2017年6月4日更新

赤がグレーに?紫は青に?犬の視覚とサイトハウンドの歴史

犬から私たちってどう見えているんだろう?お気に入りのお散歩コースはどんな風に見えるのかな。
そんな疑問を持ったことはありませんか?

人間と比べると目が良くない、と言われる犬。
今回は愛犬から見た景色を覗いてみましょう。

犬は近視、色が分からないって本当?


かつて犬は白黒でしか見えていないと考えられていた時代もありました。
しかし検証が進むにつれ、犬の見る景色がどんなものか、ちょっとずつ解明されてきています。

見える色は青と黄色?

色は光の三原色と呼ばれる赤、青、緑の三色から成り、この色を感じる網膜の組織を錐状体といいます。
人間はこの光の三原色をそれぞれ識別する錐状体を持つことで、様々な色を見分けることができるんですね。

しかし犬にはほとんど錐状体がなく、わずかの錐状体も青と黄色しか感知することができません。
そのため赤や緑の識別は苦手です。

カリフォルニア大学の実験によれば

  • 緑・黄・オレンジ→黄色
  • 紫・青→青
  • 赤→グレー

に見えているといいます。

夜間は人間よりよく見える?

フラッシュをたいて撮った写真で、犬や猫の目が光っているのを見たことはありませんか?
その正体はタペタム層と呼ばれる、人間にはない細胞層です。

これは少ない光を反射し視神経に伝えるためのもので、暗闇の中でも輪郭をはっきりと捉えることができます。

犬は近視?

よく犬は近視だと言われますが、実験によればほとんどの犬が正視だとか。
犬種によって一部遠視、近視のものがいるというのは改良されてきた背景に何か関係があるのかもしれません。

また犬は概ね70センチより近いものにはピントを合わせられないと考えられています。
愛犬と近くで見つめ合っているとき、彼らには自分がボヤッとしか見えていないというのは、なんだか少しショックですね。

視野は広い!

目が前に向いて付いている人間に比べると、犬の視野は広く、獲物を視界の端でとらえることに優れています。
犬種によりバラつきがありますが、220度~270度程度。この差は顔の形が犬種により大きく違うためです。

それに対し両目を同時に使い立体的に見ることの出来る両目視野は80度程度、人間で120度なので、犬はかなり狭くなっています。

動くものには強い

人間が一秒に認識できる光の数は50回。
犬が一秒に認識できる光の数は70~80回あります。
これ以上の回数で光を点滅させると、個々の光として認識できずに、ずっと光っていると認識するというものです。

これは難しい言葉でフリッカー融合頻度といいます。
パラパラ漫画の原理と同じものですね。

瞬足の貴公子、サイトハウンド


犬の中でもとくに広い視野を活かした犬種でサイトハウンド(視覚ハウンド)と呼ばれるものたちがいます。
文字通り視覚で獲物を捕らえ狩猟を行う犬のことで、サイトハウンドはジャパンケネルクラブの分類では10グループに属します。

代表的な犬種

  • イタリアン・グレーハウンド
  • グレーハウンド
  • ウィペット
  • ボルゾイ
  • アフガン・ハウンドなど。

長いマズルと目の位置による広い視野、細長い四肢が特徴的です。

走行スピードは車並!?

広い草原や砂漠地帯で逃げる兎や鹿を捕らえることに特化して改良されてきた犬種なだけに、その走行スピードは圧巻!
そんな中でも最速と言われるグレーハウンドのトップスピードは時速60~70キロというのだから、驚きです。

ですがそれゆえに、ドッグレースで賭け事の対象にされているという闇もあります。
レースドッグの多くは本番で走りたい欲求を爆発させるために、狭いケージに閉じ込められて生活していたり。引退したら処分されてしまうなどの問題もあります。

サイトハウンドを飼う際に気をつけたいこと

走ることに特化した犬なので、やはり日頃の運動は欠かせません。かなりの運動量を要しますし、広い場所で思いっきり走らせることも必要です。
中々お散歩に行けない、短時間しか行けないという家庭には不向きな犬種といえます。

またその走行スピードと骨の細さから、脱臼や骨折も多い犬種です。

狭いドッグランでテンションが上がってしまい、止まれず壁や犬同士ぶつかって骨折することもあるほど。
思いっきり走らせる必要はありますが、場所を選ぶ必要もあります。

目は口ほどにものを言う?


私たちと同じ言葉を話さない犬たちですが、愛犬を見ていると驚く程に目で物語ってくることがありませんか?
なにか後ろめたいことがあるときの目、何か欲しいときの目、お散歩を期待しているときの目。

私たちとはちょっと違う光景を見ているらしい彼らの視界ですが、お互いにコミュニケーションがとれ、いろんな感覚を共有できるのだから不思議なものです。

長谷川真理恵



JKC A級トリマー、JKC C級ハンドラー

グルーミングスクールに4年通い、JKC A級トリマーライセンス、JKC C級ハンドラーライセンスを取得。フリーのトリマーとして働く傍ら、在学中にモデル犬として迎えたトイプードルのチャンピオン完成をきっかけに繁殖学・遺伝学を学び、ドイツやイギリスのブリーディングスタイルをモデルとして極少数頭のみのブリーディングを手掛ける。主人の海外赴任に伴い愛犬とともにドイツへ越した後、現在はベルギー在住。日本とは大きく異なるヨーロッパにおける"犬とは"を日々体感中。

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