2016年9月30日更新

僕らの居場所は言わにゃいで その16:口にしにゃい方がイイ

末吉弦太



写真家

カメラマンとして企業のウェブサイト・広告用の写真を撮影する傍ら、各地を転々としつつ外暮しの猫たちを撮り続ける。 主要機材:PENTAX 645Z、Nikon D5、FUJIFILM X100 撮影場所を公にすることのリスクや問題について警鐘を鳴らすハッシュタグ「#僕らの居場所は言わにゃいで」を使って、猫の居場所をシェアするのではなく、静かに見守る気持ちをシェアしませんか?

 

横浜赤レンガ倉庫 ねこ写真展の準備だなんだと忙しく毎日を過ごしている今日この頃。

皆様いかがお過ごしでしょうか。

前回は「#僕らの居場所は言わにゃいで」の根本にある考え方についてお話させていただいたのですが、今回は猫が沢山いるとメディアが取り上げたり、SNSで拡散されてしまった土地で実際に起きた出来事について触れたいと思います。哀しい話もあるので、苦手な人はここで引き返すことをオススメします

僕らの居場所は言わにゃいで

そして憶測や推理で話している部分も少なくないため、話半分に読んでいただけると幸いです。

ちなみに、その土地には以下のような前提条件があることを念頭にお読みください。

1.橋で他の土地と繋がっているが、猫が自力で橋を渡る確率は極めて低い(人間は車で昼夜問わず簡単にアクセスできる)

2.定期的に避妊・去勢を行っているので、土地の中で繁殖はほぼ起こらない

3.猫の亡骸が発見された時には、その地域の連絡網に情報が引っかかってくる

■猫の大量蒸発

SNSやスマートフォンが本格的に普及する直前、まだブームというほど猫に色気を感じる人が少なかった頃の話ですが、テレビでその土地が「猫の沢山いる場所」として取り上げられました。もともと猫好きの間では知られている場所で写真を撮りに来る方もそれなりにいたものの、放送後は猫目当てに足を運ぶ人が倍以上になったと記憶しています。

当時の自分は「猫たちにしてみりゃ騒がしいだろうが、別に害があるわけでもなし・・・」と考えていました。しかし一ヶ月ちょっと経った頃から、妙なことが起こり始めた。

僅か3週間ほどで、顔なじみの猫が次々と姿を消していったのです。

しかも、1匹、2匹ではなく、5~6匹の猫のグループがまとめていなくなるという現象が、あちこちで発生。どう考えても普通ではありません。いったい何が起きているのか。当時、幾つかの可能性が考えられていました。

1.見かけた猫を気に入った人が、家族にしようと連れて帰った。

2.猫インフルエンザなどの伝染病が蔓延して、大量に亡くなった。

3.虐待目的で猫をさらう人間が来た。

ひとつめの「家で飼う」可能性についてはゼロでないものの、多くのエリアで一晩の間に猫が5~6匹まとめて蒸発したことを考えると、そんな大量の猫を家に連れて帰る豪快な人が何人もいるとは考えにくいのが現時的な評価です。

次に伝染病の蔓延の場合は亡骸が大量に見つかるべきで、そうした亡骸や具合の悪い子が発見されなかったことから考えると、この可能性についてはゼロに等しいと評価して良いでしょう。

虐待目的で猫をさらった可能性についても、虐待だとすれば行動している人間の単位はほぼ個人か、グループだとしても小規模。30匹もの猫を一斉にさらってどこかで虐待、亡骸を処理する労力をいとわぬ個人/グループというのは果たして存在しうるのか。

他の土地でも個人が地域の猫を大量に殺した事件がありましたが、その時は亡骸が放置されていたことを考えると、些か現実的はないというか、そんな連中が現実を跋扈しているだなんて思いたくないところ。

では何故、猫たちが突然、大量に姿を消したのか?

