どうして猫は脱走上手?危険な外に出さないために、私たちができること

猫にとって外の世界は、交通事故や病気の感染、連れ去りなどさまざまな危険があふれています。

最近では完全室内飼いのご家庭が増えてきましたが、ネットを見てみると、うっかり脱走させてしまった方々の「迷い猫探し」の情報が飛び交っているのも事実です。

外で愛猫が危険な目にあっていないか、飼い主さんも気が気ではないでしょう。

今回は、脱走の原因や、そのような事態を防ぐための方法、万一脱走してしまった時の対策について詳しくご紹介いたします。

 

猫が外に出てしまったときの危険とは

完全室内飼いであった猫が脱走してしまった場合、どのような危険があるのでしょう。

1.不安で身動きできず、帰ってこれない

猫は縄張りで生活する動物です。完全室内飼いの猫にとって、外の世界は縄張り外の、恐ろしい世界です。

多くの猫は怖さのあまり暗いすき間に逃げ込み、そこから身動きできなくなります。

家に帰ることができなくなってしまうのです。

また、うっかり野良猫の縄張りに侵入すすると追い出されてしまい、ますます家から遠ざかってしまうこともあります。

2.食事もできずに衰弱する危険性

恐怖で身動きができないために、食事も満足にとることができません。何日も続けば命にかかわることもあります。

3.伝染性の病気をうつされる可能性

野良猫と遭遇すれば、噛みつかれたり引っかかれたりし、病気に感染する危険性もあります。

野良猫の多くは伝染病予防のワクチンを接種していません。

そのため、猫エイズや猫白血病など感染症の感染率は高く、特に猫エイズは約2割と世界で最も高い感染率とされています。

他に猫風邪など伝染力の高い感染症は特に危険と考えられます。

4.事故の危険性

完全室内飼いの猫は自動車を知りません。

外に出たとたんパニックになり、道路に飛び出して事故にあったという話もよく聞きます。

また、狭い場所に逃げ込んで出られなくなってしまうこともあります。

5.捕獲の危険性

良心的な人に保護されればよいのですが、場合によっては保健所に持ち込まれたり、信じがたい話ですが、虐待目的や実験動物用に販売目的で猫を捕まえたりする人もいます。

 

猫を外で飼育することの危険性

猫を完全室内飼いにせず、外で飼育すると、今お話したこと以外にも危険があります。

1.近隣トラブルとなる可能性

隣家の花壇や植木の土に糞尿をしたり、窓が開いていれば勝手に部屋に侵入してしまうことも。

近隣への迷惑行為ともなり、トラブルに発展することがあります。

2.健康管理が行き届かなくなる

若くて健康な時はまだしも、ひとたび病気になった際に、薬の投与や食事の管理がしっかりできなくなってしまいます。

また外で飼育すると、ごはんを与えていても鳥やカエルなどを捕まえて食べてしまうことも。

野生動物には寄生虫がたくさんいるため、それを食べれば当然猫も感染してしまいます。

3.生死がわからなくなる

外で飼育していると、事故や野良猫との争いで家に帰れなくなり、ある日突然姿を消してしまいます。

探しても見つからず、生死もわからなくなることがあります。

4.寿命が短くなる

ケガや病気が多く、健康管理も行き届かないことが。そのため、完全室内飼いをするよりも寿命が短くなる可能性があります。

 

猫は外に出なくても大丈夫?

猫にとって、家の中だけが縄張りと認識すれば、外に出す必要はありませんし、外に出たいという欲求もほとんどなくなります。

猫は「毎日がいつもと同じ」という状態に幸せを感じます。

なかには外出好きな猫もいますが、ほとんどの場合、縄張りの中、つまり室内が快適であれば、人と同じように外に出て強い刺激を感じたいという欲求も少ない動物なのです。

 

