2016年7月22日更新

僕らの居場所は言わにゃいで その8:僕らに光をあてにゃいで!

猫の写真をネットにアップする際の気遣いとして”撮影場所の情報=猫たちの居場所”を公にしないことの合言葉が「僕らの居場所は言わにゃいで」なワケですが、今回はその一歩前。

写真を撮る際の気遣いについてお話をしたいと思います。

みなさん、猫に向かってデジカメやスマホでフラッシュを焚いた事が一度くらい、あるのではないでしょうか。暗い場所や逆光状態で止むを得ず、という人だけでなく、フラッシュを焚くと猫の目がロボットみたいにビコーンと光るのが面白くてわざと焚く人もいるかもしれませんね。

そのフラッシュの光って、実は猫たちの目に良くないのです。

僕らの居場所は言わにゃいで

(焦点距離77mm 絞り F2.5 SS 1/20秒 ISO1000)

猫の黒目がまん丸になったり、細くなったりするのは見たことがありますよね。あれは別に可愛いこぶりっこしているわけではなく、周囲の明るさに合わせて目に入ってくる光の量を調節しているのです。人間が明るい場所で目を細めるように黒目を細くし、暗いところでは黒目を全開にすることで、ものがよく見えるようにしている。つまり、黒目がまん丸の時は、光にとても敏感な状態。

そこに、いきなり閃光を浴びせたらどうなるか?

最悪の場合は失明のリスクもあると聞きます。

可愛い猫の写真を撮ろうとして、猫の目を傷つけることがあってはなりません。暗いからといって、僕らに光はあてにゃいで!

■夜猫撮影のススメ

と、ダメ出しだけして話を締めくくるのは面白くないし、文字数的に足りないから、今回は暗いところでフラッシュを使わずに猫の写真を撮る時のポイントをお話できればと思います。

暗い=日中よりも光が足りない状況で写真を撮る時。

まず何をすれば良いのか。考えられる手段は以下の三つです。

・シャッタースピードを遅くする

・レンズの絞りを開く(明るいレンズを使う)

・感度(ISO)の数値を上げる

これはデジタル写真の露出を決定する基本の三要素(フイルムカメラの感度はセットしたフイルムに固定されてしまうのでシャッタースピードと絞りの二要素)なワケですが、そのあたりの基本については検索してもらえればもっとわかりやすいサイトが出てくると思います。

「私は全ての基礎を理解してからでないと写真を撮れません!」という方もいるでしょうが、何はともあれカメラを手にして、シャッターを切っていきましょう。実際に撮ってみて楽しい、難しいを体感することも大事です。

■シャッタースピード

シャッタースピードを遅くする=光を取りこむ時間が長くなると、写真は当然明るく写るようになります。真っ暗な場所でずーっと目をこらしていると暗闇に目が慣れてくるのと同じ理屈です。

しかし、スローシャッターになるほど気になってくるのが「手ブレ」。猫写真に限らずですが手ブレに悩んでいる方は多いと思います。

そこで、以下の原則をまずはご理解ください。

「シャッタースピードが”1/焦点距離”秒以上では手ブレは起きない」

焦点距離が50mmであれば1/50秒、200mmであれば1/200秒といった具合に、シャッタースピードの分母の値がレンズの焦点距離の値以上であれば基本的に手ブレは起きません。

しかし相手は夜中の猫。

カメラ任せにしていると、50mmのレンズで1/30秒とかシャッタースピードの分母の値が焦点距離の値を下回ってしまうこともしばしば。そういう時こそ手ブレ補正のスイッチをオンにしましょう。

と言いたいところですが、いくらカメラが手ブレを補正しても、スローシャッターにはもう一つの「ブレ」がついて回ります。

それは「被写体ブレ」

シャッタースピードよりも速く被写体が動くことによって発生するブレなのですが、こればかりはカメラ側で補正が出来ません。被写体ブレを防ぐ為には被写体の動きよりも速くシャッターを切るしかない。

おおよそ寝ている猫であれば1/30秒でも撮れますが、てくてく歩いている猫であれば最低でも1/100秒以上は欲しいところ。とりあえずシャッタースピードを1/125秒に設定して夜の街にカメラを向けてシャッターを切ってみましょう。

どうです?

