小柄で華奢な体つきと絹のように美しい被毛、「目で話す」といわれるほど豊かな表情を持つヨークシャー・テリア。明るく陽気で、人を楽しませることが大好きな性格である一方で、小さくてもテリアとしての気質を受け継いでいる犬種でもあります。今回はそんなヨークシャー・テリアのしつけについて調べてみました。
ヨークシャー・テリアってどんな性格?
ヨークシャー・テリアは上品な見た目から上流階級の愛玩犬として作り出された犬のように思われがちですが、実際は19世紀イギリスの工業地帯で家や工場を荒らすネズミなどの害獣を駆除するために作り出された犬種なのです。
ウォーターサイド・テリア、クライデスデール・テリア、ベイズリー・テリアなどさまざまなテリアを交配して、小さいながらも勇敢に獲物を追って仕留めることができる犬として生み出されました。そのため見た目の上品で可憐な印象とは裏腹に、しっかりとテリアの気質を備えた犬種なのです。
ではいったいテリア気質とはどのようなものなのでしょう。よくテリア気質としてあげられているのは次のようなことです。
- 頭の回転が速い
- 人への依存度が低いためしつけをする際は忍耐力が必要。
- 気が強く勇敢
- 諦めることを知らないやや興奮しやすい性質
これらの性質はテリア系の犬種の狩りが、自分よりも体格の大きい獲物に対しても執拗に追いかけ、最後まで人の手を借りずに自ら仕留めるという方法だったために身に付いた性質だといわれています。
つまりテリア気質を持っているヨークシャー・テリアは、見た目は抱っこの好きな愛玩犬のようですが、抱っこや膝で飼い主になでられることで満足する犬種ではなく、納得できないことには断固として従わない、やや頑固でマイペースな1面を持っているということです。
ここまでの話しではテリア気質のあるヨークシャー・テリアは、飼育しにくい性格をしているように思われてしまうかもしれませんが、けっしてそうではありません。
可愛らしい見た目の中にテリア系の気性の激しい部分を持っていることを理解しておけば、表情豊かで、陽気で明るく、少々のことでは物怖じしない強い精神力の持ち主で、自分の判断で動くことのできる賢さを持っている素晴らしい犬種です。

ヨークシャー・テリアのしつけで大切なポイントは?
前で書いたとおりヨークシャー・テリアは小さいながらもしっかりとテリアの気質を持った犬種です。テリア系の犬種をしつける際にもっとも大切なことは、どのような場面でも飼い主が常に犬の上位に立ちリーダーシップをとってあげることです。
犬は群れ社会で生きてきた習性を持っているため、信頼できるリーダーがいない生活はとても不安で不快な状態であり、そのため自分がリーダーになるべく飼い主の上位に立とうとして問題行動を起こすことが多いということなのです。
特にヨークシャー・テリアのようなテリア系の犬種の場合はもともと人に対する依存心が薄いので、飼い主であるというだけでは従ってくれません。はっきりとリーダーであることを認めさせることがしつけの第1歩になります。
では犬がリーダーに求めるものは一体なんなのでしょうか?
- 常に一貫したルールに従って揺らがないこと
- 何かあったら必ず守ってくれるという安心感
この2つの上に成り立つ信頼関係こそが基本的なしつけのルールということになるようです。

家族がリーダーシップをとるためにしておくことは?
上下関係のはっきりとした規律正しい生活を好む犬にとって、しっかりとしたリーダーのもとで一貫したルールにのっとって生活をすることは快適な環境なのです。逆にしっかりとしたルールがなくリーダーがいないような環境だと、自分がリーダーになり規律を正そうとします。
犬の問題行動といわれるもののほとんどが、飼い主からリーダーとしての権利を奪おうとする際におこなわれる行為だといわれています。
つまり犬に問題行動を起こさせないためには、常に飼い主とその家族が犬の上位に立ち、犬が安心して自分の身を預けることができるリーダーシップを発揮してあげることが不可欠なのです。
常に飼い主とその家族が犬の上位に立ちリーダーシップをとっていくためには、どうしたらよいのでしょう。まず犬を飼う前に家の状況を考えて、トイレの場所やケージの場所など犬の生活スペースを決めておきましょう。
次に犬と生活するための家族のルールを決めておきましょう。食事の時のルール、寝る時のルール、留守番をさせる時のルール、散歩の時のルールなど具体的に犬がしていいことと悪いことを家族で統一しておくとよいでしょう。
ただし犬の行動や個性を見ながら必要なルールを追加できるように、あまり細かいルールにはせず、絶対に守らせたいことだけを決めておくようにしましょう。
犬に対する接し方では特に叱り方、褒め方を家族で統一しておくとよいですね。おやつを与えて褒める人と言葉や態度で褒める人が一緒にいると、犬はそれだけで人に順列を付けてしまいがちです。

ヨークシャー・テリアは目で語る
よく「ヨークシャー・テリアは目で語る犬だ。」といわれます。全身で喜びを表しながらキラキラとした目を向けられたら、犬が好きな人は1発でノックアウトされてしまいますね。時にうれしすぎて粗相をしてしまうようなこともありますがそれも愛嬌のうちです。
見た目の可愛らしさだけでなく、自分の感情に素直で凛としたところのあるテリアとしての気質をあわせて楽しむことができれば、賢く判断力のあるヨークシャー・テリアのしつけは比較的スムーズに行うことができると思います。