2017年3月11日更新

猫壱セミナーに行ってきました!〜「猫と感染症」服部幸先生

ペット生活

ペット生活

編集部

ペットとの暮らしを豊かにするお役立ち情報をお届けします。

 

2月22日(水)猫の日に行われた猫壱セミナー。講師は猫医療センターの院長、服部幸先生が猫の感染症についてお話していただきました。

 

セミナーの内容

第一部:猫と感染症

講師:東京猫医療センター 服部幸 獣医師

第二部:猫と防災

講師:東京猫医療センター 服部幸 獣医師
■詳細
猫と防災

猫の感染症

猫の感染症についてといっても多くの感染症がありますが、今回は主に猫白血病(FeLV)と猫エイズ(FIV)、そして猫伝染性腹膜炎(FIP)についてのお話でした。

どの感染症も警戒すべき病気ではありますが、それぞれ別の特性や対処が必要になってきます。一括りで考えず正確な知識で対応したいですね。

 

猫白血病(FeLV)

最初は猫白血病ウィルス感染症FeLVと言われている猫白血病の解説でした。

猫白血病に関する誤解

知られている病気であること、人でも同じ名前の病気があるため誤解を生みます。

  • 絶対に白血病になる
  • 感染したら絶対に発病する
  • 人間にうつる

これらは全て誤解です。以前は獣医でなく人医が誤解をしているようなこともあったようです。

猫白血病のウィルスが体内に入るまで

白血病に感染している猫の確率

東京都では5%から10%と言われています。しかし他の地方は上がると言われていています。また、感染しているのは純血種はほとんどいないと言われているようです。

猫同士の接触で感染しますので、この数字が多い地域ほど感染している可能性が高くになります。

感染経路

空気感染はなく体液の交換で感染します。主だった理由は以下の通りと解説がありました。

  • ケンカで感染している猫の体液や血液がつきそれが体内に入る
  • トイレの共用
  • グルーミングをしあう
  • 母子感染

FeLVの感染力

  • 対外では非常に不安定
  • 室温では数分~数時間で無力
  • 56℃では数分で破壊
  • ほとんどの消毒薬でOK

伝染力の強いウィルスではありませんので、アルコールなど簡単な消毒で感染を防ぎましょう!

体内にウィルスが入り感染するまでの流れ

更に白血病は体内に入った瞬間に感染する訳ではありません。ここから少し複雑になりますが、正確に知識を持ち猫白血病を確認していきましょう。

ウィルスが体内に入ったら全て感染するの?

猫白血病のウィルスを持つ猫と接触したら全ての猫が感染してしまうわけではありません。

接触した場合に3通りの結果が考えられます。

  1. 感染せず
  2. 一過性の感染
  3. 持続感染

感染が確認できるまでどのくらいの期間がかかる?

感染してすぐに感染が分かるわけではありません。検査の時期を誤ってしまうと感染していても、陰性になってしまう事が起きかねます。時期については十分注意しましょう。

体内にウィルスが入り感染する経過はこのようになります。

  1. グルーミング中に口から侵入
  2. 口の近くのリンパ節で増える
  3. 数日で血液の細胞に出てくる
  4. 脾臓、リンパ節、骨髄に到達
  5. 血液中に大量に出てくる

この期間がおおよそ2週間から4週間かかります。

通常の院内検査ではウィルスが血液中にいるかを見ています。また、感染していても80%はウィルスを排除できます。

正確な検査をするための知識

持続感染になる割合

FeLVウィルスに感染すると90%ほどの猫は一時的に(+)陽性になります。しかし持続感染し続ける猫は多くはありません。

  • 新生子
    90%
  • 3カ月齢
    50%
  • 成猫
    20%

FeLV検査のタイミング

感染していても、最大28日は陰性であることがおおいため、感染が疑われている事が起こってから、28日は他の猫と会わせないようにするようにした方がいいでしょう。

FeLV検査結果の解釈

  • 100%正確な検査はない。
  • 猫の過去の感染可能性を考える。
  • 感染した猫も長期間生存する可能性。
  • 今起きている病気が全てFeLVによるものとは限らない。

猫白血病とはどんな病気?

