2016年8月29日更新

【獣医師監修】正しい知識を身につけて、猛暑を乗り切ろう!愛犬のための熱中症対策マニュアル

重度になると死に至ることもある熱中症。夏真っ盛りのこの時期、その症状から応急処置、予防策についてあらためておさらいしておきましょう。全身を毛で覆われ、人間と違って汗をかくことで熱を放出することができない犬にとって、私達が想像する以上にストレスを感じているかもしれません。

1.そもそも熱中症ってなに?

日射病・熱射病の総称として、この季節になるとあちこちで見聞きする「熱中症」。近年、私達人間にとっても何かと注意喚起されることが多い。その名の通り、高温や高湿を原因とした全身性の症状で、ショック症状を起こしてしまうほど重度になると死に至ることもあるので注意が必要だ。

 熱中症になるポイントは犬の体温。直射日光を浴びる、また気温の高い屋外で長時間過ごすなどはもちろん、日陰や室内であっても犬の体温が上昇しやすい環境であれば発症の可能性はある。犬の場合、人間と違って全身から汗を出して熱を体の外に放出することができないため、体を直接冷たいものに触れさせるか呼気による放熱(換気)に頼らざるを得ない。そのため、呼吸器疾患を起こしやすいパグシーズー、ペキニーズ、ブルドック、フレンチブルドックなどの短頭種、熱をため込みやすい肥満気味の犬に起こりやすいといわれている。

2.初期症状での対処が大切!

 先述の通り、症状が悪化してしまうと死に至ることもある。そのため、初期症状を見逃さないようにしたい。以下、症状の軽いものから順に列記していこう。

1.短く浅い呼吸が続いている
2.目や口腔内が充血している
3.ヨダレを流している
4.下痢、嘔吐、血便が出る
5.痙攣、失神する
6.多臓器不全を起こす

 基本的には1~3が初期症状で、自宅などでの応急処置の上、改善が見られないようなら早目にかかりつけの動物病院へ。4以降の症状が観察できた場合は、すぐに診察を受けた方が良い。症状によっては緊急を要することもあるので、診療時間外でも対応してもらえる救急病院の連絡先や場所なども事前に調べておくとよいだろう。また、もうひとつの基準として、体温が40度を超えていたら症状に関わらず、病院で診察を受けた方が安心だ。

3.自宅でできる応急処置

 まずは体を冷やそう。すぐにできることとしては、直接体に水をかけること。散歩中であれば、ペットボトルの水をかけてもよい。自宅であればシャワーの水を体にかける、流水に体を浸けるなどして体温を低下させよう。適時体温測定を行い、39度まで下がったら冷やすのをやめるように。

 また、病院へ向かう際も保冷剤や冷たいタオルを頸部や脇、腹部に当てながら移動するとようにして、少しでも体温低下を促すようにしたい。

4.熱中症にならないために

 外気温が30度を超えるようなこの時期、室内で過ごすときも室温・湿度を下げるためにエアコンを使用するようにしたい。室温は26~28度の設定でOK。基本的には人間が快適に過ごせる環境下であれば、犬も熱中症になる可能性は低い。アルミマットなど冷却用グッズも多く売られているので、エアコンと併用するとよいだろう。また、留守番させるときや夜中であっても、飲み水を切らさないよう工夫することも大切だ。

 そしてもっとも気を付けなければいけないのが、散歩など外出の時。8月、9月であれば、散歩は路面温度が低い早朝5時~6時もしくは夜間20時以降が理想。朝7時を過ぎると気温に加えて路面温度も急上昇するため、地表付近の熱気(対流熱)の影響をモロに受けることになる。人間が体感している地上150cm付近の気温と犬が歩く30~50cm付近の気温とでは、路面の材質によっても異なるが10度前後の違いがあると思っていい。加えて、この時間帯になると、熱中症だけでなく肉球の火傷リスクも高まってくる。アスファルトは土や芝生と比べて日光による熱を蓄熱しやすく、日没後も想像以上に熱いので注意が必要だ。

5.火傷予防と熱中症予防は別の話

 とはいえ、早朝、夜間に散歩できない時や、犬連れで終日レジャーに出かけることもあるだろう。そんな時に活用したいのが、ドッグ・ブーツだ。散歩のタイミングが日中にしか取れなかったり、クルマで遠出した際のトイレ休憩で外を歩かせたり……。しかし、火傷予防と熱中症予防は別の話。ドッグ・ブーツを履かせなければ歩かせられないほど路面が熱いということは、それだけ熱中症のリスクも高まっているということになる。短時間で済ませることはもちろんのこと、冷却効果のあるバンダナやベストなど、保冷グッズを活用するようにしたい。

 今夏の猛暑、人も犬もトラブルなく楽しく過ごすために、熱中症・肉球の火傷には十分気をつけよう。

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