困った犬の抜け毛。特徴別に正しいケアを【獣医師が解説】

一緒にいて楽しく元気になれたり癒しになるなど、犬を飼うのにはさまざまなメリットがありますが、その反面大変なこともいくつかあります。

その一つが抜け毛対策ではないでしょうか。犬の毛が抜けて大変だという飼い主さんの声もよく聞きます。

犬の抜け毛対策をうまくできないと、毛球になって皮膚や胃腸のトラブルを引き起こしたり、家の汚れやダニなどの発生原因になってしまうこともあります。

そこで、今回は犬の毛についてその特徴や抜け毛の対策方法について考えてみたいと思います。

 

犬の毛の種類

犬の抜け毛は犬種によって大きく違います。

犬の体に生える毛には2種類のタイプがあります。

トップコートとアンダーコート

一つ目はトップコート。トップコートは硬く強い毛であり、季節によって生え変わるということはありません。

一方、アンダーコートはトップコートの周りに生える細くて柔らかく、短いふさふさの毛です。

アンダーコートは季節によって生え変わるため、アンダーコートが多い犬ほど抜け毛が多くなります。

トップコートとアンダーコートは同じ毛穴から生えてきます。

1つの毛穴から1本のトップコートと複数のアンダーコートが生えて犬の被毛を形成しています。

ダブルコートとシングルコート

犬には、アンダーコートがなくトップコートのみの犬種と、トップとアンダーの2種類の毛の子を持つ犬種があります。

トップコートのみの犬種をシングルコート、両方の毛を持つ動物をダブルコートと呼びます。

シングルコート

  • プードル
  • ヨークシャーテリア
  • マルチーズ
  • ミニチュアピンシャー
  • グレーハウンド

など

ダブルコート

  • チワワ
  • ポメラニアン
  • 柴犬
  • ゴールデンリトリーバー
  • コーギー
  • パグ

など

ダブルコートの犬種はアンダーコートがあるため抜け毛が多いですが、冬の寒さには強いという特徴を持ちます。

 

抜け毛が多い時期(換毛期)

アンダーコートは体温調整のための毛であり、夏と冬ではその密度や毛質が異なります。

そのため、春と秋に夏毛と冬毛が抜け変わる時期があります。

特に春先には体温を保つための密な冬毛が一気に抜け落ちるため、ダブルコートの犬では非常に大量に毛が抜けてきます。

 

特徴別の抜け毛ケア

抜け毛のケアの方法は、毛質によって変わってきます。それぞれの毛質でどのような抜け毛ケアが必要なのか見ていきましょう。

ロングコートでシングルコート

ヨークシャテリア・パピヨン・プードル・マルチーズなどがあてはまります。

ロングコートでもシングルコートの犬は抜け毛は多くはありませんが、お手入れをしないとどんどん毛が伸びてしまいます。

定期的にトリミングでカットをしてもらうとともに、日常的なブラッシングも大切です。

また、ロングコートの中でもストレートで細い被毛を持つヨーキーやパピヨンでは、ピンブラシやコームによるお手入れがおすすめです。

一方、綿毛のような毛を持つプードルやシーズーなどでは、スリッカーによるブラッシングをおすすめいたします。

ロングコートでダブルコート

チワワ・ゴールデンリトリーバー・ダックスフント・スピッツ・ポメラニアンなどです。

これらの犬種では非常に抜け毛が多くなり、毎日のブラッシングは欠かせません。

特に耳の裏、脇、足の付け根などは毛玉になりやすいので丁寧にブラッシングをしてあげる必要があります。

ロングコートでダブルコートの犬にはピンブラシを使ったブラッシングがおすすめです。

ピンブラシでしっかりブラッシングをし、最後にコームを使うことで長い被毛をきれいに仕上げることができます。

ショートコート(短毛)

ショートコートの犬の場合、被毛の手入れをそれほどしなくても毛玉になることは多くはありません。

ただし、ショートコートでも柴犬などのダブルコートでやや毛が長い犬種では、かなり抜け毛が多くなることもありますし、皮膚の血流促進など皮膚の健康のためにもブラッシングを定期的にしていただくことをおすすめいたします。