FeLVの生存率

  • 6カ月
    70%
  • 2年後
    40%
  • 4年後
    10

FeLV感染するとどうなる

FeLVは細胞の「増殖スイッチ」を触ってしまうウィルスです。

  • 「ON」にしてしまう→がん
  • 「OFF」にしっぱなし→貧血

ガンになるより貧血になる猫が多いそうです。

FeLV関連する病気

  • 骨髄の病気
  • 免疫の病気

それ以外にも感染症になりやすいと言っていました。

FeLVの治療とは

  • FeLV感染を治す特効薬は無い
  • 感染初期は治ることを期待する
  • インターフェロンは効果的か??
  • 二次感染に対する治療
  • リンパ腫に対する治療

猫白血病の治療薬はまだなく、出てきた症状への対処治療になります。

FeLVの予防

FeLVの予防とは

  • 最高の予防は感染猫との接触を断つ
  • 新しい猫を迎える場合はFeLVの検査を行う
  • FeLVワクチンを考慮する。

感染してしまう前に予防が一番です。必ずというのは無理でも極力危険は避けましょう。

FeLVワクチンのメリットデメリット

ワクチンを打ってしまえば100%安全ではありません。また、稀にあるワクチンの副作用などがある場合があります。獣医師とよく話し合ったうえで打つかどうかは決めてください。

猫免疫不全ウィルス感染症

次は猫免疫不全ウィルス感染症FIVと言われている猫エイズの解説でした。

猫エイズに関する誤解

知られている病気であること、人でも同じ名前の病気があるため誤解を生みます。

  • 絶対にエイズになる
  • 感染したら安楽死する。
  • 人間にうつる

これらは全て誤解です。以前は獣医でなく人医が誤解をしているようなこともあったようです。

猫エイズどんな病気か

猫エイズとは世界中のネコ科の動物が感染する可能性がある病気です。

感染経路はどこから?

外の世界では咬傷が最も危ないそうです。
と言いますのも、猫エイズを持っている猫は口内炎を持っている事が多いため、その出血が相手猫の傷口を通じてウィルスが入ります。

ちょっとした接触では感染しづらいということと、新生子は傷ができるほど傷ができにくいのであまりいないということでした。

FIVウィルスの感染力

FIVはケンカで感染しやすいという話ではあったのですが、感染力は強くなくグルーミングや食器を同じにするなどでは感染しづらい病気という事でした。

  • 体外では非常に不安定
  • 室温では数分~数時間で無力
  • 56℃では数分で破壊
  • ほとんどの消毒薬でOK

FIVの検査の方法

FIVに感染しているか調べる検査は、ウィルスの抗体がいるかどうかをみています。白血病はウィルスが血液中にいるか見ていましたが、FIVは抗体がいるかを調べるのが特徴です。

FIV検査で+と出た場合の可能性

  • 母猫が(+)で抗体をもらった
  • FIVワクチンを接種した
  • 感染した

感染が確認できるまでどのくらいの期間がかかる?

感染してすぐに感染が分かるわけではありません。検査の時期を誤ってしまうと感染していても、感染していないなどの検査結果になってしまう事があります。

FIVの検査のタイミング

  • 移行抗体消失が生後2カ月―4カ月
    →偽陽性になる可能性あり
  • 感染してから2カ月
    →偽陰性になる可能性あり

FIV検査結果の解釈

  • 100%正確な検査はない
  • 猫の過去の感染可能性を考える
  • ワクチン接種で要請になるので安楽死は慎重に!しない!

アメリカでは検査が陽性であるせいで、安楽死になることが多くあるそうです。しかし検査の結果はワクチン接種だけでも陽性と出ます。健康である猫を安楽死をしてしまわないように正確な知識を多くの人が持ちましょうというお話でした。

FIV感染症とはどういう病気か?

