2016年12月2日更新

【動物法務のプロが解説】犬の鳴き声がうるさい場合

最近はペットブームということもあり、犬を飼う家が一戸建て・マンションを問わず非常に増えてきました。そうなると必ずといってよいほど出てくる問題の一つが、「犬の鳴き声・騒音」です。犬というのは元々、猟犬・番犬という目的で飼育されていた歴史もありますので、犬種によって違いもありますが、本能的に敵を威嚇する・飼い主に危険を知らせるということでよく吠えることもあると思います。

一定のしつけをすれば、無駄吠えをしなくなるケースもありますが、逆にどれだけしつけをしても吠える犬は吠えますので、特に集合住宅などでは鳴き声が響いてしまい、住民トラブルに発展してしまうケースも多く見かけます。そこで、今回は犬の鳴き声・騒音について解説していきます。

判例・法律など

Dog at home
これらに関して裁判例がいくつかありますが、その内容を見ますと、吠え声が異常であることや酷い状況を適切な防止策をとらずに放置していたことなどが、損害賠償責任を認める根拠とされているようです。また、損害賠償額は少なめなようです。ポイントとなるキーワードは「飼育管理状況」や「受忍限度」です。

飼育管理においては、飼い主の適正飼養について動物愛護管理法や条例等で規定されております。吠え声で近隣に迷惑をかけないようにするために飼い主は必要な措置をとる義務があるといえます。

受忍限度とは、社会生活を営む上で、騒音などの被害の程度が、社会通念上我慢できるとされる範囲のことです。この範囲であれば損害賠償などは認められないということになります。住宅街などで普通に日常生活を営んでいても、各々様々な生活上の騒音が出ることがあります。それは近隣各人がお互いに生活していく上では避けられないことなので、その程度までは我慢するこができるでしょうということです。騒音が異常であり、近隣へも迷惑が著しい場合などは、受忍限度を超えるということになります。

予防策・対処法など

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飼育管理状況からみると、まず、飼い主側は犬の鳴き声を極力抑えるような努力はした方がよいかと思います。もししつけで何とかなるようであれば、ドッグトレーナー等に預けて無駄吠えしないようにしていくことになりますが、その手段で確実に無駄吠えがなくなるわけではなく、また一定の時間も必要となりますので、その場合は部屋を防音にするなどの対策が必要となります。このように飼い主としては騒音防止に努めることが基本条件になるのですが、問題は「騒音防止をしているにもかかわらずトラブルになる」というケースです。

一概に「騒音」といっても、具体的にどのあたりからが騒音になるかというのは人の価値観によりますし、周辺環境にもかなり影響される部分がありますので、一度トラブルになると折り合いをつけるのがとても難しくなってしまいます。

集合住宅の場合では受忍義務というものが一応ありますので、客観的な価値観としてはそうした部分で受忍限度を超えているかどうかという判断がある程度できる場合もありますが、こうした問題は当事者同士ですと、余計にこじれる場合もありますので、たとえば集合住宅であれば管理組合、町内であれば町内会など第三者を交えて話し合った方がよいでしょう。

その上で、もし飼い主が適正な対策を行っても苦情が出てくる場合、もしくは逆に飼い主が全く対策を行ってくれないような場合は、それぞれの立場において管理組合や住民集会などで話し合い、何らかの解決策を見出していく必要が出てくるかと思います。

それでも解決策が見出せない場合には、裁判所などということになるかと思いますが、そこまでトラブルになると問題が解決してからも周辺住民との関係が悪化する可能性がありますので、出来ればそうなる前により良い解決策を見つけていきたいところです。

環境省ホームページに騒音対策について・騒音環境基準等(http://www.env.go.jp/seisaku/list/noise.html)が紹介されていますので、このようなものも参考に見ていただければと思います。

執筆協力:有吉圭太((一社)どうぶつ法務福祉協会理事・動物総合相談ボランティア)

山口 一哉



(一社)どうぶつ法務福祉協会・代表理事(行政書士)

一般社団法人どうぶつ法務福祉協会・代表理事/行政書士横浜いずみ共同事務所・代表。(一社)ペットライフデザイン協会理事。幼少期に犬を飼っていたことと、捨て猫との暮らしをきっかけに、何か出来ることはないかと模索していたところ、「動物法務」の存在を知り、開業を決意。平成21年行政書士事務所開業、平成23年横浜市に移転。成年後見、遺言、人と動物に関する許認可等各種手続や書類作成の支援が主な業務。平成27年一般社団法人どうぶつ法務福祉協会設立、同代表理事に就任。1級愛玩動物飼養管理士、愛護動物虐待防止管理士、少額短期保険募集人の資格を保有。

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