2017年6月12日更新

オヤツや犬の臭いは無反応【完全にプロ!】麻薬探知犬のお仕事とは?

長谷川真理恵



JKC A級トリマー、JKC C級ハンドラー

グルーミングスクールに4年通い、JKC A級トリマーライセンス、JKC C級ハンドラーライセンスを取得。フリーのトリマーとして働く傍ら、在学中にモデル犬として迎えたトイプードルのチャンピオン完成をきっかけに繁殖学・遺伝学を学び、ドイツやイギリスのブリーディングスタイルをモデルとして極少数頭のみのブリーディングを手掛ける。主人の海外赴任に伴い愛犬とともにドイツへ越した後、現在はベルギー在住。日本とは大きく異なるヨーロッパにおける"犬とは"を日々体感中。

 

1日に数え切れないほど出入りする荷物や人の中から、巧妙に隠された麻薬を探し出しハンドラーに知らせる麻薬探知犬。
その能力とは裏腹に、楽しそうに荷物を嗅いで回る姿はなんとも愛らしいものです。

今回は麻薬密輸犯にとっての天敵、麻薬探知犬の活躍をご紹介します!

 

日本における麻薬探知犬の歴史とは?

日本での麻薬探知犬の導入は1979年6月、米国税関の協力を経てアメリカから2頭導入されたのが始まりです。
その後、国内での育成が1980年9月より開始、1981年4月にはシェリー号が国内犬第1号として誕生します。
1987年10月には成田空港に麻薬探知犬訓練センターが設置され、麻薬だけでなく爆発物や銃器を探知できる犬も導入されるようになり、活躍の場を広げています。

現在では日本全国の税関に配置された麻薬探知犬は120頭以上!
空港で見かけたことがあるよという方もいるのではないでしょうか?

ちなみに麻薬探知犬の仕事場は空港だけではありません。
麻薬取締法違反で逮捕された歌手のASKA容疑者の自宅から麻薬の空袋を発見したのは、イルミナ号という麻薬探知犬でした。

海外での活躍


海外の麻薬探知犬たちは、日本と同じくシャーマンシェパードやラブラドール・レトリバーも見かけますが、ビーグルやスプリンガー・スパニエルなど、小型から中型の犬種も活躍しています。

私が先日イギリス・バーミンガム空港で出会ったのはスプリンガー・スパニエル。
そのとき私は世界最大のドッグショーの帰り。あらゆる犬の匂いがする上に、鞄の中には愛犬へのお土産のおやつが…。
訓練された犬だって興味が勝つこともあるだろうと内心ドキドキしましたが、そのスプリンガー・スパニエルはこちらをちらりとも見ず、横を過ぎ去っていきました。
なんて優秀なんだと感動したとともに、帰るなり私の荷物に頭を突っ込む愛犬たちを比べてしまったのは言うまでもありません。

またアメリカの空港ではThe Beagle Brigadeという検疫探知犬のビーグルチームがいます。
こちらは麻薬ではなく、持ち込み禁止の肉類、果物、野菜を発見するというもの。嗅覚ハウンドであるビーグルの特性をフルに活かしたお仕事です。

 

どんな犬種が向いているの?


麻薬探知犬にはどんな犬でもなれるというわけではなく、適正があり、

  • 動くものへ興味を示す
  • 投げたものを、持って帰ってくる、独占欲が強い
  • 人見知り、場所見知りしない
  • 活発である
  • 攻撃的ではない

これらの特性を備えた犬が麻薬探知犬として訓練しやすいと考えられています。

現在日本で麻薬探知犬として従事している犬種は、ジャーマンシェパードとラブラドール・レトリバーの2種が主となっています。

麻薬探知犬のハンドラーになるには?

麻薬探知犬と一緒に颯爽と空港内を歩く職員、ハンドラーと呼ばれる方たちですが、実はこの方たちは税関職員。国家公務員なんですね。

税関職員になるためには国家公務員試験のⅡ種に合格する必要があります。(稀にⅢ種でも採用されることがあるようです。)
ただし税関職員になれたからといって、必ず麻薬探知犬のハンドラーやトレーナーに配属されるとは限りません。
かなりの体力を要するお仕事なので、狭き門といえるでしょう。

番外編


オランダのアムステルダム・スキポール空港ではこんなお仕事も。

機内に残された忘れ物を嗅がせてリュックに入れると、到着ロビーへ走って行き持ち主の元へ届けるというビーグル犬がいます。
その名もシャーロック!
名探偵もびっくりの嗅覚で、忘れ物の8割が無事乗客の元へ戻るようになったというのだから、お手柄です。

どの犬も仕事を楽しんでいる!

稀に「麻薬探知犬は麻薬中毒にされて必死に麻薬を探すように訓練されている。」という話が出回っていますが、これは間違いです。
初めはダミーを見つけるとトレーナーが遊んでくれる!という訓練を繰り返し、後にダミーと麻薬の匂いを結びつけ、犬は遊んで欲しさに仕事をするようになります。

だから空港で見かける探知犬たちはいつも楽しそう!
尻尾を振り回し荷物を嗅ぎまわってはハンドラーとアイコンタクトを取っており、決して麻薬中毒なわけではありません。

空港で見かけてもお仕事中なので、暖かく見守ってあげましょう。
ただし、麻薬探知犬や検疫探知犬があなたの横で座ったら覚悟してください。何かしら持っていると疑われています…。

 
 

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