2017年3月2日更新

猫にもできる!気ままな猫のしつけの方法【獣医師が解説】

気ままな性格は猫の魅力ではありますが、いたずらや行き過ぎたやんちゃは一緒に暮らすのには困りますね。一般的に、犬よりしつけが難しいと言われている猫ですが、ダメなことをダメと教えることで膝窩は可能になります。今回は猫にうまくしつけをするポイントをご紹介します。身近なものを使ったしつけの方法もあるのでぜひ参考にしてみてくださいね。

しつけをする前に考えること


しつけをする前に、しつけ以外で問題行動を起こさないようにする方法を実践しておく必要があります。

1. いたずらされないようにする

問題行動を起こさせない最も確実な方法は「猫を追うより皿を引け」です。人間社会で問題行動になるような行動でも、猫としては本能で行っていることも多いんです。いたずらするものを隠しておくなど、環境を変えることで対策できることは環境を変えて対策しましょう。

2. ストレスを減らしてあげる

いたずらなどの問題行動の中でも、人や物への攻撃性はストレスによる問題行動であることが多いです。最近では、猫本来の生活環境を作ってストレスを軽減する「環境エンリッチメント」という考え方が浸透してきており、お家の環境も工夫してあげることが大切です。

キャットタワーやキャットウォーク、猫ドアなど、猫が楽しく生活できる環境や、パズルフィーダーや爪とぎなど猫の本能を満たせる道具を使うことで、お家の環境エンリッチメントを行い、猫の生活の満足度を高めてストレスを減らす努力をしましょう。実際に環境エンリッチメントを行ったところ、問題行動が改善したというケースが多数報告されています。

猫にストレスがたまりすぎてしまうと、しつけが難しくなってしまいます。しつけをする際には、猫のストレスに関しても目を向けてあげるといいでしょう。

猫のしつけの基本は「正の強化」と「負の罰」


猫のしつけの基本的な考え方は「ダメなものをダメと感じてもらう」ということであり、そのためには「正の強化」と「負の罰」の2つを使ってしつけていきます。

正の強化と負の罰とは


正の強化は、「望ましい行動(正の行動)を取ることで何かしらいいことが起こり、その行動が増える(強化される)」ことです。一方、負の罰は、「望ましくない行動(負の行動)を取ることで何か悪い(嫌な)ことが起こり、その行動を控える(罰になる)」ことです。

例えば「飼い主の手を噛む」という問題行動の場合、

  • 正の強化
    正の行動:噛んでいいおもちゃで遊ぶ
    強化:飼い主が一緒に遊んでくれて楽しい
  • 負の罰
    負の行動:飼い主の手を噛む
    罰:遊びが中止されて面白くない

となります。猫の行動によって強化と罰を使い分けることで、猫が自分の行動によって起こることを少しずつ理解して、望ましい結果が得られる行動をとるようにしていくのが正の強化と負の罰です。

正の強化の方法

まずは正の強化を考えましょう。しつけの基本はこちらの正の強化になります。

しつけにおける正の行動というのは意外に発見するのは難しいです。例えばヒトへの攻撃が負だとするとそれに対応する正の行動は何があるかわかりますか?いくつかありますが「大人しく抱っこされている」「ボーっとしている」「おもちゃで楽しく遊んでいる」などが正の行動になります。こういった普通のことが正の行動になるので、その時に良い思いをさせてあげるようにしましょう。

やってしまっている人も多いと思いますが、「大人しく抱っこされている⇒嫌な場所を触られる」という「正の罰」をしないよう注意しておきましょう。これでは大人しく抱っこされていると嫌なことをされると覚えてしまい、抱っこ時の攻撃性につながってしまいます。

正の強化に使えるご褒美

正の強化に使えるご褒美は、猫が喜ぶことであれば何でもいいです。一緒にたくさん遊んであげることでもいいですし、おやつを与えてあげてもいいです。気持ちのよさそうにする場所を撫でてあげることもご褒美になります。

ご褒美を与える際の注意点は、以下の4点です。

  • はっきり猫が喜ぶ物や出来事を与える
    (猫がうれしいものであればあるほど効果は高くなります)
  • その場で瞬時にできることをする
    (時間がたってしまうと、どの行動が良かったのか理解できません)
  • 毎回ご褒美を与えてあげる
    (繰り返し行うことで因果関係をネコが理解します)
  • 家族みんなで統一して行う
    (1人が正の強化をしても、他の人が正の罰や負の強化をしてしまうと意味がありません)

正の強化は1回での効果は低いですが、負の罰に比べてリスクのないしつけの方法です。正の強化でしつけができることが理想ですので、根気よくやっていきましょう。

負の罰の方法

望ましくない行動(負の行動)に対して罰を与えるのが負の罰ですが、この「罰」には少し注意が必要です。例えば、問題行動が、「壁を爪でひっかく」だったとします。壁を爪で引っかいてしまうという負の行動に対して、あなたなら以下のどの罰を与えますか?

  1. 強く怒る
  2. 次の餌を抜く
  3. 天罰が来る

どれも猫にとっては嫌なことであり、罰になる事柄ですが、この中で適切なものは1つです。

①の場合は、罰によって飼い主さんへの恐怖心がついてしまう可能性があります。「爪でひっかくという行動に対して罰を与えられた」というよりも、「飼い主さんが怒った」という印象が強くついてしまうと、飼い主さんへの恐怖心につながることもあります。一言「ダメ」と強く言ってやめさせるのはいいですが、それ以上に強く怒らないようにしましょう。

②も罰ではありますが、これは猫には意味がありません。というのも言葉を理解できない猫は、「悪いことをしたから餌抜きね」といってもわかりません。つまり餌を抜かれた理由がわからないのです。罰を与える場合は必ず悪い行動をしたすぐ後に行い、負の行動に対する罰(これをしたから嫌な思いをした)という直接的な関係がわかるようにしてあげましょう。

ということで正解は③になります。悪い行動をした後に天罰がこれば、「悪い行動⇒天罰」という直接的な因果関係をネコが理解することができ、天罰が来ないように悪い行動をやめようというようになります。

負の罰で効果的な「天罰」の与え方

天罰も、負の行動があったらすぐに行う必要があります。天罰によく使われるものは以下の通りです。

  1. 水鉄砲をかける
  2. コイン入りペットボトルを投げて音を出す。
  3. 録音しておいた雷や猫のケンカなどの音を流す
  4. 掃除機をつける
  5. 香水をまく(特に柑橘系)

罰を与えるときには、「誰かがやった」というのがわからないよう、猫に気付かれない場所からできる罰を与えることで天罰になります。繰り返し天罰を与えることで、「特定の行動⇒罰」という関係を少しずつ猫が理解してくれます。

罰を与えるときには、神経質な猫には注意をしましょう。怖がりな子やパニックになってしまう子では、強く驚かせることでそれらの性格を助長してしまったり、精神的に不安定にさせてしまい問題行動を悪化させることもあります。嫌なことが起こるということは理解させた方がいいですが、パニックになってしまうようなやりすぎには注意しましょう。

まとめ


猫のしつけはとても難しいですが、うまく「正の強化」と「負の罰」を組み合わせることで時間をかけて行うことは可能です。ご褒美や罰のタイミングや方法に気を付けて、今日からでも少しずつしつけを行っていきましょう!

ペット生活 獣医師



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