2017年5月9日更新

猫の避妊・去勢手術をするメリットを徹底解説!手術を控えてる方は必見!【獣医師が解説】

後藤大介



獣医師

 

猫の病気の予防のために避妊手術・去勢手術がおすすめだと聞いたことはありませんか?「健康な子に手術なんてかわいそう……」と思う飼い主さんも少なくないと思います。しかし、避妊・去勢手術にはそれぞれ大きなメリットがあり、手術をすることで元気にストレスなく、長生きできる可能性が高いのです。

今回はそんな避妊・去勢手術のメリットについて、いくつかのデータをもとに解説しますので、愛猫のためにこれらの手術の必要性を理解しておきましょう。

 

避妊手術のメリット


まず、メス猫の不妊手術である避妊手術のメリットを見てみましょう。

妊娠させない

外へ行く猫の場合、避妊手術をしていない雌で発情していると、ほぼ100%の確率で妊娠をします。妊娠・出産は人でもそうですが、猫でも体力を使いますし、難産によって命の危険が起こる可能性もあります。避妊手術は最も確実に妊娠・出産を防ぐ方法ですね。

乳腺腫瘍の予防

猫の乳腺腫瘍は、猫の全腫瘍の中で3つ目に多い腫瘍であり、メス猫では非常にリスクの高い腫瘍になります。猫の乳腺腫瘍の約9割が悪性腫瘍(いわゆる乳がん)であると言われており、乳腺腫瘍は猫の命に関わる重大な病気です。

乳腺腫瘍の発生にはホルモンが大きな影響を及ぼすことがわかっており、早めに避妊手術をすることで発生率を非常に低くすることができると言われています。1歳未満で避妊手術をすることで乳腺腫瘍の発生率を1/10以下に減らせるという報告もあります。

乳腺腫瘍の予防効果は避妊手術が早ければ早いほど大きいので、できるだけ1歳までに手術をすることをおすすめします。

子宮・卵巣の病気の予防

避妊手術では、卵巣のみもしくは卵巣と子宮を同時に切除します。そのため、卵巣腫瘍や卵胞嚢腫等の卵巣の病気、子宮蓄膿症や子宮水腫、子宮筋腫などの子宮の病気の予防ができます。

猫では卵巣や子宮の病気は多くはないですが、これらの病気の予防ができるのもメリットの一つです。

発情のわずらわしさの解消

メス猫は、季節発情動物であり、決まった季節(春と秋が多い)になると発情を繰り返すことが多いです。また、一度発情すると、交尾の刺激がないと排卵しない「交尾排卵動物」であるため、発情は数週間続くこともあります。

発情期には異常にしつこく鳴いたりずっとくっついてきたりと、時に飼い主さんの生活の支障になることもあります。また、発情中は性欲が非常に強くなっているのに何もできないというストレスから、食欲が落ちたりス、トレスによる膀胱炎などの病気が引き起こされることがあります。

避妊手術をして発情を無くしてしまうことで、飼い主さんも猫もストレスの少ない生活を送ることができるようになるんです。

糖尿病の予防

発情中は卵巣から女性ホルモンが活発に出ますが、女性ホルモンは血糖値を下がりにくくし、糖尿病のリスクを高めてしまいます。メスの猫の場合、発情のたびに糖尿病が悪化するという子もおり、避妊手術をしないと糖尿病がうまくコントロールできなくなってしまいます。

避妊手術をすることで、糖尿病のリスクを減らしたり、糖尿病をうまくコントロールができるというのも避妊手術のメリットです。

寿命が延びる

アメリカの大手動物病院「バンフィールドペットホスピタル」の調査によると、避妊したメス猫は、避妊していないメス猫に比べ、平均39%長寿であるという結果が出ています。おそらく、避妊手術をしている子は生活水準も高く、事故などのリスクも低いということもあるとは思いますが、避妊手術をすることで、ストレスや病気のリスクが減ることで長生きできるんですよ。

去勢手術のメリット


次にオス猫の不妊手術である、去勢手術のメリットを見ていきましょう。

スプレー行動の防止

オス猫は、性的に大人になる性成熟を迎える5~6か月あたりから、尿でにおいをつけるマーキング行動を部屋中ですることが多いです。マーキング行動は性行動の一種だと言われており、マーキングが始まる前に去勢手術をすると、マーキングはほとんど出ません。

マーキングが癖付いてしまうと、去勢手術をしてもマーキングが残ってしまうこともあるので、手術をするなら6カ月齢くらいの早めの時期にすることをおすすめします。

性格の温厚化

男の子の場合、去勢手術をすることで、性格が穏やかになり、噛んだり暴れたりする頻度が減ることが多いです。中にはあまり変化がなかったり、むしろ去勢手術後の方が凶暴になったという子もいるようですが、全体的には大人しくなって飼いやすくなることが多いです。

外に行きたがらなくなる

オス猫は、メス猫を求めて放浪したがる子が非常に多いですが、去勢手術をすることで外に行きたいという衝動が少し落ち着きます。その衝動が少なくなれば、外に行けないストレスもましになり、性格が穏やかになるケースもあります。

去勢手術をしただけで全く外に行きたがらなくなるということはありませんが、外に行きたがる子には去勢手術は有効な手段ですよ。

寿命が延びる

先ほど紹介した晩フィールドペットホスピタルの報告によると、去勢したオス猫は、去勢していないオス猫に比べてなんと62%も長寿になるようです。おそらく、外に行って交通事故や感染症、けんかの傷などのリスクが少なくなることが主な原因だと思いますが、去勢手術によってストレスの軽減や健康な生活送れることで、寿命も長くなるんですね。

 

まとめ


避妊・去勢手術にはさまざまなメリットがあるんですね。避妊・去勢手術をすることで太りやすくなるなどデメリットもありますし、動物本来の状態を手術で変えてしまうことには反対という意見もあると思います。

ただし、愛猫に元気でストレスなく生活し、長生きしてほしいのであれば、獣医師の立場からは避妊・去勢手術をおすすめします。もしやるのであれば若いうちの方がメリットが大きく、麻酔のリスクも少ないので、早めに考えてあげてくださいね。