2016年7月10日更新

【動物看護師が解説】犬のサマーカットのメリット・デメリット

ジメジメの梅雨が終わると、ついに本格的に暑い夏が来ますね。わたしたちは暑ければ薄着をし、涼むことができますが、犬たちは毛を脱ぐことはできません。ならばいっそのこと、短くカットしてあげようと思っている飼い主さん、ちょっと待ってください。サマーカットには涼しくなるメリットもありますが、デメリットもあるのですよ。

手を加えなくても季節に対応する力がある

犬の毛は一年のうちに何度も生え変わるのをご存知ですか?

ほとんどの犬の毛は、上毛と下毛と呼ばれる二重構造になっています。上毛は、太くて比較的固い毛のことをいい、下毛は上毛の下に密に生えている柔らかい細い毛のことをいいます。冬はこの下毛を多く蓄え、密度をあげて体温を保てるようにしますが、夏はこの下毛を減らして体に熱がこもるのを防ぎます。冬から夏にかけて抜け毛が多くなるのは、こういうわけだったのです。

野生の頃とは違う?

自然に毛を蓄えたり、捨てたりして寒さや暑さに対応していた犬ですが、現代では室内飼いが増え、エアコンによって一年中快適な温度で過ごせるようになったことから、そのような毛の生え変わりが行われない犬も増えてきているという話もあります。

また、年々夏の気温は上昇しているため、自然に生え変わっていたとしても、対応しきれないほどの暑さになってきているのも事実です。

では、どのようにして犬を暑さから解放してあげるべきなのでしょうか?

サマーカットが有効

一番の策は、日中は涼しい屋内で過ごすということですが、外へ出る機会が多いのであれば、サマーカットも暑さ対策の一つといえます。
しかし、サマーカットには良い面だけではないことを理解しておくことが必要です。

サマーカットのメリット

  • 熱がこもらない
  • 見た目が涼しい
  • 汚れの管理がしやすい
  • 服がスッキリ着れる

などが挙げられます。

毛が短く、もしくは刈り取ることによって体表に熱がこもることなく、快適に過ごすことができます。また、食事や排泄、散歩のあとなどの汚れの管理もしやすいです。数mmくらいで毛をほとんど刈り取ってしまえば、抜け毛対策にもなります。

普段から服を着せている犬であれば、毛でモコモコと膨張して見えていた服も、スッキリと着こなすことができます。

サマーカットのデメリット

  • 日焼け
  • 傷が付きやすい

などが挙げられます。

デメリットがメリットに比べて少ないため、サマーカットが100%良いものと思われがちですが、実はこの数少ないデメリットが起こってしまうと、犬に非常に大きなダメージを負わせてしまうことになるのです。

まず、サマーカットをして一番心配なのは日焼けです。本来であれば、毛で守られている皮膚ですが、極端に短くしたり、刈り取ったりすることで直接日差しが当たることになります。

日焼けはヤケドですから、皮膚に良くないということは理解して頂けるでしょう。犬の皮膚は、赤ちゃんの皮膚よりも薄く、敏感なので、ひどいヤケドを負うと皮膚が再生せずに穴が開いてしまったりします

また、皮膚がむき出しになることにより、草むらなどに入り込んだ時に傷を作ってしまったり、なんらかの物質に接触しアレルギー反応を起こすこともあります。

デメリットを防ぐには?

サマーカットをすること自体悪いことではないので、ヤケドや怪我を防ぐ為に外出時には必ず皮膚を保護するために通気性の良い洋服を着せてあげましょう。

または、サマーカットといっても皮膚を守れるくらいの毛の長さは残しておくと良いでしょう。
一番良いのは、なるべく日中の外出は避け、紫外線・日射の少ない早朝や夕方、夜に外へ連れ出すことです。

いかがでしたか?

今年の夏はサマーカットをしようと意気込んでいるあなたも、これらのメリット、デメリットを踏まえた上でもう一度カットスタイルや毛の長さを考え直してみてくださいね。

Neige



動物看護士/トリマー

現役動物看護師・兼トリマー。 生涯学習、駆け足で前に進む医療にマイペースに追いかける毎日。 犬猫に関する色々なことをわかりやすくお伝えします。

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