2016年11月4日更新

【動物看護師が徹底解説!】犬猫が傷口をなめるのはどうして?対処法は?

愛犬、愛猫が怪我をした時、動物病院で治療を受けると必ずといっていいほどエリザベスカラーを付けておいてください、と言われませんか?カラーを付けるととても窮屈そうだし、動きにくそうで、飼い主さんとしては早く外してあげたくなってしまいますよね。しかし、カラーには非常に大切な役目があり、外すと傷を悪化させてしまうこともあるのです。

カラーは包帯と同じ役目を持つ

一見邪魔そうで、意味があるの?と思うカラーは、実はとても大切な役割を持っているのです。

犬猫は体に異物がくっついていると感じると、その部分を取り除こうと執拗に舐め続けます。例えば、毛玉や傷、できもの、皮膚を噛んだダニ、お腹についた脂肪でさえ、自分の身体の一部とは認識せずに舐め続けてしまうのです。また、痛みや痒みがあるときもそれを取り除こうとして、舐め続けます。

ゴミや虫であれば、舐めて取れれば良いのですが、傷やできものはそういうわけにはいきませんよね。せっかく治療した傷口を舐めてしまうと、薬が取れてしまったり、口の中の雑菌が傷に入って炎症を起こす原因になることもあります。絆創膏で傷口を塞ぐことができればカラーをする必要はないのですが、絆創膏を張ってある違和感で、この周辺を舐めて絆創膏をはがしたり、噛みきって飲み込んでしまう危険性があるので、カラーが一番安全で安心な方法と考えられているのです。

カラー以外の対処法は?

上にも書いたように、絆創膏を貼る方法もありますが、噛みちぎって飲み込んだりしてしまったら大変なので、絆創膏単体で使うことは非常に困難です。他にも包帯やネットのようなものを被せて、傷口を守る方法も考えられますが、血流を悪くして傷の治りを遅くしたり、ひどい場合には血の巡りが悪くなった部分が腐ってなくなってしまう可能性があります。

包帯を巻いた場合は頻繁に点検する必要があり、気にして少し引っ張っただけでもキツく締め付けられることがあるので、管理が非常に大変です。お仕事に出ている飼い主さんが多いですから、一日に何度も点検をしたり、ずっと監視しているわけにもいかないため、包帯やネットで保護する方法もあまりオススメできる方法ではなくなってしまうのです。

数日で慣れることがほとんど

これらのことを考えると、カラーが一番安全で安心な方法だということを理解して頂けたでしょうか。

自宅で付きっ切りで様子を見られるのであれば、犬猫が傷口を舐めようとしたら静止することができますが、家を空ける時間があるお宅はこれが難しいでしょう。カラーに慣れていない犬猫は、首をだらんとうなだれて、全く動かなくなってしまったり、上を見上げたまま動かなくなってしまったり、飼い主さんにとっては早く取ってあげたい!と思う状況に陥りますが、そんな状況も2、3日ですぐに良くなるでしょう。

動くたびにカラーがぶつかってしまって咳き込んだり、食事や飲水が自由に出来ずにいたりした犬猫も、数日経てば自分の身体の一部のようにカラーを使いこなします。食事や散歩も上手にできるようになるでしょう。最初の数日を見るに見かねて、指示を無視してカラーを取ってしまうと、傷口を悪化させたり、縫合した糸を取って飲み込んでしまったり、絆創膏を食べてしまったり、傷以外の問題でまた動物病院へ駆け込むようになってしまいますから、心苦しいとは思いますが、慣れるまでは我慢して早くカラーを外すことが出来るように、傷の治療に専念しましょう。

Neige



動物看護士/トリマー

現役動物看護師・兼トリマー。 生涯学習、駆け足で前に進む医療にマイペースに追いかける毎日。 犬猫に関する色々なことをわかりやすくお伝えします。

関連記事

背中が突然ビクビク…■1~4歳の猫は要注意!猫の「知覚過敏症」とは

愛猫をブラッシングすると突然背中を波打った様にビクビクさせることがあります。結構良く見る現象です。ワタクシ、「あら、ここが気持ちよいのね。」くらいに思っていました。 しかし!この背中の……

猫の健康と病気

嫌がる猫でも大丈夫! 猫に薬を飲ませる方法とは?

猫を病院に連れて行って診察してもらった後、獣医さんから「家に帰ったら、食事の後にお薬を飲ませてください」と言われて、焦った経験、ありませんか? そもそも猫は強要されるのが大嫌いです。薬……

猫の動物病院

飼い猫が薬を飲んでくれない!猫に薬を飲ませる方法とは

飼い猫が高齢になってくると、年齢に比例する形で疾病のリスクが高まります。 中には手術が必要な病気もありますが、基本的には投薬によって治せるものが多く、家庭で投薬をしてあげる方法を知って……

猫のストレス

【動物看護師が徹底解説!】猫の健康チェック!毎日チェックしたい項目は?

猫は病気を隠す生き物です。犬も同じですが、猫のほうが見破るのがとっても難しいのです。些細な病気のサインを見逃さないためにも、愛猫の普段の状態をよくよく知っておくことが大事です。愛猫の健康チェ……

猫の健康の基礎

猫の健康を維持する為には?猫のエサの与え方と与えてはいけない食材

私たち人間は、健康に毎日を過ごす為に日頃から食生活に気をつけたり、運動や睡眠を充分にとったりしています。健康管理をする事で風邪などの病気を予防します。 猫も同じです。野良猫の場合は、本……

猫の食事・キャットフード

【動物看護師が徹底解説!】犬猫が傷口をなめるのはどうして?対処法は?

