2016年12月25日更新

【動物看護師が徹底解説!】猫の去勢手術や避妊手術。術後に注意しておきたいポイントは?

生後半年を過ぎると勧められることの多い、避妊去勢手術。去勢手術は日帰りで行えることが多く、避妊手術であっても1日程度で帰ってくることができ、”そんなに大掛かりではない手術”というイメージですが、実は、大変なのは手術自体ではなく、術後だったりするのですよ。

術後に多いトラブルは?

術後に多いトラブルは、傷口を舐めてしまうということです。大抵は、傷口に絆創膏と首にはエリザベスカラーをして、舐めないように対策を打ちますが、それをうまくかいくぐって舐めてしまうのが猫という生き物です。とにかくこの手のトラブルが多く、傷口を舐めて化膿してしまった、糸がとれてしまった、ひどい時には傷口が開いて血が止まらないなんてこともあるのです。

傷口に触れさせないためには

猫は非常にエリザベスカラーを嫌う生き物なので、カラーを付けられてしょんぼりしてしまった愛猫を見ると、今すぐ取ってあげたい…と思うのが飼い主さんですよね。でも、ちょっと待ってください。カラーをして数日落ち込みながら過ごすのと、カラーを外して気が楽になったのは良いものの傷口をいじり倒して血が止まらなくなるのと、どちらが良いでしょうか?

カラーを付けて食欲がなくなることもあるでしょう。上手く歩けなくなることもあるでしょう。でも、それも傷が治るまでの数日間だけのことです。愛猫のために何が1番良いのかを考え、カラーを外したい気持ちをぐっと堪えてくださいね。

傷口が化膿したら、治療はもっと長引きます。飲むお薬が増えます。糸を外してしまったら、また縫わなくてはいけなくなります。傷口が開いてしまったら、また麻酔をかけて手術をしなくてはならなくなります。可愛い愛猫のためです。飼い主さんも頑張りましょう。

術後の気をつけるべきサインは?

カラーをきちんとはめていて、傷口が舐められないようになっていても、トラブルが起きることがあります。気をつけるべきサインをまとめてみましょう。

傷口が緑色に膿んでいる

傷口が膿んでいる場合は、消毒や抗生物質を投与してもらう必要があるため、必ず手術を行った動物病院を受診しましょう。

傷口を縫った糸が皮膚にめり込むように締まっていて、糸を通した穴が裂けそう

避妊手術に多い例ですが、傷口の腫れがひどく、結んだ糸がめり込んでしまい、痛みを伴うことがあります。傷が腫れることを想定して、少し緩く縫いますが、それでもスペースが足りなくなってしまうこともあります。この場合も必ず手術を行った動物病院を受診し、糸を切って縫合し直すのか、そこだけ糸を抜くのか、何らかの処置が必要であればしてもらいましょう。

血が止まらない

去勢手術は睾丸を取り出し、避妊手術は卵巣と子宮を取り出すので、当然出血があります。しかし、傷口から漏れ出すような出血は異常です。どこかの血管が裂けたか、止めたはずの出血点から再度出血している可能性があるので、すぐに手術を行った動物病院を受診しましょう。絶対に様子を見ることはしないでください。失血死する可能性があります。

おしっこが全く出ない

術後から全く尿が出てない場合は、すぐに手術を行った動物病院を受診しましょう。

必ず術後3日までは尿が出ているか確認をし、3日以内に1回でも出れば問題はありません。しかし、2日以上経っても出ない場合は、すぐに受診する必要があります。これは避妊手術に多く、完全な病院側の過失です。術中に尿管を傷付けたり、尿管を間違えて結紮(結ぶ)ことにより起こる尿閉です。3日を超えると尿毒症になり、死に至る可能性があるので3日経つ前に必ず病院へ連れて行きましょう

元気・食欲がなく、ぐったりしている

術後から調子を崩すこともあります。手術をしたストレスや、痛みからくる不調ならまだ良いですが、術中に使った器具や薬剤へのアレルギー、術中に循環が確保されていなかったことにより多臓器不全など、様々な可能性が考えられるので、様子がおかしいと感じたらすぐに手術を行った動物病院を受診しましょう。

手術は手術。大きいや小さいは関係ない

かなり大掛かりな手術を、大手術なんて呼ぶこともありますが、手術に対するリスクの量は何をしても同じです。去勢手術は特に、30分程度で終わりますよ、術後数時間で帰れますよ、と言われることもあるので、いわゆる軽い手術と勘違いしてしまいがちですが、去勢手術にも避妊手術にも、同じだけのリスクがあります。避妊去勢手術は、猫を飼う上で当然と考えられがちな手術なので、なんとなくその時期になったからする、ではなくきちんとメリット・デメリットを理解した上で手術に臨むようにしましょう。

Neige



動物看護士/トリマー

現役動物看護師・兼トリマー。 生涯学習、駆け足で前に進む医療にマイペースに追いかける毎日。 犬猫に関する色々なことをわかりやすくお伝えします。

関連記事

【獣医師監修】猫の避妊・去勢の必要性について。メリット、費用、変化のまとめ。

猫を飼うとオス・メスに関わらず、避妊や去勢が必要になってきます。 猫は毎年、発情期が来ると1回に3~5匹の子猫を産みます。これを続けていくと、どうなるかは想像できるのではないでしょうか……

メス猫の去勢手術

猫の避妊手術や虚勢手術が終わってからの変化と注意点【獣医師が解説】

避妊・去勢手術後は、卵巣や精巣が無くなることによって、猫の体にさまざまな変化が見られます。今回は、手術が終わった後に気を付けておいた方がいいことや、どんな変化が起こるのかについてお話しします……

猫のニュース

なんだか外がにぎやか…1月頃からはじまる猫の発情期ってどんな感じ?

