、 授乳や排泄の方法を知っておきましょう。

日齢の推定

母猫が育児放棄をしていたり、何らかの事情で捨てられたりした子猫の場合、放置されていた時間によって、体重や発育状況に差がでます。そのため、子猫の日齢を正確に推定することは簡単ではありませんが、子猫の健康状態を考慮しながら、おおまかにでも日齢を把握しておきましょう。

体重から推定する方法

生まれたばかりの子猫の体重は90〜110gです。出生の翌日は、ほとんど体重は増えません。その後、健康状態に問題がなければ、生後1ヶ月くらいまで、一日に約10gずつ増加するはずです。保護した子猫の体重を測ることで、出生からのおおよその日数がわかります。

発育状況から推定する方法

子猫の発育状況からも日齢が推定できます。 日齢を推定するときには、体重とあわせて発育状況も参考にしましょう。

発育のおよその目安は次のとおりです。
生後4日目頃にへその緒がとれます。また、生後1週間ほどで目や耳の穴が開き始めます。さらに、生後2週間くらいでよちよちと歩き始めます。生後3〜4週目頃には、まず上下の前歯が、次に犬歯が生え始めます。

子猫の健康状態の把握

子猫を保護したら、保護した子猫の命が危険にさらされてはいないかを判断しなくてはなりません。子猫の健康状態を把握するためには、子猫の体温と、皮膚の色、子猫の動きをよく観察してください。

子猫の体温は、生後30 日齢までは35〜36℃です。体を触って人間と同じくらいだと感じればほぼ正常と考えられます。また、健康な子猫であれば、口の中の粘膜の色や皮膚の色がピンク色で、母猫の乳首を探してもぞもぞとよく動きます。

一方、体を触って冷たく感じたり、粘膜や皮膚の色が紫色がかっていたり、あまり動かなかったりする場合には、全身状態が低下している可能性があります。保温した上で、できるだけ早く動物病院を受診してください。

授乳のしかた

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必ず子猫の身体を暖めてから、スポイトなどで少しずつ、温めた子猫用のミルクを飲ませてください。 子猫専用のミルクが手に入らなければ、取り急ぎ、ラクトースが分解されている人間用の牛乳をスーパーマーケットなどで購入して与えてください。授乳の詳しい方法については別記事を参考にしてください。

【獣医師が解説】子猫の授乳をする時の注意点

排泄のさせかた

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子猫は生後21日くらいまでは自力で排泄できません。 排尿の介助をする時は、子猫をうつぶせにし、体温くらいの温度のお湯で湿らせたコットンで肛門のすぐ下の尿道をやさしく刺激してください。すると、すぐに排尿をはじめるはずです。同様に、肛門をやさしく刺激すれば排便することもあります。排泄の詳しい方法については別記事を参考にしてください。

【獣医師が解説】子猫に必要な世話のひとつ、排泄の介助

子猫を保護したら、とにかく保温して動物病院へ

生後間もない子猫を保護したら、まずはとにかく暖めてあげてください。あまり動かなかった子猫でも、保温してあげると少し動けるようになることもあります。そして、できるだけその足で動物病院に向かってください。身体が汚れていたり、ノミがついていたりするからといって、慌ててシャンプーをしてはいけません。子猫の体温が下がって危険です。必ず動物病院で適切な処置を受けましょう。

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