愛犬、愛猫が怪我をした時、動物病院で治療を受けると必ずといっていいほどエリザベスカラーを付けておいてください、と言われませんか?カラーを付けるととても窮屈そうだし、動きにくそうで、飼い主さん……

猫の健康と病気

猫の歯磨きを無理なく始めたい! 焦らず習慣にするポイントとは?

猫の歯磨きを思い立って始めようとしても、たいていの猫は口を触ったり開けたりすること自体を嫌がってしまいます。歯磨きは焦らず習慣にしていくことが大切です。 また最近では、様々なデンタルケ……

猫の歯・口の病気

猫の目を見て健康管理! 猫の目のチェックと手入れのポイントとは?

猫の目を毎日チェックしているでしょうか?実は目の色や目やにの色など、細かい点に気をつけてみることが病気の早期発見などにもつながります。 猫の目やにがひどい時は細菌感染などになっている場……

猫の目のお手入れ

手こずっている飼い主さん必見! 猫への上手な投薬方法について

どうしてもこの薬を飲んでもらわないと困る!そんな飼い主さんの痛切な思いは、残念ながら猫には通じません。 フードに薬を混ぜても“ペッ”、直接錠剤を口に入れようとしても頑として口を閉ざした……

猫の言葉・気持ち

医療ミスでペットの犬や猫が死んだ場合、損害賠償請求はできるの?

獣医師のミスによるペットの死亡。考えたくないことですし、あってはならないことですが自分のペットに事故が起きる可能性はゼロではありません。 もし獣医師から充分な説明がなかったり、治療を選……

猫の幸せ

猫も車に酔う?車酔いの症状と対策【動物看護師が徹底解説】

愛猫を動物病院に連れて行くときに車に乗せる飼い主さんも多くいるのではないでしょうか。そこで気になるのが、車酔い。猫は車に酔うのでしょうか?また、どんな症状が出て、どんな対策をすればよいのでし……

猫の健康と病気

【動物看護師が徹底解説!】心配しなくていい嘔吐と危険な嘔吐の見分け方(猫篇)

猫は比較的よく吐く生き物ですが、だからといって「いつものことだから」と見逃すのもよくありません。嘔吐という症状が出る疾患はたくさんあり、病院に連れて行くか否かの判断は100%飼い主さんに任さ……

猫の体外に排出したものの変化や異常

獣医師が教える!犬や猫はインフルエンザにかかるの?

冬本番となり、今シーズンもインフルエンザの流行が本格化してきました。人がかかるととても辛いインフルエンザですが、犬や猫にもインフルエンザがあるのか気になった人はいませんか?今回は、犬や猫のイ……

猫に関する冬の注意

病気だと思って動物病院に駆け込んだら…(笑)犬や猫の飼い主さんの勘違いエピソード!

初めて犬や猫と暮らす飼い主さんは心配なことがたくさん!!ご飯はこれでいいのか?トイレのしつけは大丈夫か?接し方は間違っていないか?など分からないことだらけで不安になることが多いのではないでし……

初めて猫を飼う心構え

野生的な猫の姿に犬のような性格? オシキャットの歴史、特徴、魅力

ヒョウ柄で野生的なルックスにもかかわらず、人懐こい犬のような性格のオシキャット。そのギャップは多くの猫好きを惹き付けています。 我道を行くタイプの猫と違って濃厚なコミュニケーションや心……

猫の健康と病気

【動物看護師が徹底解説!】犬猫に塗り薬を使用するとき注意するべきことは?

愛犬・愛猫がケガや病気をしたとき、自宅で軟膏などの塗り薬を塗ってくださいといわれることがあるでしょう。塗り方や塗る量は、獣医の先生の指示通りに行えばよいものの、塗ったところをどう管理してよい……

猫の健康と病気

【猫の育て方】特に子猫を育てる時に絶対にしてはいけないポイントとは

愛猫カイトを拾った日の事は、今でも鮮明に思い出します。明け方から庭の隅でニャオニャオ鳴き声が聞こえる、と知らせに来たのは、いつもは寝起きの悪い娘。まだ薄暗い中、私と一緒に外に出て子猫を探し出……

猫の健康と病気

猫の飼い主は、情報交換の場として活用できる動物病院の待合室

動物病院の診察代は高い… 怪我や病気でなくても、猫は予防接種や虫対策のために動物病院へ通院する機会があります。ただ病気の予防対策のために通院しても、保険のきく人間と違って支払う金額は安くあ……

猫の動物病院

「猫風邪」の症状と治療について【動物看護師が解説】

”猫風邪”という言葉をよく聞きませんか?その名の通り、猫の風邪なのですが、人間のように放っておけば治るような軽い風邪のことをいうわけではありません。猫風邪は立派な病気で、治療をしなければ重篤……

猫の感染症

サルにそっくりな猫!? キンカジューの生態、食性、性格について紹介します

キンカジュー、という動物を最近知った方も多いのではないでしょうか。「珍ペット」というマイナーな存在のキンカジューですが、最近、テレビ露出が増えてきたこともあり、にわかに注目が集まってきていま……

猫の健康と病気