土地の人達と協力して見回りや調査をする中「猫獲り業者」という何とも怪しい単語をところどころで耳にするようになりました。

僕らの居場所は言わにゃいで

■そして傷つけられ

野良猫をさらって生計を立てる職業なんてホントにあるのか?と眉唾に思う方もいるでしょう。自分も同じ気持ちです。そもそも、そんなんで、どうやって金を稼ぐのか?ワケがわかりません。

しかし人慣れしている、していないに関わらず30匹もの猫がきわめて短期間に姿を消したのは紛れもない事実。しかもそれが決して好意的に連れて行ったのではないと思わせる出来事が、猫の大量蒸発と同時期に起きていたのです。

それは「前足を脱臼した猫が複数見つかる」というもので、不思議なことに負傷して見つかったのは蒸発した猫たちと一緒に行動していた猫ばかり。治療にあたった獣医によれば、強い力で腕を引っ張られたに違いないとのこと。

仲間の猫が大量に蒸発した事と前足を脱臼している事以外、共通点のない猫たち。大量蒸発と何らかの関連を疑うのは、自然の成り行きではないでしょうか?

その後、地元の人や常連さんなどの有志で昼夜の見回りを行うようになってからは事態が一気に沈静化しましたが、蒸発した猫たちがどうなったかは未だに謎のまま。

ただ、色々と聞き取りを行う中で「大量蒸発の発生1週間前に、やたら猫の居場所を調べ回っては地図に書き込む女性がいた」という怪情報や、その翌年以降、近隣の土地でも同じ季節に地域の猫が大量にいなくなったと聞いてます。もしかすると猫を攫って回るキャラバンみたいな猫獲り業者が存在するのかもしれませんね。

僕らの居場所は言わにゃいで

■また捨てられる

その土地では、だいたい年間に捨てられる猫の数が20匹いかないくらいで、それを超えるようだと「ちょっと多いな」と感じるのですが、近年は猫ブームということで「沢山の猫に会えるスポットを紹介」的な特集を(地元の人の確認もせずに)組む雑誌があって、それらが刊行された後は様相が一変します。

去年は特集を組んだ雑誌が発売されてからSNS上でその土地の猫についての投稿がわっと増え、それに呼応するかのごとく捨て猫が急増。わずか3ヶ月の間に20匹以上の猫が捨てられるという事態に陥りました。

僕らの居場所は言わにゃいで

もちろん猫特集を組んだ雑誌と捨て猫急増の関連は不明ですが、去年は雑誌が発売されるまで捨て猫が例年よりも少なく平穏だったので、雑誌やSNSの投稿と何かしら関係があると考えるのは決して無茶な発想ではないでしょう。

ここで皆さんに意識していただきたいのは、テレビや雑誌をはじめとするメディアの影響力だけではなく、個人がインターネット上に発信した情報の息の長さです。

もちろんテレビや雑誌の影響力は決して小さくない。それでも、テレビは放送を見ていなければ、雑誌も在庫がはけてしまえは、それきりです。

しかし、テレビや雑誌を見て足を運んだ人たちによる猫たちの居場所に関してメディアよりも詳細な情報を記した投稿は、投稿した本人が消さない限りインターネット上に残り続け、そうした投稿の数は一冊の雑誌、一本の番組よりも遥かに多く、検索すれば容易に、しかもタダで入手できる。

猫さらいなんて方法でしか生計が立てられぬ人や、飼い猫の一生にさえ責任が持てない人が、それらの投稿を参照する可能性について「絶対にある」と断言は出来ませんが、同時に「絶対にない」とも断言できません。

たとえるなら、常温で三日経過した夏の玉子サンド

明らかに変色していて、食べられなくもないけど、お腹を壊すかもしれない危うさ。

よっぽどの事情がない限り、普通は食べません。

猫と居場所も玉子サンドも、僅かにでもリスクがあるのなら口にしにゃい方がイイよ!ということで・・・(誰がうまいこと言えと)

それでわ、また。

★告知・写真展に参加いたします

横浜赤レンガ倉庫 ねこ写真展

会場:神奈川県横浜市中区新港1-1-1 赤レンガ倉庫1号館 2F

日程:11月2日~7日

時間:10:00~19:00(最終日は15:00迄)

入場料:500円(小学生以下無料。当日に限り再入場可)

http://akarengasoko-catphoto.yokohama/

「僕らの居場所は言わにゃいで」をテーマにした写真の展示を行います。

ここでしか買えない限定フォトブックもありますよ!!

★facebookページでのイイね!も宜しくお願いします。

https://www.facebook.com/events/669234779899544/