FIV感染症の進行

猫エイズはよく聞く病気ですがどのように進行していくか知らない人は多くいます。

  1. 急性期
  2. 無症候キャリア期
  3. 持続性全身性リンパ節腫大
  4. エイズ関連症候群
  5. エイズ期

エイズ関連症候群 FIV

エイズ関連症候群の際には以下のような症状がでます。

  • 口内炎
  • 鼻水、くしゃみ
  • 皮膚炎
  • 発熱
  • 体重減少
  • 貧血

エイズ期 FIV

エイズ期の際には以下のような症状がでます。

  • 極端に痩せる
  • 重度の貧血
  • 腫瘍(ガン)
  • 白血球の減少(免疫の低下)

普通の状態ならば免疫で打ち勝つことができる細菌に負けてしまい、最終的には死を迎える感染症です。

FIVを発症させないためには

すでに感染している猫には、発症をさせないような生活を心がけましょう。

ストレスをかけることによって発症すると言われていますが、どんな生活がストレスのかからない生活なのでしょう?複数を狭いスペースで多頭飼育をすることは猫にはとてもストレスです。また寒いところや暑すぎるなども好みません。

一概にストレスのかからない生活はどんなものかいう事は出来ませんが、獣医師と相談しながら飼育環境を考えてみましょう。

FIVの予防

FIVの予防は以下のようになっています。

  • 最高の予防は感染猫との接触を断つ→完全室内飼育
  • 新しい猫を迎える場合はFIV検査を行う
  • FIVワクチンを考慮する

FIVワクチンの接種の仕方

FIVにもワクチンはあります。そちらの接種の仕方は以下のようになっています。

  • 生後2カ月以降に1回目の接種
  • 1カ月後に2回目の接種
  • さらに1カ月後3回目の接種
  • 追加の接種は1年に1回接種

FIVワクチンを接種することで感染しているか、ワクチン接種か分からなくなってしまったりなど問題点はあります。接種する時には必ず獣医師と相談して納得してから決めてほしいとお話でした。

FIVの治療?

猫エイズは治療薬はありません。しかし発症せずに寿命を迎える猫も多くいます。万が一発症してしまった場合には、対処治療のみとなってしまいます。感染しないようにするのはもちろんですが、もし感染してしまった場合にもストレスの少ない生活で長寿になる猫も多くいるという話でした。

FIP 猫伝染性腹膜炎

最後はFIP猫伝染性腹膜炎のお話でした。こちらは前の話とは違い致死率も高く感染の仕方も大きく変わってきます。

FIPとはどんな病気?

キャリア猫はいない?

FeLVやFIVとは違いキャリアの猫はいません。FIPの状態が発症している状態になります。特徴は以下のようになります。

  • FIPの病原体はFIPウィルス(FIPV)
  • 比較的ゆっくり進行する全身病
  • 発病した猫の死亡率はきわめて高い。

コロナウィルスとFIP

FIPはまだ分かっていない事が多いウィルスですが、コロナウィルスという猫の腸に感染する、病原性の弱いウィルスが突然変異してFIPウィルスになると言われているそうです。

腸コロナウィルス(FCoV)とは

  • 病原性は弱く子猫に下痢を起こす程度
  • 70%-90%くらいの猫で感染している
  • もちろん必ずFIPウィルスになる訳ではない。

コロナウィルスに感染している状態をキャリアと言えなくもないが、70%-90%がとなってします。

突然変異する確率の高い環境?

東京猫医療センターでの調べでは、コロナウィルスからFIPへ突然変異する可能性は雑種が25%に対して純血種は75%となっているそうです。また、単数飼育より複数飼育が多いという報告もあるそうです。

FIPとはどんな症状がでる?

