2017年5月28日更新

オレンジのベストを着た犬を見かけたら?知られざる聴導犬の役割とは

長谷川真理恵



JKC A級トリマー、JKC C級ハンドラー

グルーミングスクールに4年通い、JKC A級トリマーライセンス、JKC C級ハンドラーライセンスを取得。フリーのトリマーとして働く傍ら、在学中にモデル犬として迎えたトイプードルのチャンピオン完成をきっかけに繁殖学・遺伝学を学び、ドイツやイギリスのブリーディングスタイルをモデルとして極少数頭のみのブリーディングを手掛ける。主人の海外赴任に伴い愛犬とともにドイツへ越した後、現在はベルギー在住。日本とは大きく異なるヨーロッパにおける"犬とは"を日々体感中。

 

体の不自由な方のお手伝いをする犬、と聞いたら何犬を思い浮かべますか?
有名なのはやはり盲導犬でしょうか。

盲導犬に比べると歴史も浅く、まだあまり知られていないお仕事があります。それは耳の不自由な方のためにお手伝いする聴導犬。
今回は彼らの歴史やお仕事を見ていきましょう。

 

聴導犬のお仕事とは?


聴導犬は耳が不自由な方たちにとって、音をお知らせしてくれる重要な役割をもっています。

想像してみてください。

  • 後ろから来る自転車のベル
  • 車のクラクション
  • 火災報知機や非常ベルの音

これらの音が聞こえなかったら、それは時として命に関わることです。

その他にも生活に必要な音、たとえば

  • 朝のアラーム
  • お湯が沸いたヤカンの音
  • 赤ちゃんの泣き声
  • インターホンの音
  • メールの着信音

など、利用者にとって必要な様々な音をお知らせしてくれる。
それが聴導犬です。

聴導犬の歴史とは?


聴導犬の歴史はなんとあるラジオ番組からでした。
1975年のアメリカで、「自宅内での音に犬が反応するように訓練して欲しい。」とラジオ番組に投稿があったことから、世界で初めてのヒアリングドッグが誕生します。

その後アメリカ獣医師会と交流のあった日本小動物医師会が興味を持ち、聴導犬委員会が発足されます。
訓練を警察犬訓練所に依頼し、1983年4頭の聴導犬がモデルとして誕生。

その翌年には4頭のうちの1頭であるシェットランドシープドッグが耳の不自由な方のもとへ無償で貸与され、日本初の聴導犬が誕生します。

 

他の使役犬とはちょっと違うところ

聴導犬が他の使役犬と大きく違う点は、小型犬でも出来るということです。
そのため動物愛護の観点で、動物愛護センターの生後2~4ヶ月の子犬の中から、人が好きか、音への興味好奇心はあるかなどの適正を判断し、選んでいきます。

現在の聴導犬実働数は75頭。
日本の住宅事情などもあり、小型犬が多いようですね。

どんな訓練を受けるの?


聴導犬の訓練は大きく3段階に分けられます。

基礎訓練

人間社会に溶け込んで暮らしていくためのマナーを身に着けます。

聴導動作訓練

音に反応し、利用者へ適切に伝える訓練をします。

合同訓練

利用者が聴導犬に指示を出し、適切に動けるように共に生活しながら訓練します。

聴導犬として引き渡し後も、利用者の生活環境やニーズの変化、また聴導犬の健康状態など継続して指導、訓練が行われます。
ちなみにこちらベルギーには、聴導犬ではないのですが介助犬の訓練学校で、「Hachiko」という学校があります。もちろん、由来は日本のハチ公です!

オレンジ色のベストを着た犬を見かけたら

聴覚障害というのは周囲からは一見して分かりづらい障害です。
もしも横にオレンジ色のベストを着た犬がいたら。
聴導犬は周囲の人へ聴覚障害の目印となり、サポートを受けやすくするという役割も担っています。

ただ小型犬が多いことから、補助犬として認識されづらく公共交通機関や施設、店舗で拒否されてしまうということも。

もっと聴導犬の認知度が高まり、社会全体で受け入れられるように、
もしも困っている人がいて聴導犬を連れていたら、何かお手伝いできることがあるといいですね。

 
 

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