2017年6月16日更新

「猫風邪」の症状と治療について【動物看護師が解説】

Neige



動物看護士/トリマー

現役動物看護師・兼トリマー。 生涯学習、駆け足で前に進む医療にマイペースに追いかける毎日。 犬猫に関する色々なことをわかりやすくお伝えします。

 

”猫風邪”という言葉をよく聞きませんか?その名の通り、猫の風邪なのですが、人間のように放っておけば治るような軽い風邪のことをいうわけではありません。猫風邪は立派な病気で、治療をしなければ重篤な症状にもなりうる怖いものです。では、猫風邪とは一体何で、どんな治療をするものなのでしょうか?

 

猫風邪は3つの病気をまとめたもの

”猫風邪”という病名が存在するわけではなく、風邪によく似た3つの病気をまとめて猫風邪と表現しています。

猫ウイルス性鼻気管炎

猫ウイルス性鼻気管炎は、ヘルペスウイルスに感染することによって風邪のような症状を引き起こす病気です。特に離乳期から自己免疫がつくまでの子猫の間にかかりやすく、一度感染すると症状は落ち着いてもウイルスは体の中に残ることになります。成猫になってからは、ワクチンで防ぐこともできますが、一度感染していると体の免疫が下がった時に体の中のヘルペスウイルスが増殖し、再び症状が出ることがあります。

鼻気管炎になると、その名の通り風邪のような症状がみられます。くしゃみや鼻水、目が開かなくなるほどの目やに、発熱、食欲不振、下痢などです。子猫の時に感染すると進行が早く、食欲不振による衰弱・低血糖、下痢による脱水などで死に至ることもあります。鼻水やくしゃみに加えて、重度の結膜炎が見て取れるのが特徴で、炎症がひどくなると目が潰れたり、角膜と粘膜が癒着を起こすなどして将来的に視力に障害が出る可能性があります。

猫カリシウイルス感染症

これは、カリシウイルスに感染することにより発症する病気です。鼻気管炎と同じように子猫の時にかかりやすく、ワクチンで防ぐことができます。症状は、くしゃみ鼻水などの風邪の一般的なものに加え、重度の口内炎、舌炎などが現れるのが特徴です。

口内炎や舌炎を起こすと食事が摂れなくなり、当然衰弱、低血糖で亡くなる可能性があります。しかし、それほど重度になるのは子猫の時くらいで、成猫になってからは感染しなかったり、軽い風邪で治ってしまうことが多いでしょう。

猫クラミジア感染症

これも名前の通り、猫クラミジアに感染することにより引き起こされる病気です。子猫にかかりやすく、ワクチンで防ぐことができます。風邪の一般症状に加え、重度の結膜炎、呼吸器症状が出ることが特徴です。鼻気管炎も結膜炎が起こりますが、クラミジアは鼻気管炎よりも治療が長引くことが多く、その判別は鼻水などの分泌物を見てみなくてはわかりません。症状だけで簡単に見分けることはできません。

肺炎などを起こすと衰弱が早く、子猫の場合は亡くなることが多くあります。

それぞれの治療法は?

それぞれ原因が異なるため、治療法が異なってきます。ウイルスを抑える薬を使ったり、免疫を上げる薬を使ったり、鼻水やくしゃみなど出ている症状に対する薬、結膜炎に対しては点眼薬などで対応します。長引けば長引くほど重症化しやすく、投薬では体力が持たない場合は、入院をして点滴で治療をすることもあります。

3種類のうち、いくつかを混合感染することがあり、投薬の種類を見誤ると、効果が表れないこともあります。動物病院へ行くのが大変な場合、1週間分などお薬を多めにもらいたくなりますが、どのウイルス・細菌に感染しているか確定するまでは2、3日おきに受診したほうが安心です

 

定期的なワクチンで重症化を防ぐ

猫の混合ワクチンは3種混合を勧められることがほとんどですが、3種を打つことができればウイルス性鼻気管炎、カリシウイルスは予防することができます。5種を打つことができれば、クラミジア感染症も予防することができ、猫風邪に対する重症化を防ぐことができるでしょう。

ただし、勘違いしてはいけないのは、ワクチンを打ったからといって完璧にその病気を予防できるわけではないということです。あくまでも、予防、で完全なる防御ではないのです。ワクチンを打つことに意味がないのではなく、感染しても症状がでない、もしくは、軽い症状で済ますためにワクチンを接種します。子猫のころはワクチネーションプログラムに従い、成猫になったら1年に一度必ずワクチンを打つようにしましょう。