2016年7月30日更新

【獣医師が解説】子猫を保護した時の注意1 先住の犬や猫がいる場合の注意

「子猫を保護したものの自宅にはすでに犬や猫がいる」という場合、保護した子猫から先住の犬や猫への感染症や、先住の犬や猫と保護した子猫がうまくやっていけるかなどの心配事があることでしょう。今回は子猫を保護した家庭に先住の犬や猫がいる場合の注意についてです。

子猫を不用意に先住の犬や猫に会わせないでください

素材_shutterstock_61925275

子猫を保護して自宅に連れて帰ってすぐに先住の犬や猫に会わせることは、絶対にしないでください。当分の間は別室に隔離しておいたほうがよいでしょう。それが難しくても、先住の犬や猫が自由に子猫の箱に近づけるような環境にはしないでください。ベッドはもちろん、タオルや食器なども先住の犬や猫と保護した子猫は別のものを使ってください。

これは、保護した子猫は、ノミやマダニ、その他の寄生虫や何らかの病原体を保有している可能性があるためです。また、子猫にとって、体の大きな犬や猫に突然近づかれることはストレスになることも理由のひとつです。

ノミ・マダニ対策の大切さ

ノミやマダニが子猫に寄生することの問題は、皮膚トラブルや貧血だけではありません。ノミやマダニは寄生虫やその他の伝染病を媒介していることがあるのです。さらに、ノミやマダニは、飼い主や先住の犬や猫の健康に害を及ぼす恐れがあります。そのため、保護した子猫のノミ、マダニの駆除や先住の犬や猫のノミ・マダニ対策は徹底して行なわなくてはなりません。

ノミは動物の体表に寄生して吸血します。ノミとりくしで毛をすいたときに茶色いノミのふんが見つかったら、成虫がみつからなかったとしてもノミが寄生しています。子猫がノミに刺されると激しい痒みを起こします。また、ノミが媒介する消化管内寄生虫に感染する可能性があります。さらに、ノミが人や犬を刺すことで、人や犬も激しい痒みを起こします 。

一方、マダニも猫に寄生して吸血します。マダニが吸血すると、アレルギーや皮膚の損傷、さらに細菌感染による皮膚炎を起こします。子猫であれば多量に吸血されることによる貧血が問題になることもあります。さらに、猫のヘモバルトネラ症、犬のバベシア症など、マダニが媒介する疾患の中には命に関わるものもあります。また、マダニの人への感染は、人にも様々な病気をもたらすことも知られています。

ノミやマダニを見かけたら

ノミやダニを発見しても、あわてて子猫をシャンプーしたり、ノミを手で潰したり、マダニを手で引きはがそうとしたりしないでください。必ず動物病院で処置を受けましょう。

また、部屋の中を徹底的に掃除しましょう。ノミは簡単に箱の中から飛び出します。子猫自身についたノミを駆除すると同時に、しっかりと掃除機で掃除をし、できれば子猫の箱やベッドは新しいものに取り替えましょう。

先住の犬や猫のノミ・マダニ対策の徹底を

保護した子猫の体にノミやマダニが寄生していることはよくあることです。子猫を保護したらまず、先住の犬や猫のノミやマダニ対策がきちんとできているか確認してください。きちんとした対策ができていない場合は、先住の犬や猫へのノミ・マダニ対策を行ってください。確実な効果を得るためには、動物病院で処方されるノミ・マダニ対策薬が欠かせません。

先住の猫の予防接種の必要性

素材_shutterstock_160843634
先住の猫がいる場合には、ノミ・マダニ対策と同様に、予防接種についても確認しておくべきです。
保護した子猫は、いわゆる「猫風邪」を起こすウイルスのほか、猫免疫不全ウイルス、猫白血病ウイルスなど、さまざまな病原体を保有している可能性があります。中でも、いわゆる「猫風邪」を起こすウイルスの中には、予防接種が効果的なものがあります。予防接種は感染を防いだり、発症を100%防いだりするものではありませんが、重症化を防ぐことが期待できます。先住の猫が予防接種を受けていないようならば、きちんと受けておくようにしましょう。接種する必要のある予防接種の種類については、地域や環境によっても異なりますので、動物病院で相談してください。

先住の犬や猫に子猫を会わせるときは

素材_shutterstock_148362650

先住の犬や猫に会わせるタイミング

子猫が新しい環境に慣れて落ち着いてきたら、少しずつ先住の犬や猫に会わせましょう。もちろん、ノミ・マダニ対策がきちんと済んでいて、その他の感染症についても問題がないことが確認されてから会わせる必要があります。この点については、動物病院で相談しておくと安心です。

安全な会わせかた

先住の犬や猫が単頭飼育の場合、新たに子猫を迎えることが先住の犬や猫にとって大きなストレスになり、保護した子猫に対して攻撃的になるかもしれません。一方、子猫にとって、体の大きな犬や猫は恐怖の対象となる可能性があります。しかし、生後3〜9週齢は、子猫にとって社会化の時期にあたります。先住の犬や猫とのコミュニケーションは社会化の良い機会ですので、是非うまく慣らせてあげたいものです。

最初は短時間、子猫が安全にいられる距離を保ちながら、お互いの姿を見せてあげる程度に会わせてみてください。日を追うごとに少しずつ時間と回数を増やし、子猫と先住の犬や猫との距離を縮めていきましょう。いずれかがストレスを感じていたり、嫌がったりする時は無理をしないでください。あせらず気長に慣らしていってくださいね。子猫の社会化がうまくいくことで、子猫は家族の中で穏やかに暮らせるように成長するはずです。

子猫を新たな家族の一員として上手に迎え入れましょう

先住の犬や猫がいる場合には、先住の犬や猫の心身の健康と保護した子猫の安全を守るように十分配慮することが大切です。子猫にかかりきりになってしまって、先住の犬や猫が嫉妬してしまうようなことがないよう、先住の犬や猫への気配りも忘れないでください。そのうえで、子猫が家族の一員として先住の犬や猫と仲良くなれるような手助けをしてあげてくださいね。

ペット生活 獣医師



獣医師

ペット生活編集部の獣医師アカウント。ペットとの暮らしを豊かにするお役立ち情報をお届けします。

関連記事

【動物看護士が解説】困ったあの症状に役立つのは、薬じゃなく食事?

