2016年7月20日更新

【動物看護師が解説!】意外と知らない自宅トリミングの落とし穴

定期的に必要になる、愛犬のトリミング。回数は多いし、金額も高く、自分の家で出来たらお金がかからなくて良いのにと思っている飼い主さんも多いことでしょう。

最近では動画サイトなどで、自宅でのトリミング法を紹介しているところもあり「このくらいなら…」とやってみたら怪我をさせてしまった!と焦って動物病院へ駆け込む飼い主さんも少なくはないのです。あなたも愛犬を危険に晒してはいませんか?

プロは様々な危険を知っている

トリマーや動物病院でのトリミングを担当する動物看護師は、トリミングをする際にかなりたくさんのポイントを、きちんと確認しながら作業をしています。そうしなければ、お預かりした大切なお客様の犬を怪我をさせてしまうからです。流れるように、簡単に作業しているように見えても、様々な所に気を遣っているのです。

急に犬が振り向いてハサミの刃先が目や顔、口に当たらないか、動いて皮膚を切ってしまわないか、ブラシで皮膚を引っ張っていないか、傷付けてはいないか。ガラス張りの場所でトリミングをする時は、ガラスの向こうにも気を使い、飼い主さんが見えた途端動き出してトリミングテーブルから落ちないか、車や自転車が通って急に興奮しないか、など、ありとあらゆる可能性を先読みしながら、怪我をさせないように気を付けて作業をしています。

これができるからこそ、怪我をさせずにトリミングを終了させ、お客様に無事にお返しすることができるのです。反対に、これができなければ怪我をさせる可能性が高いということです。

いつもやっているから大丈夫

「いつもやっているから大丈夫。」
これが、自宅でトリミングを行っている飼い主さんからよく聞く言葉です。確かに今まで怪我をさせることがなかったとしても、これから先も絶対に怪我をさせることがないと言い切れるでしょうか?

実際にこう言っていた飼い主さんが、怪我をした愛犬を連れて動物病院に駆け込んでくるのはよくあるケースです。

どんなことで怪我をさせてしまう?

毛玉を取ろうと思ったら…

一番多いのがこの失敗です。

体にできた毛玉に気付き、クシではとかしきれないのでハサミで除去しようとしたところ皮膚ごと一緒に切ってしまったという事故です。皮膚を一緒に切ってしまわぬように毛玉をきちんと引っ張り出して切ったのに、とおっしゃられることもありますが、毛玉が大きく皮膚にへばりつくような形でできていると引っ張っても皮膚が伸びるだけで、毛玉も皮膚の間には空間はできないのです

また、多くの人はハサミの根元で物を切ろうとするのでかなりの力がかかり、皮膚が深くえぐられてしまうことも少なくはありません。何針も縫う処置をしたり、傷が治るまでエリザベスカラーが必須になったりと愛犬にかかる負担は多大です。

毛を刈ろうと思ったら…

夏に多いのが毛刈りに伴う事故です。

自宅で使えるような小型で持ちやすいバリカンが販売されているので、暑くなるとサマーカットをするために自宅で毛刈りをする人もいるようです。美容を目的とした、ある程度長い毛を残せるように刃先が長くなっているバリカンも増えてきていますが、実は残せる毛が長ければ長いほど怪我の確率は上がっていきます

刃先が長くなれば、毛以外の異物を巻き込む範囲が広くなり、皮膚やできものを容易に巻き込むことができるようになってしまいます。力加減によって、刃先に皮膚がめり込む形になると怪我の元となります。また、バリカンの角度も重要で、正しい角度で沿わせないと皮膚を刺して切ることになります。

この場合も、何針か縫うことになったり、完治までにエリザベスカラーは必須となることが多いです。

正しくやっていたつもりだったのに…

毎日のブラッシングを心がけている飼い主さんは多くいますが、ブラシを正しく使えている方は少ないです。

最近は、ブラシの先に皮膚を傷つけないようにシリコンのガードがついているものがありますが、そうではない金属がそのままになっているブラシを使っている飼い主さんは注意が必要です。ブラシは必ず皮膚と平行に使い、ブラシの進みが悪いからといって皮膚とブラシの間に角度が出来るように使ってはいけません

犬の場合、皮膚が裂けたりすることはありませんが、ひっかき傷から感染、炎症を起こし、皮膚病になる可能性があります。

ブラッシング自体は、自宅で行うことを勧めていますので、悪いことではありませんが、なるべくガードのついたブラシを使い皮膚を傷つけることのないようにしましょう。

様々な原因の症例がある

上記に挙げたような症例が多くを占めますが、それ以外にも人間のシャンプーを使ったことによる皮膚炎や、背中に香水を撒いたことによる中毒症状、顔のトリミングの失敗で目の角膜に穴が開いた事故や、口唇が裂けてしまう事故などがあります。

怪我をさせないようにしていたつもりでも、犬はじっとしていることはできませんので突然の動きに対応しきれず怪我をさせてしまうことが多くあります。

トリミングは刃物を扱った作業になりますので、怪我の可能性とはいつも隣り合わせです。「簡単そう、これなら出来そう」と安易に考えず、しっかりとした知識、技術を持ったプロに預けるようにして下さいね。

Neige



動物看護士/トリマー

現役動物看護師・兼トリマー。 生涯学習、駆け足で前に進む医療にマイペースに追いかける毎日。 犬猫に関する色々なことをわかりやすくお伝えします。

関連記事

【動物看護師が解説】ボストンテリアにトリミングは必要か、被毛のお手入れ方法は?

スマートで紳士的な見た目のボストンテリア。体もさほど大きくはなく、かしこく温厚な性格なので様々な世代から愛されている犬種です。ある犬種とよく間違われがちですが、実はきちんと見分けるコツがある……

犬のシャンプー

【沖縄】おすすめのトリミングサロン

自宅でカットがなかなかできない、またうまくカットしてあげられない、できたら皮膚や耳の状態などもチェックしてほしい……そんな時にトリミングサロンがあると便利です。 カット以外にも、爪切り……

犬のトリミング

【ペットシッターが解説】シーズーとの暮らしで注意すること

シーズーの性格と性質 性格 シーズーは家族と遊ぶことが大好きで、楽しく遊んだかと思えば、膝の上で抱っこされたまま寝てしまうなど、愛玩犬として代表的な可愛らしさを持っています。人懐っこ……

犬のトリミング

【ペットシッターが解説】パピヨンとの暮らしで注意すること

パピヨンの性格と性質 性格 パピヨンはヨーロッパの貴婦人が大切にしていたという歴史を持っており、その優雅な姿がとても人気の犬種です。もちろん、性格も友好的でとても賢いので、家族の態度……

犬のしつけの基礎

【北海道】おすすめのトリミングサロン

自宅でカットがなかなかできない、またうまくカットしてあげられない、できたら皮膚や耳の状態などもチェックしてほしい……そんな時にトリミングサロンがあると便利です。 カット以外にも、爪切り……

犬のトリミング