2017年6月9日更新

愛犬のサマーカット?意外と知られていないデメリットも知っておきましょう!!

長谷川真理恵



JKC A級トリマー、JKC C級ハンドラー

グルーミングスクールに4年通い、JKC A級トリマーライセンス、JKC C級ハンドラーライセンスを取得。フリーのトリマーとして働く傍ら、在学中にモデル犬として迎えたトイプードルのチャンピオン完成をきっかけに繁殖学・遺伝学を学び、ドイツやイギリスのブリーディングスタイルをモデルとして極少数頭のみのブリーディングを手掛ける。主人の海外赴任に伴い愛犬とともにドイツへ越した後、現在はベルギー在住。日本とは大きく異なるヨーロッパにおける"犬とは"を日々体感中。

 

梅雨時期のジメジメ、そして蒸し暑さも感じる日は人にとっても犬にとっても不快なものですよね。そんな6月になると徐々にオーダーが増えてくるカットスタイルがあります。

それがサマーカット。

でもちょっと待って!
サマーカットのメリット、意外と知られていないデメリットを知っておきましょう。

 

そもそもサマーカットってどんなスタイル?


サマーカットって聞いたことがありますか?飼っている犬種によってはそんなスタイル聞いたことない!という方もいるかもしれません。

サマーカットとは…
元々ロングコートの犬(チワワやダックスフンドのロングコートや、ポメラニアン、ゴールデンレトリバーなど)の毛を夏に向けて1~3ミリ程度に短く刈り込むことから、サマーカットと呼ばれているスタイルのことです。
細かい部分で言えば頭部は除き、ボディや足、尻尾などを鋏もしくはバリカンで短く整え、頭部との堺目をスキバサミでぼかすというスタイルです。

毛があまり抜け替わらずに伸び続け、日頃からカットする犬種(プードルやヨークシャテリア、マルチーズなど)でもかなり短く整える際にサマーカットと呼ぶこともありますし、丸刈りと呼ばれることもありますね。

人気の秘密はここ!サマーカットのメリット


人気があるからには、やはりそれなりに理由がいくつかあるものですよね。まずはサマーカットのメリットから見ていきましょう。

毛玉防止、お家でのお手入れが簡単に

とくにダブルコートの犬種(ポメラニアンやシェットランドシープドッグなど)に多い梅雨時の湿気でできてしまう毛玉。短く刈り込むことで長い毛のときよりもつれにくくなりますし、ブラッシングは格段に楽になります。
洋服を着せると中で毛がもつれて大変なことに…なんていうこともサマーカットなら防げるため、夏だけに限らず冬でも短めに!というオーダーもあります。

またお家でシャンプーをしたり、雨でもお散歩に行く、またレジャーで泳ぐなどの場合。タオルで根元までしっかり拭き取りやすく、またドライヤーで乾かしやすくなるというのは大きなメリットですね。
日頃からお家で汚れのケアがしやすくなります。

皮膚の病変に気が付きやすい

私たちトリマーは乾かす際にドライヤーで毛の根元をしっかりと見ることができます。その際に小さなイボが出来ていたり、しこりが見つかったりということが多いです。

とくに毛の長い犬の場合、お家で見つけるためには余程日頃からケアをしたり、全身を触るなどのチェックに気をつかわなければ見つけることは難しいものもあります。
また皮膚の変化も全身の肌が荒れたり、痒がっていれば分かりやすいですが、一部だけ荒れていたり、知らない間にかさぶたになっていて、当の本犬は気にしていなかったり・・・

短くしておくことで、小さな変化のうちから見つけやすくなります。

見た目が涼しげ、かわいい

ただでさえ暑い中、もさもさと長い毛の塊…確かに暑そうでかわいそうだなと感じてしまうものです。ただし短くすることで見た目的に涼しくなりますが、暑いものは暑いのでやはり対策は今まで通り必要です。

またポメラニアンの豆柴カットなど、丸刈りなんて呼べないほどかわいいサマーカットのスタイルや、中には刈るミリ数を変えて作るバリカンアートなんていう凝ったものもあります。

 

サマーカットをする前に知っておくべきデメリット


よかれと思ってやったサマーカットが愛犬を傷つけてしまうことに…という場合も実はあります。サマーカットのオーダーを頂いた際には、必ずお伝えしているデメリットをご紹介します。

皮膚を守る役割が失われる

これは全ての動物の原則とも言えるのですが、進化の過程で残しているからには必要な理由というものがあります。

動物にとって被毛の一番の役割は皮膚の保護。
草むらを走り回る場合には小枝の先や草などで傷がつかないように守ってくれますし、ノミやダニが皮膚に食らいつくのを防ぐ役割も果たします。そういった外的刺激から守ってくれるのが被毛です。

紫外線のダメージを受けやすい

これも皮膚を守る機能と同じものですが、実はサマーカットでこれが一番大きな問題となります。

犬の皮膚の角質層は人間の3分の1ほど。恐ろしいほど薄いんですね。
夏場の日差しの中、直接紫外線が届く状態にさらされる…というのは犬の皮膚にとって大きなダメージとなり、皮膚の弱い犬などはそこから皮膚トラブルに繋がる場合もあります。
それだけ紫外線というのは影響力が大きいものです。

抜け毛防止になるわけではない

換毛のある犬種の場合、季節の変わり目の抜け毛は壮絶なものです。場合によっては、その犬と同じ塊を作れるほど抜けることも。お家を掃除しても毛が舞う、出かける前にコロコロをしてもまだ毛がついている、と困っている飼い主さんも多いです。

そんな場合にサマーカットに!というのは効果的ではありません。短くしてもやはり、抜けるものは抜けるのです。舞う毛が長いものから短いものになるだけでなく、毛先の断面でチクチク感が増すことも…。

毛が元のように伸びない、毛質が変わる

これはポメラニアンをバリカンで丸刈りにした場合に顕著なものなのですが、いざ冬に伸ばそうと思っても綺麗に伸びてくれないことがあります。
ところどころまばらに伸びる、全体的に伸びない、最初の年は普通に伸びていたのに年々揃わなくなっていった、色が変わった、など。
とくにまばらにパヤパヤと毛が伸びるポメラニアンの姿はなんともいえない哀愁が漂いますし、そのまま寒い冬を迎えることになってしまいます。
もちろん他の犬種でもバリカンをかけてから毛質がゴワゴワになる、所々濃い色の毛が生えてきた、なんてこともあります。

いざ夏が終わって伸ばしても元に戻らない!なんてことは出来れば避けたいものです。

結局のところ、どっちがいいの?


それぞれのメリット、デメリットについてご紹介していきましたが、どう感じたでしょうか?
ここ数年のトリマーの間での動きとしてはやはり皮膚の保護機能として必要であり、また元に戻らないリスクを考えると、「サマーカットはおすすめ出来ない。」という意見が多いのは事実です。

ただ私自身は必ずしも全ての犬にとってサマーカットはいけない、もしくはするべきだという正解はないと思っています。なぜならその犬の状態や飼い主さんとのライフスタイルはそれぞれだから。
メリット、デメリットをよく天秤にかけて、愛犬にとってどちらが重いかということだと思います。
愛犬のことを一番よく分かっている飼い主さんと、信頼できるトリマーさんや看護師さん、獣医さんと相談して、愛犬に一番合ったスタイルを見つけてあげてくださいね。

 
 

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