病気というほどではないけれど、気温の変化でお腹の調子を崩したり、猫であればお腹に毛玉が溜まってしまったり。避妊去勢手術をしたら、丸々と太ってしまった、なんてことありませんか?もしかしたら、食……

感受性強し!!レークランド・テリアの里親になる方法と里親を探す方法

そこまでペットとしての人気は高くないものの、その洗練された外観とテクニックでドッグショーでは際立つ才能を発揮し、注目される犬種です。小柄ですが、みるからに頑丈そうな体格をしており、山岳地帯の……

犬が首をかしげる!?犬の行動とその理由について

自宅で犬を飼っていたり、外で歩いている犬を見かけたりする時に「あれ?なんであんな行動をしているのだろう?」と、私たち人間にとっては理解できない、あるいは理解しがたい行動を見る事はありませんか……

『保護犬専用ブース』を設け里親探しも行う新しい形のペットショップ。

『P’s-first』というペットショップをご存知でしょうか? ペッツファースト株式会社が運営しているペットショップで、従来のペットショップとは少し違った取り組みをしています。 『ペット……

【獣医師監修】犬のジステンパー〜原因・症状と対策

ニホンオオカミの絶滅理由にもなったとされる犬ジステンパーは、犬ばかりだけでなく、多くの動物にとって感染の危険性がある感染症でもあります。また、死亡率も高いため、まずは感染させない為にも、ワク……

足先を過剰に舐めていたら注意! 獣医師に聞く、犬が見せるストレスフルのサイン

ひとり暮らしの人に、自宅で留守番中のペットをチェックするスマホアプリが人気と聞きます。「屋内での終日の留守番のストレスが原因で脱毛や体調不良、自傷行為などを起こし病院に来るケースがあります」……

獣医師が教える! 犬の便から健康・不調のサインを読み取るコツ

犬を飼っていると、日々、便を目にしますが、その色や状態からおなかの調子や健康状態を見分けることができればペットの病気の早期発見につながることもあります。そこで今回は獣医師で、もも動物病院(埼……

ペットロスになった飼い主さんを救う。『虹の橋』の物語とは…?

画像出典:PR TIMES 世界中で語り継がれている【虹の橋】というお話を知っていますか? 原作者不詳のまま世界中に広まり、様々な言語に翻訳され世界各国の人々をペットロスから救っ……

猫のニュース

ギネスブックに載った犬達 世界記録をもつ犬を一挙ご紹介!

世界中で記録されるさまざまな世界一を認定しているギネスブック。人間だけでなく動物達が達成した記録も認定されています。もちろん犬の世界一記録もさまざま。誰が考えたのかと思うような面白い記録もあ……

犬の雑学

【動物看護士が解説】飼い主必見!老犬介護に大切なポイントをお教えします。

昔は体力が有り余っていたずらばかりだった愛犬もついに老犬の仲間入り…。もしも、愛犬が寝たきりになってしまったらどうすれば良いのかわからないあなた。愛犬と楽しく、幸せに余生を過ごしてあげるため……

トラブルを避ける工夫が必要! 獣医師が教える、犬とネコを一緒に飼うときのコツ

犬と猫はあまり仲が良くないイメージがありますが、家族の中で犬派と猫派がわかれていて両方を飼いたい家庭が増えていると言います。「犬と猫は、種が異なる動物です。同居させるには、それぞれの習性を理……

【動物看護士直伝】子犬のシャンプーはいつから?シャンプーを嫌いにさせないコツは?

犬にとってシャンプーは、一生つきまとうケアの一つです。子犬の時期にシャンプーを嫌いにさせてしまうと、成犬になっても嫌がり、手に負えなくなってしまうことがあります。 シャンプー=楽しいこ……

ペットは夫婦の関係に良い影響を及ぼす?犬&猫の飼い主に聞いたペットの存在感

ペットに関するさまざまなリサーチで知られるアイペット損害保険が、2015年11月22日(いい夫婦の日)に向けて行ったのが「夫婦の絆にペットがどのような影響をもたらしているか」の調査。犬、猫の……

犬のニュース

大切なペットと『ちがう時間の流れ』で生きていることを感じられる定規。

大人になって様々なことが理解できるようになると、一緒に生活しているペットたちが自分と『ちがう時間の流れ』で生きていることが分かります。犬はだいたい15歳、猫はだいたい20歳が寿命だと言われて……

犬を飼いたい!でもその前に自分自身が本当に犬を飼えるのか考えてみませんか?

「仕事で日中は留守にしているけれど、犬を飼いたい」と考えている人はいませんか?犬を飼うことは生活に楽しみや潤いをもたらしてくれますが、とても大きな責任と覚悟を必要とします。安易な気持ちで飼い……