FIPの症状はウェットタイプとドライタイプと言われています。しかしどちらかしか出ないわけでは無く、両方の症状を出す猫もいます。どちらになるかは免疫のバランスによって変わります。

ウェットタイプ・ドライタイプ共通の症状

  • 食欲低下
  • 発熱
  • 体重減少

ウェットタイプの症状

注射器で抜いてみるとトロトロの腹水や胸水が出てくるそうです。

  • お腹が張る
    →腹水
  • 呼吸が苦しい
    →胸水and/or心嚢水

ドライタイプの症状

眼が充血しているなどがあった場合には必ず獣医師に相談しましょう。

  • 腎臓や肝臓の変形
  • 眼の炎症(ぶどう膜炎)
  • けいれん等の神経症状
  • 腹部のできもの

FIPの検査

1番大切なのは症状があるかないか

FIVやFeLVと違いFIPの場合はキャリアというものはありません。検査もはっきりしたことが分かるものはまだなく、症状があるかないかを総合的に判断して検査するそうです。

  • 元気、食欲はあるか?
  • 体重は?
  • 発熱は?
  • 呼吸は苦しくないか?
  • お腹は張ってきていないか?
  • けいれんなどの神経症状はあるか?
  • 目に濁りはないか?
  • 触診で腎臓や肝臓の形には問題ないか?
  • お腹の中のリンパ節がはれていないか?

などがないかを調べます。

次に各種検査

  • 血液検査
  • レントゲン検査
  • 超音波検査
  • 腹水・胸水の分析
  • コロナウィルス抗体価
  • 「腹部のできもの」の細胞診
  • CT、MRI
  • 遺伝子検査
  • リンパ節の組織検査

etc.

これらの検査をして項目の中でFIPに関係ある部分にどれくらい当てはまる部分があるかを計測し、FIPであるかを検査します。

コロナ抗体価

コロナ抗体価を検査で出す方法はありますが、結果にバラツキが出ており、こちらの検査だけでFIPであると断定するのは難しいという事でした。

遺伝子検査PCR

最新の検査でFIPのウィルスを区別できるようになりました。プラスであれば、FIPであると言ってほぼ間違いないという事でした。しかしマイナスであっても注意が必要であるという事です。

一説によるとアメリカではFIPで死亡した猫よりもFIPと誤診されて安楽死された猫の方が多いと報告があるそうです。FIPの診断は慎重に。できるならばセカンドオピニオンをしましょうというお話でした。

最も確実な検査方法は?

腸間膜リンパ節の中にコロナウィルスが存在するかどうかを調べる事ですが、治る見込みがない病気の検査方法としては猫に負担がありすぎるためほとんど行われないそうです。

FIPの治療

  • FIPに対する根本的な治療法はない
  • 現時点では延命、生活の質の改善が目的
  • アメリカの場合は安楽死の場合が多い

その他にも薬などはいろいろ言われているがハッキリ効果があると言われるものは少ないという事でした。

しかし猫の医療は日々進んでいます。治療の際には諦める前に獣医師と相談をしてみましょう。

FIPの予防法

FCoの感染力

  • 体外では非常に不安定
  • 室温では数分~数時間で無力
  • 56℃では数分で破壊
  • ほとんどの消毒薬でOK

FIVは伝染する?

  • 突然変異をする前のコロナウィルスは伝染する
  • FIPウィルスが伝染しないと考えられている。(2017/2/22現在)

ワクチンは無いのか?

  • アメリカ・カナダでは市販されている
  • 有効性が確立されていない?
  • 日本では発売の可能性は無い。

予防するためには

  • 抗体陽性集団に生まれた子猫は4週齢までに母猫や他の猫から隔離する。(それ以前に感染する可能性は低い)ただし、子猫の精神発育には悪影響
  • 人間による伝番を防ぐ。

予防するための方法としてはありますが、あまり現実的でない方法です。早く予防の方法や、治療薬が見つかるといいと思います。

まとめ


今回感染症といことでFeLVとFIVとFIPの話だったのですが、ワクチンや予防の話、獣医学会が日夜研究し進歩し続けている現状などが分かりました。

恐ろしい感染症であることは変わりませんが、知識を持ち正確に対処をできるようになりたいです。

今回で猫壱セミナーはお終いとなりますが、猫壱セミナーで得た知識を猫との暮らしで生かしていきたいですね。

 
 

関連カテゴリ