2016年8月9日更新

【獣医師が解説】犬や猫の口腔内の衛生管理について

杉浦岳



獣医師

札幌市白石区のタニダ動物病院にて4年間勤務 総合診療に重点を置いていますが、特に腫瘍学においては認定医資格を取得、また皮膚科、外科、整形外科、眼科に興味を持ち、常に最新の情報、技術を得るように努力しています。

 

犬や猫の「口の中」に注目されるようになったのは比較的最近のこと。犬や猫の寿命が伸びて、歯周病が増え、それが元になる病気が増えたり、臭いが気になったりするようになってきたため来院されることが多いです。

最近は歯周病の初期、あるいはそうなる前に歯磨きをしたり、歯周病予防に効果のあるグッズやフードを使っていただいたりするおかげで、そうしたケアをしてもらっている子は高齢になってもそれなりにきちんと維持されていることが増えました。それでも充分なケアができている子はまだまだ少ないですね。

犬の口の中では虫歯を見ることはほとんどありません。それよりも歯石の付着、それによる歯肉炎、進行して歯周病になって・・・ということがほとんどです。

問題は、年をとって歯周病を持っている状態がいろいろなリスクになる点です。口の中で大量の菌を増やしているのと同じことで、それが炎症を起こしている歯肉を通して常時体内に侵入してくるのですから、問題ないはずがありません。

口の中の状態で、治療ができるのは歯石の付着と歯肉炎(歯茎の端がちょっと赤くなっている状態)です。進行して歯周病になってしまうと、きちんとした処置をして、ご自宅でケアをしてもらっても元通りに戻ることはありません。進行を遅らせてできるだけ問題を起こさないようにしたり、問題がおきたり起きそうになったりしている場合には抜歯をしてしまうことしかできなくなってしまいます。

歯石の除去も含めて、口腔内の治療には全身麻酔が必要なことがほとんどです。歯磨き程度の歯石取りはともかくとして、きちんとしたケアは、無理やり押さえつけて口を開けて・・・といったやり方でできるものではありません。

麻酔を敬遠される方が多いですが、無麻酔で嫌な処置をむりやりすることで、血圧が大きく変われば体には負担になりますし、怖い思いをすることでご自宅でのケアが難しくなることもありますし、「麻酔なしが安全」ということは全くありません。きちんとした術前評価と手順を踏んで行う麻酔は、うわさ話で語られるほど危険なものではありません。

ましてや、放置された歯周病は健康を害する可能性の高い病気です。きちんとケアして健康な口腔内環境を守ることは、健康で長生きするためには必要です。