2016年8月26日更新

僕らの居場所は言わにゃいで その11:改めて僕らの居場所は言わにゃいで

末吉弦太



写真家

カメラマンとして企業のウェブサイト・広告用の写真を撮影する傍ら、各地を転々としつつ外暮しの猫たちを撮り続ける。 主要機材:PENTAX 645Z、Nikon D5、FUJIFILM X100 撮影場所を公にすることのリスクや問題について警鐘を鳴らすハッシュタグ「#僕らの居場所は言わにゃいで」を使って、猫の居場所をシェアするのではなく、静かに見守る気持ちをシェアしませんか?

 

この連載は「僕らの居場所は言わにゃいで」について多くの人に知ってもらいたい為の連載なんだよなあ…と根本的なことを考えると、前回、前々回の連載が「居場所のこととかほとんど関係なくない?」と言われても仕方のない内容だったので、今回は原点に立ち返ってみようかと思います。

あ、そうそう。

instagramで「#僕らの居場所は言わにゃいで」を使った投稿が2万件を超えましたよ。

他のSNSも含めれば25,000件ほど発信されているのではないでしょうか。

半年でこんなにも沢山の投稿が集まり、それはつまり同じ想いを抱いた人たちが沢山いると言う事で、こんなにも心強く、嬉しいことはありません。どうぞ皆様これからも一緒に「#僕らの居場所は言わにゃいで」を広めていただければ幸いに存じます。

僕らの居場所は言わにゃいで

■僕らの居場所は言わにゃいで

さて、おさらいになりますが、このタグには”捨て猫や虐待を考える人間に情報を与えない”ために以下の3つについて広く知ってもらうという目的があります。

・外猫の撮影時はスマホ、デジカメの位置情報を記録する機能をオフにする

・SNSをはじめインターネットや公の場所で写真を公開する際は場所に関する記載をしない

・タグを投稿に添えて上記に注意し、外猫たちを静かに見守る心をシェアする

しかし、タグの中であまり説明していない部分として「写真に場所が類推できる要素を盛り込んだら、いくら位置情報をオフにして場所の記述を避けても意味がない」というのもあり、これはタグと一緒に説明するには複雑な上にボリュームがあるので、せっかくだし今回詳しく書こうと思います。

■写真を撮る時の注意

写真にジオタグ(位置情報)がついておらず、撮影場所について何の説明もない。

それでも、写真の中にある要素から撮影場所を特定する方法はあります。

要素は大きく分けて、この2つ。

・電信柱

・お店の看板や幟(のぼり)

電信柱には番地までの住所が記載されているケースがあり、これは特に説明の必要もないと思いますが、簡単に場所が特定できてしまう。もっとも「西○-○」みたいにどこにでもありそうな地名だと、それだけでの特定は難しいものの、同じ電信柱に「○○歯科医院」のような広告があったら、それを糸口に場所の詳細を特定する事は可能です。

お店の看板についても同様で、最近はマイナーなお店であっても、インターネット上に何らかの情報を登録していることがあるので、お店の名前で検索すると場所が特定できるケースは少なくありません。

また、神社や商店街などでは幟(のぼり)にも注意。

「○○神社」とか「○○商店街」と書かれた幟はそれだけで場所を書いているのと同じ事

加えて特徴的なランドマーク(建築物)が背景に映り込む場合も注意したいところですが、これは程度にもよると思います。

例えば「ローアングルで猫の真後ろに○○タワー」という写真は、○○タワー真下で撮られたことが一目瞭然。絵的には良いですが、猫的には嬉しくないでしょう。それじゃあ背景にランドマークが入ってたら全部アウトかと言えば、判断はなかなか難しい。

「背景の遙か彼方にちっちゃく東京スカイツリーが見える」だと、これはもう範囲が広すぎて東京なのか千葉なのか埼玉なのか特定できませんし、凱旋門と猫を一緒に撮った写真を見て「そうかパリの凱旋門には猫がいるのか。よし、虐待しにいくぞ!」とワケのわからない情熱でもってフランスへ赴く人はまずいないでしょうから気にする必要はないのかもしれません。

