2017年2月15日更新

完全室内飼育の猫でも去勢・避妊手術は受けた方が良いの?【動物看護師が徹底解説】

最近では純血種の猫を意図的に選んで飼う方も増えてきていて、猫の完全室内飼育が定着しつつあります。しかし、一方で野良猫から家猫になった場合、定期的に外へ出しがちで事故や感染症で命を落とすことも少なくはありません。事故や病気だけでなく、交配をして帰ってくることもあり、猫を外へ出す場合は避妊去勢手術が必須となってきます。では、完全室内飼育の場合は、避妊去勢手術は必要ないのでしょうか。

そもそもの目的は?

そもそも、なぜ健康な体にメスを入れてまで避妊・去勢をしなくてはならないのでしょうか。

猫は出産から次の妊娠までの間隔が非常に短く、1年に3、4回出産することができます。また、一度にたくさんの仔猫を出産することができるため、自然の流れに任せたままにすると、いつの間にか仔猫で溢れかえってしまうのです。その全ての仔猫を、親猫の飼い主が世話をしたり、他にもらい手が付けば良いのですが、そういうわけにもいかないですよね。こうして、不幸な野良猫が増え続けてしまうのです。これを防ぐ方法として、避妊去勢手術が挙げられているのです。

他の猫との接触はない?

愛猫を外へ出している場合は、他の猫との接触を完全に防ぐことができないのでやはり避妊去勢手術が必要になりますが、完全室内飼育の場合は飼い主さんの手で他の猫との接触を防ぐことができます。「交配をしてしまう機会もないので大丈夫」という方も多いかと思います。でも、本当にそうでしょうか?

猫はふとした瞬間にひょいと外に出てしまう生き物です。例え外に足を踏み出したことがなくても、好奇心で窓の隙間、飼い主さんの出入りするドアから出て行ってしまうものです。たった1回出て行ってしまったところで、絶対に交配をしてきてしまうわけではありませんが、季節によっては望まない妊娠が成立してしまうことももちろんあります。こういった事故を防ぐためにも、完全室内飼育の猫であっても避妊去勢手術は行うべきなのです。

目的は避妊去勢だけではない

避妊去勢手術をする大きなメリットは、望まない妊娠を防ぐことでありますが、もちろんそれ以外にもメリットがあります。

ホルモンに由来する病気をある程度防ぐこともでき、発情期の精神的ストレスから愛猫を解放することもできます。発情期になると盛んに鳴いたり、雄は攻撃的に、雌はくねくねと誘惑する様な仕草を続け、家の中と外であっても雌猫の匂いを嗅ぎ着けるので雄猫が家の敷地内に侵入してくることもあります。昼夜問わず鳴き続ける猫もいて、また、独特で大きな声で鳴くので頭を抱えてしまう飼い主さんも多いです。

病気の予防に関しては、特に雌猫にメリットがあります。子宮蓄膿症や、乳腺腫瘍は避妊手術をすることで高い確率で予防でき(子宮蓄膿症は避妊手術で子宮ごと取るので、ミスが無ければ100パーセント予防できる)、猫の乳腺腫瘍は8割が悪性と言われるほど厄介なので将来苦しむかもしれないことを考えると、避妊手術は良い選択肢となるはずです。

もちろんデメリットも

ここまで避妊手術に関して良い情報しか並べてきませんでしたが、もちろんデメリットも存在します。体に傷を付けること、麻酔事故のリスクがあること、何度か発情期を迎えてからの避妊手術にはホルモン由来の病気予防にならないかもしれないこと、などです。

将来病気にかかるかどうかは誰にもわかりません。避妊手術をしなくても、何もなく健康に天寿を全うする猫もいます。基本的には、避妊去勢手術をすることをオススメはしますが、先天的に病気がある、どうしても健康な体にメスを入れることが理解できない、など思い留まる理由がありましたら、かかりつけの動物病院で相談してみると良いでしょう。

なんとなく分かったふり、ではなく、迷惑でも良いので納得できるまでとことん獣医師に説明をしてもらってください。そこで嫌な顔をするなら、そこまでの病院だったということです。愛猫の体を守るのは飼い主さんですから、慎重に考えて結論を出してくださいね

Neige



動物看護士/トリマー

現役動物看護師・兼トリマー。 生涯学習、駆け足で前に進む医療にマイペースに追いかける毎日。 犬猫に関する色々なことをわかりやすくお伝えします。

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