2016年12月3日更新

感染症・ストレス・ホルモン疾患…猫の毛が抜ける病気とは

後藤大介



獣医師

 

ある日気付いたら、ふわふわだった愛猫の毛が薄くなっている!?猫を飼っているとそういうシチュエーションに出会うことも少なくありません。今回はそんな時に考えられる病気と対策をご紹介します。
脱毛には一部分の脱毛(限局性脱毛)と全身的に広がる脱毛(び漫性脱毛)があります。それぞれ分けて考えてみましょう。

 

限局性脱毛を起こす原因と対処法

猫_素材

感染症~皮膚糸状菌と疥癬症

猫で気を付けたほうがいいのが「皮膚糸状菌症」です。これは人のいわゆる水虫菌と同じものです。人とネコで共通の感染症であり、猫から人へ、人から猫へうつることもあります。猫では顔の周りや体の一部に限局した脱毛を起こすことが多いです。毛が好きな菌ですので、長毛の子では治りにくく、また多頭飼いの猫では、猫同士で映しあってしまうため、長引くことが多いです。広がる前に早めに気付いてあげることが大切ですよ。治療は塗り薬や飲み薬、シャンプーになります。
感染症としては他に、疥癬症でも顔面を中心とした脱毛を起こします。その場合は強い痒みや脱毛部のかさぶたが特徴的です。疥癬症は比較的早く良くなることが多いです。

ストレスが原因「舐性(しせい)脱毛」

あまり知られていないかもしれませんが、猫の脱毛の原因で多いのが、この舐性脱毛です。舐性脱毛は、特別大きな皮膚の異常がなくても本人が気にしてずっと舐めることで脱毛してしまいます。何らかのストレスが引き金になるといわれており、舐めることを繰り返すことで、ストレスを忘れて気持ちを落ち着かせようとしているようです。舐性脱毛の場合、内股や太ももの外側など舐めやすい皮膚の脱毛が多いです。環境の変化などのストレスがあった後の脱毛は舐性脱毛を疑ったほうがいいでしょう。舐性脱毛の治療には、ストレス対策などが必要になってきます。

び漫性脱毛を起こす原因と対処法

Protect the cat from ticks and fleas

下半身の脱毛を起こすノミアレルギー性皮膚炎

外に行く子や、野良猫ちゃんとの直接・間接的な接触がある場合には、ノミアレルギーで脱毛することがあります。ノミアレルギーは基本的に下半身に出ることが多く、お尻の周りのかゆみと脱毛が特徴です。背中に垂らすノミ駆除のお薬とともに、ステロイド剤などのアレルギーを抑えるお薬が必要になります。

顔のかゆみと脱毛を起こす食事アレルギー

猫の食事アレルギーはなかなかわかりづらいこともあります。顔の周りの脱毛やかゆみが主な症状であることが多いですが、進行すると全身の脱毛を引き起こすこともあります。診断が難しく、食事変更などの試験的治療で反応するかどうかを見て行くことが多いです。

高齢の子にとっても多い甲状腺機能亢進症

高齢の猫では甲状腺機能亢進症というホルモンの病気が非常に多いです。甲状腺機能亢進症になると、毛がごわごわして全体的に薄くなることがあります。高齢の猫で体重減少などとともに、毛質の悪化と脱毛があった場合には、甲状腺機能亢進症の可能性があります。薬で良くなることが多いので早めに病院で診てもらった方がいいでしょう。

 

毛が抜けてきたら病院で診てもらおう

脱毛を起こす病気、いかがでしたか? 代表的な病気をご紹介しましたが、脱毛を起こす原因は他にもあります。脱毛を起こす病気には、他の猫や人にうつる感染症や全身状態に影響するホルモン疾患などもあるので、早めに病院へ行って治療法を相談されることをお勧めします。どんな病気でも早期発見早期治療が一番ですね。

 
 

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