2017年2月2日更新

【動物看護師が徹底解説!】犬同士のケンカで出血!病院につれていく?応急処置は?

Neige



動物看護士/トリマー

現役動物看護師・兼トリマー。 生涯学習、駆け足で前に進む医療にマイペースに追いかける毎日。 犬猫に関する色々なことをわかりやすくお伝えします。

 

多頭飼いや、ドッグラン・カフェ、お散歩先でしばしば問題になる犬同士の喧嘩。犬は猫のように、パンチから攻撃性を相手に示すわけではないので、一発目の攻撃が命取りになる怪我をさせることもあります。特にアゴの力が強いといわれる犬種や、大型犬から小型犬へ向けての攻撃は重症化するケースも多くあり、飼い主さんがしっかり経過を観察する必要があります。

 

飼い主さんが把握している性格がすべてではない

これは、少し悲しい現実とも思えますが、愛犬の全てを飼い主さんが把握しているわけではありません。家では全く怒ったり、噛んだりしなくても、預けられたペットホテルや動物病院では他の犬や人間を攻撃をすることで拒否を示しているかもしれません。「うちの子は、大丈夫。」が一番危険です。どんな刺激で、どんな態度を示すかはその犬にしかわかりません。

公共の場所では、愛犬のために怪我をしないようにするのはもちろんですが、怪我をさせないように十分飼い主さんが注意するのも重要な事柄です。

どんな怪我でもまず病院へ行くこと

犬同士の喧嘩というと、噛む噛まれる以外はあまり考えられません。噛む、という行為は、甘噛みでない限り必ず皮膚に傷をつけるでしょう。噛まれた、と思ったら、即座に犬同士を引き離し怪我の程度をチェックしましょう。その場では、出血がなかったり、小さな傷であったからといって観察を怠ると、次に気づいたときはひどい状態になっていたということも十分にあり得ます。

四肢や首を噛まれると皮膚に外傷がなくても、関節や神経を痛めてしばらく動くことを嫌がる場合もあります。この場合も、骨に異常がないかはきちんと調べる必要があります。例外があるとすれば、噛まれた跡が少しへこんでいて、色が変わっている程度であれば自宅で少し様子を見てもよいかもしれません。半日程度経って、ふっくらと腫れているかもしれませんが、犬の様子に変化がなく、痛みも感じていないようなら自宅で安静にしていましょう。

 

特に注意が必要なケースは

一般に短頭種がアゴの力が強靭で、本気で噛まれたら骨が砕けるといわれています。しかし、それ以外の犬種であっても、骨を砕くくらいの力は容易に持っていることを理解しておかなくてはいけません

胴体を噛まれた場合は胸膜や腹膜に炎症を起こす可能性があるので、必ず動物病院へ行きましょう。ひどい場合は内臓まで損傷します。口の中は綺麗なものではないので、傷口からばい菌が入りこみ、高い確率で化膿します。皮膚が化膿する程度ならまだしも、胸の中、お腹の中が膿だらけになるのは命取りです。腹部や胸部を噛まれた場合は、どんな場合であってもかかりつけの動物病院へ受診し、内臓に損傷がないか調べる必要があります。

その場でできる応急処置は?

自宅でできることといえば、洗浄と止血のみです。傷の周りが汚れていたら清潔な水で洗い流してください。血が止まっていない場合は、圧迫止血をして、それでも止まらないほどドバドバと出てきてしまうのであれば、一時的に血流を遮断する必要があります。血液は心臓から運ばれるので、傷の部位を心臓よりも高い位置にして流れを悪くします。傷の付近を強く締め付けることにより、血流が遮断され一時的に止血されます。しかし、ずっとそのままにしていると、血流が遮断された組織が死んでいってしまうのであまり長い時間は適用できません。出血が多いときは、これらの処置をしながら、最寄りの動物病院へ向かいましょう。

体格別になっていないドッグランは注意

最近はさまざまな犬種がペットショップやブリーダーに扱われているため、飼っている犬の種類が多様化しています。比較的攻撃性が高く、コントロールの難しい大型犬を飼っている人がいることも、もちろんあります。犬を飼うことに関しては試験や免許も必要ないので、まったくの初心者がきちんとしたしつけの知識を持たないまま、犬を飼っているということもよくあることです。十分なしつけがなされていないことに加えて、犬の狩猟本能が加わると、超小型犬や子犬が餌食となる事故が起こり得ます。体が何倍も大きな犬に噛まれたら、ひとたまりもないことは誰にでも容易に想像ができるでしょう。

体格別になっていれば安全かと問われると、そうではありませんが、体格による力の差が大きな原因となる死亡事故に至る可能性は多少下がるはずです。

誰も加害者になりたくて、なるわけではない

犬同士の事故はどんな場所でも起こります。ドッグランやカフェはもちろん、散歩や動物病院の待合室、トリミングサロンでも起こり得ます。被害者、加害者にならないためにも、愛犬のコントロールは飼い主さんがきちんと責任をもって行いましょう。加害者になってしまったら、きちんと被害者の診察に付き添い、治療費を支払うのが一般的なケースです(義務や法律で決められているわけではありません)。最初は断られても、思ったよりも高額の治療費になったので、やはり支払ってほしいといわれることもあるので、きちんと誠意をもって連絡先や名前を伝え、いつでも話し合えるように心構えをしておきましょう。