2017年5月11日更新

もうすぐ愛猫の去勢手術!!その前に知っておきたい知識とは(オス)【獣医師が解説】

後藤大介



獣医師

 

もうすぐ去勢手術。知っておきたい知識とは

オス猫の不妊手術である「去勢手術」。去勢手術は、単に妊娠能力を無くすだけでなく、問題行動を減らして、猫の寿命を延ばしてあげるための大切な手術です。オス猫の睾丸を取り除く去勢手術ですが、今回はその方法や費用など去勢手術の実際について解説します。どんなことをやるのか不安な飼い主さんは、ぜひ参考にしてみてくださいね。

 

去勢手術の方法


オス猫の去勢手術は全身麻酔をかけて行う手術になります。基本的にはメスのようにお腹を開ける必要はなく、手術時間も避妊手術に比べると短く済むため、避妊手術よりも猫の負担の少ない手術になります。

  1. 全身麻酔をかける
  2. 麻酔を維持しながらモニターをつけて異常がないかを確認する
  3. 問題がなければ陰嚢(いわゆる玉袋)の毛を刈って消毒する
  4. 睾丸が出せる程度の切開を陰嚢に行う
  5. 睾丸につながる血管や精管を糸で縛り、切断し、睾丸を摘出する
  6. もう一方も同じように摘出する
  7. 陰嚢を糸で縫合する(縫合しない病院もあり)
  8. 麻酔から覚まして終了

去勢手術は猫の睾丸を取り出せるくらいの切開で十分ですので、1~3針縫うだけの非常に小さい傷になります。手術時間は10分程度、麻酔をかけ始めてから覚醒までも30分程度で終わってしまうことが多いです。

最近では血管や精管の結紮に糸を使わないシーリングシステムを採用している病院も多く、糸が原因となる炎症や感染のリスクを減らし、手術時間の短縮にもなるおすすめの方法です。

腹腔内陰睾の手術

猫の睾丸は、生後2カ月くらいまでの間に陰嚢に降りてきます。これを精巣下降と呼び、生まれたてのオス猫の睾丸はお腹の中にあるのです。

しかし、まれに睾丸がお腹の中にとどまってしまう「腹腔内陰睾」と言われる状態の猫がいます。その場合は、避妊手術と同じように開腹手術が必要となり、麻酔時間や費用などが変わってくることがあります。愛猫の睾丸がしっかり2つ触れるか、事前にチェックしておきましょう。もし、陰嚢の中になく腹腔内陰睾である場合は、メス猫の避妊手術と同じような方法になりますので、避妊手術の記事を参考にしてみてくださいね。

 

去勢手術の適齢期

現在、去勢手術をいつやったらいいかという明確なガイドラインはありません。あまり高齢になってからでは手術のメリットが少なくなり、麻酔リスクも高くなるので、若いうちに行っておいた方がいいのは間違いないでしょう。

一部では、「早期去勢手術」という、2,3カ月齢での去勢手術を行っている動物病院もあります。早期去勢手術には、若いうちは痛みに強いというメリットもありますが、内臓が成熟していない猫への全身麻酔のリスクや、尿道の成長不全による尿道の病気の増加のリスクが高くなってしまう可能性も指摘されています(これらのリスクが本当にあるかどうかには議論があります)。

基本的には、生後半年~1年の間で行うことをすすめている獣医師が多いです。

手術前日・当日・術後の流れ


去勢手術を予約した場合、具体的にどのような流れで行われていくのかご紹介します。

手術前日

全身麻酔をかけるときに胃の中にフードがあると、麻酔をかけたときに吐いて気管に詰まってしまうことがあります。そのため、手術前日の夜からフードを抜いて手術にそなえることが多いです。絶食の時間は病院によって違いますので、手術の予約を入れたときにかかりつけの病院にしっかり確認しておきましょう。

手術当日

当日の朝に動物病院へ連れていき、お昼に手術をするという病院が多いです。術前の検査や点滴などを行う動物病院もあるため、手術当日は必ず指示された時間までには受診するようにしましょう。

手術の見学ができる施設もありますが、ほとんどの動物病院では、そのまま猫を預けて飼い主さんは帰宅することになります。午前中の外来診察が終わった後に手術時間を設けている動物病院が多いです。

普通の去勢手術は避妊手術に比べて負担が少く、通常はその日に帰宅することができます。日帰り手術では、午後の指定された時間に迎えに行って連れて帰ってきます。腹腔内陰睾の場合は、避妊手術と同じように1泊入院となることも多いです。手術当日は、お家に帰ってからもご飯を食べさせないよう指示されることもあります。手術当日は家でも安静にして過ごしてあげてください。

術後

手術翌日からは、基本的には通常の生活をします。ただし、傷を舐めないようにエリザベスカラーをしたり、化膿止めを飲むこともあります。また、多くのケースでは抜糸が必要になりますが、抜糸がいらない埋没縫合(皮内縫合)や陰嚢の縫合をしない病院もあります。抜糸が必要な場合は7~10日くらいで、動物病院で抜糸をしてもらいます。

手術後数日は少し元気がない猫もいますが、翌日から普通に食欲元気が戻っているという猫が多いです。

手術の費用


手術の費用は病院によって異なります。安い病院が一概にいいとは言えず、費用の高い安いには術前検査の内容・手術に使う糸や道具の違い・麻酔薬の違い・手術に関わるスタッフの数・点滴や入院の有無などによっても変わってきます。

日本獣医師会が発表している「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査」では、去勢手術を5,000~20,000円くらいで行っている動物病院が多いようです。ただし、ここに別途麻酔費用(~10,000円)がかかる病院もあります。去勢手術の費用として提示された金額に、どの費用が含まれていて、他にどんな費用が掛かるのかは動物病院によって違うのでしっかり確認しておきましょう。

術前検査は必要か?


術前検査は、動物病院によってする場合としない場合があります。しない場合でも希望があれば追加料金(5,000円程度)を支払えば術前の血液検査をしてくれることも多いです。

若い猫の場合、麻酔事故は非常に少ないですが、万が一内臓に隠れた病気を持っていると、そのリスクが上がってしまいます。できる限り、術前にしっかり血液検査はもらっておきましょう。

まとめ


去勢手術でどんなことをするのか、理解できましたか?

去勢手術は、猫本人にとって一生に一回の手術になります。どんな方法で行うのか、術前検査はするのか、費用にどのようなものが含まれているのかをしっかり理解し、去勢手術を予約する場合には、その動物病院ではどうなのかも確認しておいた方がいいでしょう。値段が安いからというだけで決めてしまって、後悔しないように注意してくださいね。