猫の脱走が多い理由

では、どうして猫はしばしば脱走してしまうのでしょうか。

それは、猫が好奇心に負けてしまうからです。例えば外に虫や鳥がいると、そこが縄張りの外であることを忘れてうっかり出てしまいます。

また、何かに驚いてパニックを起こすとそこから逃げたい一心で外に出てしまうこともあります。

マンションの場合は転落事故にもつながりかねません。

脱走防止のためにできること

猫の安全を守るために、飼主さんができることはたくさんあります。

まずは、猫の能力・器用さを知っておくこと

猫は、人が思う以上に身体能力が優れています。このことをよく把握しておかないと脱走の危険に気づくことができません。

1.猫は思いもよらない、狭いところをくぐり抜ける

猫は肩甲骨が人よりも自由に動くために体が柔軟で、頭さえ入れば、人のように肩がつかえるということはありません。

そして猫の頭は思いのほか小さく、「まさかこんなところは通れないだろう」と考えるような狭いすき間でも、猫はすり抜けることができてしまいます。

2.猫のジャンプ力を甘く見てはいけない

猫は自分の体の5倍以上の高さに到達できるジャンプ力を持っています。

さらに、ほんの少しでも手足の爪がかかるでっぱりさえあれば、数mの高の塀も簡単に乗り越えてしまうでしょう。

「ここには届かないはずだから大丈夫」と思わず、天窓など高さのある場所の開け閉めにも気をつける必要があります。

3.猫の手先はとても器用

猫は前足の手首や指を器用に動かすことができ、爪をひっかけてものをつかむような動作もできます。

そのため、ドアノブを回転させてドアを開けたり、引き戸や引き出し、開き戸も開けることができる猫もいます。

ドアや戸が閉まっているから安心というわけではありません。

4.猫は足音を立てずに素早く動く

猫は、いつの間にか人の足の間をすり抜けてしまうことがよくあります。

足音がしないため気づきにくく、動きも素早いので、気づいたときには遅かった、ということも。

猫の脱走4大原因を知る

1.玄関からの人の出入りで

飼主さんの外出、帰宅時の脱走はもちろん、宅配便の受け取りなどにも注意が必要です。

2.洗濯物を干すとき、窓からの出入りで

気をつけたつもりでも、洗濯物を持っていて下が見えにくいと猫がすり抜けていることが。

3.換気などのために窓を開けて(または窓の閉め忘れ、ロックし忘れ)

窓を開けるとき、網戸があるから大丈夫というわけではありません。

網戸は猫の爪が大変ひっかかりやすく、軽いのでとても開けやすいのです。また、お風呂場の窓など、閉め忘れやすい場所も要注意です。

4.病院などの外出先で

「うちの猫はおとなしいから」と、ハーネスやリードだけでキャリーに入れずに外出すると、外の大きな音に驚いて猫が脱走してしまうことがよくあります。

どんなにおとなしい猫でも、驚いてパニックになると飼い主からでさえ逃げようとします。

こんな時、ハーネスやリードはほとんど役に立ちません。

猫は体が柔らかく、その気になったら縄抜けしてしまうからです。

家からの脱走とちがい、外出先での脱走はさらに見つけにくく、猫も家の場所がわからず帰れなくなる可能性が高くなります。

脱走防止の具体的な対策とは

1.人の出入りが多い玄関などにはペット用扉を

玄関からの脱走を防ぐには、ペット用の内扉をつけることが有効です。

少々お高いですが、最近では市販の既製品やオーダーメイド品もあります。

玄関は、人が出るときは慎重にしていても帰ってくる時にうっかりすることも。

そんな時内側にもう1つ扉があると、うっかり事故の可能性を減らせます。

2.窓に柵を取り付ける

窓に柵があれば、網戸を開けてしまう心配もなくなります。

100円均一の網を利用すれば簡単に脱走防止柵をつくることができます。

窓枠の大きさに合わせて切り取ったり結束バンドで繋ぎ合わせたりし、窓枠のレールの中に入れ、窓自体で挟むだけです。

窓の固定には、防犯用の鍵が便利です。

3.扉や引き戸にはロックや固定鍵

扉や引き戸を閉めるときは、猫が勝手に開けないように幼児用安全ロックや防犯用の鍵を使ってしっかり固定しましょう。

4.窓を開けている時は猫の行動に気を配る

ふだんは外に出たがらない猫でも、発情期や外の鳥や虫を追いかけたくて外に出ようとしたり、雷などの大きな音に驚いてパニックになり、網戸を突き破って(または網戸を倒して)外に出てしまうことが。