(もっとも、インターネットは世界中の方が見るわけで、フランスにだって動物を虐待する人はいるでしょうから、遠くにエッフェル塔が見えるくらいの方が好ましいと思います)

僕らの居場所は言わにゃいで

このように位置情報や具体的な場所の記載がなくても、写真には場所を特定できる情報があちらこちらに潜んでいます。写真を撮る時にファインダーや液晶を覗き込んだら、良い構図を探すついでに、猫たちの居場所を晒してしまう要素についてもちょっと気にかけて貰えると嬉しいです。

それと車のナンバーや家の表札については単体で場所が特定できる可能性こそ低いですが、そもそも人ん家の車のナンバーなどを、むやみやたらに公開するのもモラル的に考えものなので、なるべく写らないよう心がけるに越したことはありません。

■公開する時の注意

そんでまあ、なんぼ気を付けてみても、電柱や看板などの要素が写真に入り込んでくることは少なからずあります。そのままネット上で公開しちゃうと「猫たちの居場所を言ってるのと同じ」になってしまいますが、だからといって電柱にモザイクをかけたり、看板を後処理でぼやかすのも中々に面倒くさい。

そこでお手軽な方法として挙げられるのが、トリミング

僕らの居場所は言わにゃいで

要するに「猫が写ってる部分だけ切り抜いて、場所が推測できる要素を排除する」ということです。自分も公開する写真で大胆にトリミングを行うことがあり、それでも要素が排除しきれない場合は投稿しないことも。

トリミングは必ずしも猫の居場所をわからないようにする為のものだけではなく、写真を見返すことで自身の構図に対する考え方を養ういいきっかけとなります。引き算することで写真がぐっと良くなることもあるので、積極的に楽しみながらトリミングに挑戦してみてください。

さて、今日のまとめ。

・写真を撮る時は、場所が推測できる要素が映り込まないようする。

・もし、場所が推測できる要素が入ってしまった場合は、投稿時にトリミング。

写真を撮ることはとにかく楽しい。

SNSは色んな人と繋がれて面白い。

でも、それが猫たちの静かな暮らしを乱してしまっては面白くないので気を付けましょうって話をすると「なんだか昔に比べて窮屈になったなぁ」と遠い目をする人もいるでしょう。

昔は昔。今は今。

「昔は消費税なんて無かったなぁ」とナンボ遠い目をしたところで、108円の品物は100円では買えない。SNSが当たり前になった現代の社会には、それに対応した写真の楽しみ方をしていけばイイんじゃないかと思いますヨ。

また、これは写真を撮ったり、公開する行為と直接は関係ないのですが、前後の投稿にも気を配っておいた方がいいかもしれません。Twitterなどでありがちなんですが「○○にいます」と場所のことを先につぶやいてから、次の投稿で「猫発見!かわいい~」と猫の写真を投稿して、その後に「○○楽しかったー」などの投稿が並んだら、猫の写真の投稿だけでは何もわからなくても、どこで撮られたかは何となくわかってしまう。

そういった自分自身の行動について頻繁に投稿するのであれば、猫の写真のリアルタイム投稿はしないことをオススメします。

僕らの居場所は言わにゃいで

余談ですが、先日instagramで仔猫の里親を募集して、ある方から「里親になりたいです」とDMをいただきました。とはいえ、どんな人か、どこに住んでいるか何もわからないので、その方がinstagramに投稿されていた写真をざっと見てみると、何でも無い風景の写真に「夕涼み」とタイトルがついており、小さくお店の看板が映り込んでいました。

夕涼み、というくらいだから、近所のお店なのでしょう。

検索でお店がある場所を確認して「もしかして○○在住ですか?」と返信したところ、とてもビックリされていました。小さな猫たちの里親になりたいと申し出たら、いきなり住んでる場所を特定されるんだから誰だってビックリしますよね。

ちなみに里親候補さんは、いきなり住んでいる場所を特定するなんて失礼な行為を気にすることもなく、快く兄弟の里親さんになってくれました。とっても良い人です。次回は、またちょっと脱線して「野良猫を家族に迎える」話をできたらな、と思います。

それでわ、また。

僕らの居場所は言わにゃいで