2016年7月8日更新

【動物看護師が解説!】猫同士が遊んでいてケガ!応急処置とその後のケア

猫を多頭飼いしている御宅や、外への行き来を許している御宅は、今までにいつの間にか猫が怪我をしていたという経験が、一度はあるのではないでしょうか。ほんの小さな傷だったのに、いつの間にか膿を持って大きくなってしまったり、怪我がきっかけで風邪をひいたような症状が現れたり。猫の怪我は、意外と危険なことが多いのです。

なぜ、小さな怪我でも危険?

これは特に外と家とを行き来をしている猫にとって危険と言えます。外へ出ているということは、野良猫との接触の可能性がかなり高く、感染症をもらう可能性が高いということになります

野良猫のほとんどがワクチン未接種で、縄張り争いは日常茶飯事なので、かなり高い確率で何かしらの感染症を持っています。そんな野良猫と争って怪我をしたとすると、その傷にウイルスや菌が付着し感染を起こし、膿を溜めたり、全身症状が現れてくるのです。

多頭飼いの場合であっても、野良猫との接触がなくてもウイルスや菌をノミやダニが媒介するものもあり、知らず知らずのうちに保菌している可能性があります。一頭が感染していて歯や爪に菌がいれば、他の猫と喧嘩をして傷付けると、感染していなかった猫に移ることになります。

人間に感染することも

人獣共通感染症といって、猫から人間へ感染することもあります。猫ひっかき病が一番有名な人獣共通感染症でしょう。

ひっかいた傷から菌が入り、一番近いリンパ節が腫れ、全身に回っていくものです。発熱や倦怠感、痛みを引き起こし、多くは自然治癒しますが重症化するケースもあります。

感染が確定したわけではない

とはいえ、傷を負ったからといって100%感染したわけではありません。ただの引っかき傷で自然に治っていくこともあります。大切なのは、きちんと経過を観察することです。

多頭飼いの猫同士の喧嘩であっても、野良猫とも喧嘩であっても、怪我をした後の様子をきちんと観察し、異常を察知することが一番大切です。

なんらかのウイルスや菌をもらった場合、傷自体が化膿したり、赤く腫れ上がったり、水ぶくれのようになったりします。傷自体に問題がなくても、歯の付け根(歯肉)が赤く腫れていたり、目ヤニ、鼻水が出たり、くしゃみ、咳、食欲低下などの症状が見られたら、感染を疑いかかりつけの動物病院で診てもらいましょう。

怪我の応急処置方法

出血が多かったり、明らかに傷が深い、大きい場合はすぐに動物病院にかかる必要がありますが、ちょっとした傷であれば自宅で様子を見て構いません。

まずは傷やその周辺を洗い、清潔にし、出血が少ない量で続くようであればコットンやティッシュで圧迫止血をしましょう。止まったかどうか確認するときに、勢いよく抑えたコットンなどを剥がしてしまうと、せっかくできた血の塊が剥がれて出血が再開してしまうことがありますので、確認する際はゆっくり優しく剥がすようにしてください。

消毒液をつける必要はありません。清潔にすれば二次感染は防ぐことができます。どうしても消毒しないと不安であれば、うがい用のイソジンで消毒しましょう。マキロンなどの人間用の消毒液は絶対に使わないでください。また、絆創膏などの保護をする必要もありません。

傷が小さくても安心しないこと

上記にも示しましたが、たとえ小さな傷であっても翌日からの観察を怠らないで下さい。怪我=感染、ではありませんが、かといって感染の確率が低いわけではないことは頭に入れておいてください。

実際に、胸に小さな噛み傷が2つ付いているだけで出血もなく様子を見ていたところ、傷口が胸腔にまで達していて、感染を起こし胸に膿がたまって呼吸困難になってしまったという症例もあります。猫の歯は鋭くて細いので、深くまで突き刺さります。

何度も言うようですが、小さな傷であっても体調の変化、食欲などの全身状態をよく観察するようにしてください

心配であれば病院へ

たとえ小さな傷でも、感染が心配だったり、このまま様子を見ていいのか不安であれば、かかりつけの動物病院へ連れて行きましょう。

状態によって、傷口を洗ったり、消毒をしたり、感染を抑える薬などを処方してくれますので大事にならずに済みます。判断に迷いが生じるようであれば、動物病院に行くのか安心ですよ。

Neige



動物看護士/トリマー

現役動物看護師・兼トリマー。 生涯学習、駆け足で前に進む医療にマイペースに追いかける毎日。 犬猫に関する色々なことをわかりやすくお伝えします。

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