猫が我を忘れている時は、特に事故にあいやすく、マンションの高層階であれば、そのまま死に繋がります。

猫の様子には気を配るようにしましょう。

5.うっかり事故をなくす努力を

脱走の一番の原因は人の不注意です。

玄関から出入りする際、また窓を開ける際は、そこに続く廊下や部屋から猫を出すという習慣をつけることが大切です。

多頭飼いの場合は全員がちゃんといるか定期的に確かめましょう。

猫が外に出て、本気で走ってしまったら人の足では絶対捕まりません。まずは外に逃がさないことが肝心なのです。

万一脱走した場合にすべきこと

もし猫が脱走したら、なによりも一番最初にすべきことは、関係各所へ連絡すると同時に、直ちに探し始めることです。

脱走してからの時間が早ければ早いほど、猫が戻ってくる確率は高くなり、反対に日にちがたつほど難しくなります。

届け出るべき機関

  • 警察署・近隣の交番
  • 動物愛護センター
  • 保健所
  • 市の清掃局、土木課、公園課
  • 猫の保護団体や地域猫団体
  • 近所の動物病院

万一、保健所に連れていかれたら殺処分ということもありえるため、必ず関係各所へ届けを出してください。

また、捜索中に不審者と誤解を受けないよう、近隣住民に事情を説明し、協力を仰ぎましょう。

近隣からの情報はとても大切です。ただし、猫好きの方ばかりではないので、あくまで低姿勢を貫きましょう。

猫を見つけ出すコツ

多くの猫は、恐怖でほとんど動けない状態にあります。

したがって、行動範囲はそれほど広くなく、数日間は家の近くの「暗くて狭い場所」に隠れている場合が多いでしょう。

脱走後3日以内であれば、主に100m圏内を探すことがコツです。

探す場所

  • 家屋や物置のすき間、庭木の中、室外機や車の下、側溝の中など、暗くて狭い所を探す
  • 同時に、屋根の上や木の上など、猫が安心する高い場所を探す
  • 時間を変えて同じ場所を何度も繰り返し探す
  • 室内猫なら100m圏内、外に行く猫であれば、200m圏内を探す
  • 脱走後4、5日以上経ったら、徐々に捜索圏を広げていく
  • 猫砂など愛猫匂いが付いたものを自宅前、自宅の道筋にまく(大量にまくと迷惑です)
  • いつもと同じ調子の「平静な声」で猫の名前を呼ぶ
  • 近所への聞き込み、チラシやネットの掲示板などを活用して広く情報を収集する
  • 協力者には、猫を見つけても知らせるだけで、近づかないようにお願いしておく

猫は、たとえ飼い主さんを見かけたとしても、怖くて出てくることができないかもしれません。

ですが、きっとどこかで自分を探す飼い主さんの姿を見ているはずです。あきらめず何度も何度も探してあげてください。

猫が見つかったら

届け出先や協力者から猫が見つかったとの一報があったときは、写真があったとしても、体重が減少して顔つき、体つきが変わっているかもしれませんので、必ず自分の目で確かめましょう。

愛猫であることが確実にわかっても、大声で叫んだり、すぐに駆け寄ったりすると、怖がって逃げられます。

まずキャリーケースの口を開け、その場にゆっくりしゃがみ、いつもと同じ調子で名前を呼びます。

緊張している猫が怖がらないよう、少しずつ距離を縮め、まずは手を下から近づけて匂いをかがせてください。

猫が落ち着いていれば、バスタオルで包み、キャリーケースに入れましょう。

捕獲用トラップを利用

どうしても捕獲できないときは、猫の通り道に捕獲用のトラップをしかける方法もあります。

ただし、他の野良猫なども捕まる可能性もあるので、頻繁に見回りにいく必要があります。

トラップは愛護団体などから借りることができます。

家に連れて帰ったら

無事連れて帰ったら、まずは落ち着かせてケガや病気をしていないか確認しましょう。

その後、早めに病院に連れて行くようにしてください。

同居猫がいる場合は、動物病院で感染症がないなど健康が確認されるまでは一緒にしないようにしてください。

特に老猫や子猫、病気の猫がいる場合は注意し、引き合わせないようにしましょう。

脱走時の備えとして

脱走した際、保健所や保護団体などに保護された時にすぐに身元がわかるようにすれば、猫が戻ってくる確率が高くなります。

有効な手段としてマイクロチップの装着、首輪に連絡先が描かれた名札をつける、などの方法があります。

まとめ

飼い猫は、外の世界ではまず生きていけません。

いったん脱走すれば無事に戻ってこれる猫はそれほど多くないのが現状です。

愛描を守るためには、そもそも脱走させないことが肝心です。普段から脱走防止の対策をとっておくようにしましょう。

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NEKOCLIP

博物館に20年勤務していた古生物学系元学芸員。猫は絶滅してしまった化石猫から イエネコ、ライオンに至るまで全部大好き。猫飼い歴ン十年の猫おばちゃんです。 飼育のお悩みから進化学に至るまで、幅広い情報と猫の素晴らしさをわかりやすく お伝えしようと思います。理学修士、ペットシッター資格、愛玩動物飼養管理士2級。 ペット用品販売会社での勤務経験もあります。