2017年1月22日更新

【動物看護師が徹底解説!】1歳を超えた猫は避妊・去勢手術をしても大丈夫?メリット・デメリットは?

Neige



動物看護士/トリマー

現役動物看護師・兼トリマー。 生涯学習、駆け足で前に進む医療にマイペースに追いかける毎日。 犬猫に関する色々なことをわかりやすくお伝えします。

 

猫を家に迎えて間もないうちに考えなくてはならないことといえば、避妊・去勢手術のことでしょう。完全室内飼いで、交配をするリスクは皆無とはいえ、性ホルモンに由来する病気を予防することができると言われると、やるかやらないか悩むところでしょう。あれこれ考えているうちに、いつの間にか1歳を過ぎて、手術の適齢期を過ぎてしまったというケースも少なくはありません。

1歳を超えた時点での避妊・去勢手術は、適齢期に受けた手術と全く同じようなメリットが得られるのでしょうか。

 

そもそもなぜ手術をするのか

そもそも、なぜ1歳も満たない小さな子猫に手術を受けさせなくてはならないのでしょうか。避妊・去勢手術の最大の目的は、殺処分をされるような飼い主を持つことのできない子猫を増やさないためといわれています。

猫は一年のうちに数回出産ができ、一度の出産頭数も比較的多いです。例えばこれを野良猫で無秩序に繰り返すと、近所中猫であふれかえってしまうのです。当然、猫が好きな人、嫌いな人、飼いたい人、飼えない人など人間の状況も様々なので、すべての猫が幸せに室内猫になり、生涯を終えることはできません。できない、ということは、野良猫として生涯を終える猫、保健所へ連れていかれて殺処分される猫が出てくるということです。こういった理由で、野良猫には避妊・去勢手術が必須であり、外へ出ない室内飼いの猫であっても脱走や侵入による不慮の交配を防ぐため手術が必要になります。

健康な体にメスを入れるのは虐待か

野良猫は飼い主がいないので、手術を受けることが本来できないのですが(連れていく人がいないため)、一部の動物愛護団体や地域の親切な方々が費用を負担して手術を受けられるようにしてくれることもあります。しかし、この行為にも室内飼いの猫に対しても、避妊・去勢は虐待だという考えもあるのが現実です。

手術を行う獣医師の間ですら、考えが割れてしまうので仕方のないことかもしれません。しかし、この手術は不幸な猫を増やさないことに加えて、性ホルモンに由来する病気が防ぐ目的もあるのです。予防率は病気により100%ではありませんが、手術を受けることにより将来受ける体のダメージを減らすことができるかもしれません。

特に雌猫は、子宮蓄膿症や乳腺腫瘍など命にかかわるケースのある病気を予防することができます。猫の乳腺腫瘍の8割は悪性といわれ、転移もあり得るので、治療が遅くなればそのまま死に至る可能性もあります。避妊手術が乳腺腫瘍の高い確率での予防になるのであれば、手術が猫にとってどれくらい有益なものになるかは容易に想像がつくはずです。

 

避妊・去勢手術の適齢期は

猫の避妊・去勢手術をすべき時期は、雄は1歳未満、雌は6~10か月程度の間に行うのがよいとされています(所説あります)。

雌の適齢期に関しては、一度発情が来たあと、一度も発情が来ないうち、どちらもあまり変わらない、など様々な意見があります。これは、どれも正しく、どれかが間違っているとは言いがたいものです。ホルモンバランスのことを考えるのであれば発情が来たあとが理想なのかもしれませんが、乳腺腫瘍の回避を考えるのであれば発情が来る前の方が理想かもしれません。

これはまだ、はっきりとしていないところで、一度発情が来てしまえば乳腺腫瘍のリスクは避妊をしない猫と同等になってしまうとの意見もあります。

1歳を超えての手術にメリットはあるのか

適齢期に手術を行えれば、悩む必要はありませんが、手術をするか否か足踏みをしているうちに1歳をこえてしまった場合はまた次の壁にぶち当たることになるでしょう。1歳を超えての手術には、適齢期と同じようなメリットが得られるのでしょうか。

病気を回避する意味では、どの時期に臓器を摘出しようがしまいが、出してしまった方が病気のリスクは下がるでしょう。しかし、あまりにも発情を繰り返したあとに摘出しても意味はないかもしれません。そして、雌猫の場合は上記のように1度でも発情してしまうと病気の回避率が格段に下がってしまう可能性もあります。適齢期であれば、発情期の攻撃的な行動や、マーキング・スプレー行為、繰り返し鳴くことなどは手術後に消失することがほとんどですが、発情を繰り返し癖になっている場合は、その後に手術をしても行動が消える可能性は低いでしょう。このように、1歳以上になってからの手術は適齢期と同様のメリットは望めないことがほとんどでしょう。

迷ったら相談を

これは適齢期であっても、1歳を過ぎても、高齢になってもそうですが、避妊・去勢手術をするべきなのか迷ったら、必ずかかりつけの獣医師に相談をしてください。病気や発情期の行動は軽減されなくても、不幸な子孫を増やさないためにはいくつになっても、手術は必要です。

頻繁に外へ出たり、脱走癖がある場合は必ず手術を受けてください。雌猫はお腹が大きくなってくるので、家で出産することになり、避妊をしなければこんなに大変なことが繰り返されてしまうと気づくことができますが、雄猫は種を付けてくるだけなので、去勢をしないということだけでどれだけの命が関わってくるかを認識しづらいでしょう。ネットで調べて、避妊・去勢手術ってなんだか怖いな・・・と目を背けてしまうのではなく、動物医療に携わる人間からメリットとデメリットをきちんと教わり、理解をしてください。それから、手術をするべきかどうかを判断するのは、飼い主さんです

麻酔を伴う手術ですから、医療ミスや手術ミスが起これば死と直結するのも事実です。しかし、きちんとした腕をもつ動物病院で手術をすれば、危険は最小限に抑えられます。費用に左右されず、きちんと信頼できる動物病院に手術を行ってもらえるよう、飼い主さんも目を光らせて判断をしてください。