ブラッシングはスキンシップによる犬との関係良化にも一役買ってくれますので、コミュニケーションの一環としてもやっていただきたいことになります。

ショートコートの犬では、スリッカーやラバーブラシによるブラッシングをおすすめいたします。

毛が極端に短いミニチュアピンシャーやジャックラッセルテリアなどの犬種ではラバーブラシによるお手入れがいいでしょう。

 

換毛期に気をつけること

ダブルコートの犬を飼っている場合、換毛期には以下の点に注意してください。

抜け毛がひどい時期によくある健康被害

胃腸の毛玉

犬はグルーミングを行いますので、ブラッシングでしっかり抜け毛を取り除いてあげないと、グルーミングで飲み込んでしまった被毛が胃の中で毛玉になってしまいます。

毛玉が詰まって腸閉塞を起こすことは稀ですが、胃を刺激して嘔吐や食欲不振の原因になることは少なくありません。

皮膚の毛玉

抜け毛が絡まって皮膚に大きな毛玉ができてしまうこともあります。

毛玉ができるとその下の皮膚が荒れてしまい、皮膚炎の原因となります。

定期的にブラッシングをして、皮膚に毛玉ができないようにしてあげてください。

飼い主さんの注意

床はこまめに掃除を

落ちた毛は、ダニやカビのエサと住処になってしまうことがあります。

抜け毛を放置するとハウスダストやカビによるアレルギーなどが増えてしまう原因となることがあります。

エアコンの掃除をこまめに

エアコンのフィルターにも抜け毛がたくさんくっついてしまいます。

そうなるとエアコンの性能が落ちてしまったり、電気代が余分にかかったり、故障の原因になります。

換毛期にはエアコンの掃除もこまめに行いましょう。

パソコンなど機械のトラブルにも注意

犬の抜け毛はパソコンなどの機械の中に入りこんでしまうこともあります。

オーバーヒートなどのトラブルの原因にもなりますので、気を付けてしっかり掃除するようにしてください。

出かける前に服をチェック

犬の毛は服に付きやすいので、換毛期には特に気を付けておいてください。

フォーマルな恰好などの場合には、必ず出かけにコロコロで犬の毛を取るようにしましょう。

換毛期かと勘違いしがちな症状

脱毛が起こるのは換毛期だけではありません。

以下のような病気やシチュエーションでは、抜け毛が増えてきますので換毛期と勘違いしないようにしてください。

皮膚病

犬には皮膚病が多く、大部分の皮膚病では抜け毛が多くなります。

皮膚病の場合は換毛期と違い、皮膚の一部の毛が抜け落ちて薄くなってきます。

また、抜け毛だけでなく、皮膚の痒みや赤みなどが増えて来るというのも、換毛期の脱毛にはない皮膚病の特徴となります。

ホルモン疾患

犬には抜け毛が増えるホルモン疾患も多いです。

換毛期の抜け毛の場合は、抜け毛が増えても毛が薄くなることはありませんが、ホルモン疾患では全体的に毛が薄くなります。

特に背中やお腹の毛が薄くなってくる場合にはホルモンの異常による脱毛の可能性があります。

ストレス・緊張

犬にストレスがかかると毛穴が開くため、抜けそうになっていた毛が一気に抜け落ちます。動物病院などの犬が緊張する場所では、通常いつも以上に抜け毛が増えてきます。

まとめ

犬は毛の多い動物であり、犬を飼っている以上抜け毛があるのは仕方ありません。

毛が抜けるのは体の正常な営みの一つではありますが、その対処法を間違えると犬の健康を害したり、家族の生活に支障を引き起こすことがあります。

愛犬の抜け毛の特徴や被毛のケアの方法をしっかり頭に入れ、愛犬のためにも自分のためにも抜け毛対策をしてくださいね。

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ABOUTこの記事をかいた人

後藤大介

岐阜大学農学部・獣医学科(現応用生物科学部・共同獣医学科 ) 卒業。大阪・北海道の動物病院に勤務し、2018年、岐阜市にアイビーペットクリニックを開業。生まれ育った地元で、ペットと家族の幸せのためのお手伝いをしたいと考えています。病気の治療だけでなく、ペットの健康のための情報発信や、地域の飼い主さん同士が交流できるような動物病院を目指しています。