「何も写ってない!」という方が殆どではないでしょうか。

繁華街は別としても、街灯だけが頼りの夜中の町で1/125秒のシャッタースピードは早すぎます。もっと明るく映すためには、何をすべきか。そこでレンズの絞りを考えていきます。

■レンズの絞りを開く(明るいレンズを使う)

カメラのレンズには絞りの大きさを表すF値というものがあり、皆さんのレンズもどこかにF3.5とかF2とか記されているかと思います。この数字は小さければ小さいほど、そのレンズが明るいことを意味しており、同じ焦点距離でF3.5で撮るのと、F1.4で撮るのでは後者のレンズの方が倍以上明るく写ります。

ただし、F値が小さいほどピントの合う範囲が狭いため、被写体が少し前後に移動しただけでもピンぼけの写真を量産してしまうのでご注意ください。ちなみに自分はF1.4のレンズなら、少し絞ってF1.8〜2.0くらいで使うことにしています。

「でもさ、私F3.5のレンズしか持ってないんだけど!これ以上明るく写らないじゃん!」という方。諦めるなかれ。今つけているレンズの絞りが一番開いた(Fの値が一番小さい)状態に設定をしたら、次の項目へと進みましょう。

■感度(ISO)の数値を上げる

「罪はないので怒らにゃいで」でもご説明しましたが、最終的な明るさは感度(ISO)の値を上げることで調節します。ISOの値を上げれば上げるほど、全体的に明るくなりますが、その代わりにノイズも増えていくので、お好みで丁度良いバランスを探してください。

ちなみに僕は夜の猫撮影だと、だいたいISO1600~6400。街灯の少ない場所では12800くらいまで引き上げることもありますが、夜の風景を明るく映しても夜っぽさがないので「やや暗め」くらいに写るよう、ISOを設定しています。

僕らの居場所は言わにゃいで

(焦点距離55mm 絞り F2.0 SS 1/60秒 ISO2000)

さて、今日のおさらい。

(1)シャッタースピードは1/100秒(眠ってる猫なら手ブレしないギリギリのシャッタースピード)

(2)レンズの絞りを開く=F値をできるだけ小さくする

(3)最後に明るさをISOで調節する※あんまり明るくし過ぎないよう注意!

夜の猫撮影は条件が非常に厳しい。だからといって猫の目に悪いフラッシュに頼らず(頼ったところで良い写真にならない)、カメラを操って写真を撮る難しさや楽しさを味わってもらえたら幸いです。

ちなみに「どうしても、もう少しだけ明かりが欲しい・・・」という方に、ちょっとした裏技をお教えしましょう。

「自販機の近くで撮る」

 

僕らの居場所は言わにゃいで

(焦点距離55mm 絞り F2.0 SS 1/100秒 ISO6400)

自動販売機の光はずっと灯っており、猫たちも光に目を慣らすことが出来るので目を痛める心配はありません(もっとも、光を間近でずーっと見ていたら良くないですが)。しかも光は柔らかく横に伸び、被写体を良い感じに照らしてくれる。そんな自販機の正面に猫を誘導して、写真を撮ろうというものです。これまでの連載ですっかり猫と仲良くなった皆さんなら、決して難しいことではないはず。

ただし、自販機が車道の近くにあったら、交通事故のおそれがあるので決して誘導しないようお願いします。

自分(人)には無害なものでも、他者(猫)には有害なものがある。

自分(人)には何でもなくても、他者(猫)は怖いと感じることがある。

そんな当たり前について考えながら、夜猫撮影を楽しんでください。

それでわ、また。

【告知】

7月23〜24日 都立産業貿易センター台東館で開催される猫のイベント「にゃんだらけ」で、ちょっぴり写真を展示します。

あわせて「僕らの居場所は言わにゃいで」に賛同してくださっている猫写真家さんたちの作品を集めたフォトブックの展示もありますので、是非足を運んでみてください。

http://nyandarake.tokyo

末吉弦太



写真家

カメラマンとして企業のウェブサイト・広告用の写真を撮影する傍ら、各地を転々としつつ外暮しの猫たちを撮り続ける。 主要機材:PENTAX 645Z、Nikon D5、FUJIFILM X100 撮影場所を公にすることのリスクや問題について警鐘を鳴らすハッシュタグ「#僕らの居場所は言わにゃいで」を使って、猫の居場所をシェアするのではなく、静かに見守る気持ちをシェアしませんか?

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