2017年4月12日更新

避妊/去勢手術の時にFIV/FeLVの検査もしてもらおう【獣医師が解説】

猫には怖い感染症がいくつかあります。そんな中でも、根本的な治療ができないFeLVやFIVは猫の代表的な感染症です。検査方法も確立されており、しっかり予防すれば感染が防げるFeLVやFIVについてしっかり知識を付けて、しっかり検査をしてもらいましょう。

FIV/FeLVとは

FIVは猫エイズウイルス、FeLVは猫白血病ウイルスと呼ばれるウイルスであり、どちらも感染しているからと言ってすぐに病気を発症するわけではありませんが、感染数年後にさまざまな病気を引き起こすウイルスです。FIVウイルスは外に行く猫の15~30%、FeLVは10%程度が感染していると言われています。一度感染してしまうと、完治させることができませんので、しっかり予防することも大切です。

FIV/FeLVの感染経路

FIV/FeLVはどちらも感染猫から排泄されたウイルスへの接触によって伝染します。ただし、FIVはHIVと同じく、通常の接触では感染せず、けんかや交尾などの濃厚接触のみで感染します。

一方FeLVは、同じ食器やトイレを共用する間接接触でも感染することがあると言われています。特に多頭飼いの場合に感染する確率が高くなります。免疫力がしっかりしている大人の猫では、ウイルスが体に入ってきてもそれを排除することができるため、感染してしまう確率は低くなります。一方で6カ月齢以前の子猫では感染してしまう確率は高いです。

どちらのウイルスも親からうつることもあるので、ずっと室内飼いの子でも感染してしまっていることはあります。

FIV/FeLVの検査

FIV/FeLVともに、検査キットで簡単に検査ができるため、採血さえできればその日のうちに検査結果はわかります。ただし、FIVやFeLVの検査に関してはいくつか注意点があります。

FIVは抗体検査・FeLVは抗原検査

FIV・FeLVの検査は、1つの検査キットで同時に行えますが、FIVの場合はFIVに対する免疫力(抗体)を調べ、FeLVはウイルスそのもの(抗原)を調べます。

FIVの偽陰性・偽陽性

抗体はウイルスが入ってきてそのウイルスに対して体が作るものですので、FIV感染してもしばらくの間は抗体のない偽陰性期間があります。また、親がFIVを持っていた場合、FIVに感染していなくても、その親が持っていたFIV抗体がそのまま子供に引き継がれる偽陽性状態もあります。偽陰性期間は感染後2カ月くらいまで、偽陽性期間は生後数週間だと言われています。

また、FIVのワクチンを打っている場合は、通常のキットによる検査では感染による抗体なのか、ワクチンによる抗体なのかの区別がつきません。ですので、FIVワクチンを打っている場合に、感染かワクチン抗体かを見極めるためには、血液を多めにとって検査センターに送る必要があります。FIVワクチンを打つ場合には、ワクチン接種前にFIVの検査をする必要があります。

FeLVの偽陰性・偽陽性

FeLVは、ウイルスが入ってきて体の中で増えるまでにタイムラグがあるので、感染していてもしばらくの間は検査で陰性となります。また、ウイルスが体の中に入ってきても、それを跳ね返してしまえば感染が成立しませんが、ウイルスを排除するまでに少し時間がかかるので、感染が成立しなくても一時的に感染している時期に偽陽性の結果が出ます。これらの期間は、ウイルスに暴露されてから1~2カ月程度と言われています。

避妊/去勢手術の時にFeLV/FIV検査を

解説したように、FeLV/FIVには偽陽性・偽陰性があるため、感染の可能性がある場合は、その日から2か月後以降で検査をしないと正確な検査結果が出ません。そのため、猫ちゃんを飼い始めてからすぐに検査をして、陰性であれば絶対に感染がないとか、陽性が出たら感染しているとは一概に言えないのです。

理想的なお話をすると、飼い始めてすぐに検査をして、その後2か月以上たってから再度検査をすることをおすすめします。避妊や去勢手術の血液検査の時に一緒にFeLV/FIVウイルス検査をしてもいいでしょう。

まとめ


FeLVやFIVは検査がしっかりでき、ワクチンで予防できる病気です。ただし、検査の解釈には少し注意が必要で、場合によっては複数回の検査が必要になります。そのあたりのことをしっかり頭に入れて、FeLVやFIVの検査をしてもらうようにしましょう。特に多頭飼いの家庭では、家の猫同士でウイルスが感染してしまうこともあるので、しっかり検査をしておきましょう。

 

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