2016年12月30日更新

【動物看護師が徹底解説!】犬の永久歯が抜けてしまったら…原因別対策法まとめ

ある日突然、愛犬がごはんを食べなくなった。大好きなジャーキーも骨のおもちゃも噛もうとしない。体調の変化がないのに、食欲だけがなくなり、何も口に入れようとしないのはもしかしたら、歯が痛いのかもしれません。子犬でもないのに歯が抜けたり、歯のかけらのようなものが落ちていたら要注意です。

犬の歯の数は?

成犬の永久歯の数は42本、子犬の乳歯の数は28本といわれています。永久歯に生え変わるときは、倍くらいの大きな歯が生えてくるので歯垢や歯石がたまりやすくなり、歯周炎の原因にもなります。歯周炎はひどくなると歯が抜けてしまうこともあるので、是非とも日々の手入れで予防したいものです。

ひと昔前は、犬の唾液は虫歯菌の繁殖しにくい環境にあるので犬は虫歯にならないといわれていましたが、最近では犬の虫歯が報告されています。数は多くないものの、10頭に1頭くらいは虫歯になっている・なりかけていることがわかってきているので、デンタルケアは積極的に行いましょう。

虫歯や歯周炎は歯が抜ける原因に

歯石が多くたまって歯肉に炎症が起こったり、虫歯で歯がもろくなると永久歯であっても抜けてしまうことがあります。歯が完全に抜けてなくなってしまうのであればまだしも、歯根を残したまま中途半端に折れてしまうと、痛みや化膿の原因となり、人間の手で歯肉を切開し、歯根を除去する処置をしなくてはならなくなります。もちろん無麻酔では行えないので、全身麻酔をかけて処置することになり、体への負担や麻酔のリスクは少なからずかかります。

歯が抜けずに、欠けることも

硬いものを食べるのが好きであったり、硬いおもちゃでよく遊ぶ犬に多い症例が、歯が欠けてしまったというものです。人間の歯と同じように、犬にももちろん歯の中央部分には歯髄と呼ばれる神経が通る部分があるので、歯が歯髄の見えない部分で欠ける程度はあまり問題はありませんが、歯髄が見えるほどの深くまで欠けてしまうと、感染がおこる前に早期に治療する必要があります。また、歯髄に影響がなくても、歯肉まで大きく欠けてしまい、歯が二枚重なるような状態になってしまうと、物を噛む度に強い痛みがあるので、治療が必要になります。

自宅でよく起こる事例

おもちゃで遊んでいたら出血と、歯のかけらのようなものが!

ある程度柔らかいおもちゃであれば問題はないものの、木や骨などを日常的に噛んでいると、噛んだあごの力がそのまま歯への負担になり、歯が欠けてしまうことがあります。歯が欠けることは”破折”と呼ばれ、歯髄が表に見えてしまうと感染・炎症を起こす危険性があり、早期の治療が必要になります。

歯のかけらが目の見えるところに落ちているのであれば保管し、飲み込んでしまったらそのままでよいでしょう。すぐにかかりつけの動物病院へ受診し、経緯を話しましょう。歯髄が見えている場合は歯内治療という、歯髄の処置をすることになり、見えていない場合はそのままか、欠けた部分を修復する処置を行うことになるでしょう。

欠けた歯が発見できなければ、なかなか歯が欠けたとは思いつきにくいですが、何か異変を感じたら、犬の歯をよく観察してみましょう。

歯肉炎の治療中だったのに、歯が抜けてしまった

歯肉炎の炎症で歯茎が痩せ、歯は傷ついていないものの、根本からポロリと抜けてしまうことがあります。抜けたときはそれほど痛みはありませんが、歯がぐらぐらしているうちはドライフードやおもちゃをかじると痛みを感じるので、歯が抜けたときよりも、その前に犬の異常を感じることが多いでしょう。

根本から抜ければ問題はありませんが、歯肉の穴に感染が起きたり、歯が途中で折れている可能性もあるので、発見したらかかりつけの動物病院へ受診しましょう。早ければ早いほど、感染の予防になり、重症化を防ぐことができます。

歯が健康であっても事故で抜けたり、欠けたりすることもある

日々のデンタルケアを怠っていなくても、事故で歯が傷つくこともあることは理解しておきましょう。しかし、歯のトラブルのほとんどはデンタルケアが足りないことが原因で起こります。歯が欠けてしまっても、欠けた部分を修復することなどもできますが、多くは付けて・取れて、を繰り返して、全身麻酔での処置を何度も受けることになることもあります。健康な若い犬であれば耐えられますが、大抵は高齢で歯が弱った頃にトラブルが起こるので、全身麻酔をかけるのも体にとっては一苦労です。

これらを予防するには、日々の徹底的なデンタルケアですが、なかなか口元を触らせてくれなくて難しい場合は、健康なうちに定期的に歯石除去手術を受けるなどして、歯の健康を保ちましょう。

歯のトラブルのサインを見逃さないで

口元に違和感を覚えると、床に頬をすりつけたり、手で掻いたりします。食事をとるのを嫌がるようになり、柔らかいフードは食べるが、硬いフードは食べたがらないこともあります。柔らかいフードの方が美味しいと認識している飼い主さんも多いので、ただ甘えているだけと感じることもありますが、歯が痛いのかな?と少し疑ってみてくださいね。

歯のトラブルを起こしてから自宅で行える処置は皆無です。応急処置も止血処置程度でそのほかは難しいでしょう。何か異変を感じたら、すぐにかかりつけの動物病院へ受診してくださいね。

Neige



動物看護士/トリマー

現役動物看護師・兼トリマー。 生涯学習、駆け足で前に進む医療にマイペースに追いかける毎日。 犬猫に関する色々なことをわかりやすくお伝えします。

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