1月頃になるとそろそろ気になってくるのが猫の発情期。大きな鳴き声が気になって眠れないという方もいるのではないでしょうか? そもそも発情期ってなに? 猫の発情期はメス発信です。まず……

猫の雑学

猫の避妊・去勢手術をするメリットを徹底解説!手術を控えてる方は必見!【獣医師が解説】

猫の病気の予防のために避妊手術・去勢手術がおすすめだと聞いたことはありませんか?「健康な子に手術なんてかわいそう……」と思う飼い主さんも少なくないと思います。しかし、避妊・去勢手術にはそれぞ……

オス猫の去勢手術

完全室内飼育の猫でも去勢・避妊手術は受けた方が良いの?【動物看護師が徹底解説】

最近では純血種の猫を意図的に選んで飼う方も増えてきていて、猫の完全室内飼育が定着しつつあります。しかし、一方で野良猫から家猫になった場合、定期的に外へ出しがちで事故や感染症で命を落とすことも……

オス猫の去勢手術

【動物看護師が徹底解説!】1歳を超えた猫は避妊・去勢手術をしても大丈夫?メリット・デメリットは?

猫を家に迎えて間もないうちに考えなくてはならないことといえば、避妊・去勢手術のことでしょう。完全室内飼いで、交配をするリスクは皆無とはいえ、性ホルモンに由来する病気を予防することができると言……

猫の子宮蓄膿症

もうすぐ愛猫の去勢手術!!その前に知っておきたい知識とは(オス)【獣医師が解説】

もうすぐ去勢手術。知っておきたい知識とは オス猫の不妊手術である「去勢手術」。去勢手術は、単に妊娠能力を無くすだけでなく、問題行動を減らして、猫の寿命を延ばしてあげるための大切な手術で……

猫のニュース

犬や猫の不妊・去勢手術に助成制度があるって知ってた?

若干古いデータになりますが、環境省が平成23年に行った調査では、飼っている犬に不妊・去勢の手術をしていないと答えた飼い主さんは全体の半数以上、猫の場合は犬よりは手術割合が高く、手術をしていな……

オス犬の去勢手術

【動物看護師が徹底解説!】猫の去勢手術や避妊手術。術後に注意しておきたいポイントは?

生後半年を過ぎると勧められることの多い、避妊去勢手術。去勢手術は日帰りで行えることが多く、避妊手術であっても1日程度で帰ってくることができ、”そんなに大掛かりではない手術”というイメージです……

オス猫の去勢手術

獣医師が教える! 避妊手術が犬・ネコの身体に与える影響って?

犬・猫のメスには、避妊手術が必要という意見をよく耳にします。犬・猫の子が増えすぎることは社会問題になっていますが、健康な体に傷を付けるのはかわいそうな気もします。そこで、獣医師で、V.C.J……

猫の不妊手術、なぜ必要?知っておきたい手術時期と、費用の相場。

愛猫家の間では常識になりつつある猫の不妊手術ですが、「健康なのに手術なんてかわいそう」「自然のままが一番では?」そんな疑問の声もまだまだ根強いようです。 今回はそのような疑問にお答えしつつ……

オス猫の去勢手術

猫は単独主義?猫を多頭飼育するときの注意点。

猫を既に1匹飼っていて、老猫になってきた、お留守番時に寂しくないようにと2匹目を飼うことを考える飼い主も多いと思います。 特に猫を飼うのが初めての人や、あまり猫について詳しくない人だと……

犬のしつけの基礎

外猫と家猫で違いがある…!?ネコの『発情期』について獣医師が教えます!

春が近づいてきた夜、突然外から「フギャー!」という猫の大きな鳴き声を聞いたことのある人は多いでしょう。また、まだ幼いと思っていた愛猫が突然「ウァーオ!」と独特の鳴き声を出して驚いた人もいるか……

しっかりと考えよう!猫の去勢・避妊について

猫を飼うときにしっかりと考えておく必要があるのが去勢や避妊の手術についてです。 しっかりと考えておかないと困ったことになるのは飼い主本人で、猫が妊娠してしまったあとでは手遅れとなってし……

オス猫の去勢手術

猫を災害から守るために必要なこと、準備は?どう行動する?

突然襲ってくる災害からペットを守るためにはどうしたらよいでしょうか?自分自身も危険にさらされる中、ペットの身を守るのは容易なことではありません。今回は猫の飼い主さん向けに地震などの災害に備え……

オス猫の去勢手術