2017年6月14日更新

FeLV(猫白血病ウイルス)の猫と暮らす基礎知識【獣医師が解説】

後藤大介



獣医師

 

猫にとって非常に厄介な「FeLV(猫白血病ウイルス)」感染症。このウイルスに感染するとすぐに白血病を発症するというわけではありませんが、FeLV感染症の猫はさまざまな病気を発症しやすく、寿命も短くなってしまいます。特に、FeLV感染症はFIVと違って簡単な接触でうつってしまうことも多い、非常に伝染力の強い感染症です。

今回は、そんな怖い病気であるFeLV感染症の猫と暮らすときの注意点を考えてみましょう。

 

家の中で感染させないための注意点

FIVがけんかや交尾などの濃厚接触で感染するのに対し、FeLVやグルーミングなどの軽度の接触や、食器やトイレなどを介した関節接触でも感染してしまいます。FeLVをほかの猫に感染させないためには以下のことを守りましょう。

ワクチンを打つ

FeLVワクチンの感染防御率は90%以上と言われています。つまり、FeLV感染猫がいる家庭では、他の猫にFeLVワクチンを打っておけば10頭中9頭は感染を防ぐことができるということになります。100%ではないのが残念ですが、一番有効な感染の防御方法ですので、FeLVに感染していない猫には1年に1度、FeLVワクチンを打っておくことをおすすめします。

部屋を分ける

感染の可能性をできるだけ減らすためには、部屋を分けて直接接触しないようにすることも大切です。同じ部屋だとどうしても猫同士の接触は避けられません。直接接触しなくても唾液や尿などの体液が付いたものに触れることで感染するリスクは出てしまいますので、接触させないためには部屋自体を分けておいた方が無難です。

食器やトイレは共用しない

食器やトイレの共用からFeLVに感染してしまうことも少なくありません。食器やトイレは共用せず、他の猫のお世話をするときも、FeLVの猫や猫の食器やトイレを触った後は必ず手を消毒してから行ってください。

同部屋で飼う場合は飼育密度を下げる

FeLVは猫の飼育密度が高いほど感染率が上がると言われています。その原因として、猫の数が多いほどストレスが強くなり、免疫力が落ちるからではないかと考えられています。FeLV感染している猫を飼う場合は極力飼育頭数が増えてしまわないように注意してください。

FeLV感染症の猫で発症しやすい病気

FeLV感染症になるとさまざまな病気のリスクが高くなり、それらの病気によって寿命が短くなってしまいます。完治できない病気を発症してしまうことも多いですが、できるだけ早期発見/早期治療をすることで、少しでも元気に長生きすることが可能になります。FeLV感染症の猫を飼っている飼い主さんは、以下のような病気に注意するようにしてください。

白血病

名前の通り、FeLVは白血病を起こす可能性のあるウイルスです。白血病は骨髄の中で腫瘍細胞が増える病気であり、白血病を発症してもそれが目に見える訳ではありません。ただし、白血病により白血球増加症、白血球減少症、貧血、出血傾向、感染症などが発生することが多く、その場合は元気・食欲の低下、発熱などの全身症状が出てきます。

リンパ腫

FeLVでもう1つ多いのがリンパ腫です。特に、若いころに胸の中にできる縦郭型リンパ腫は、FeLVで最も多く見られる病気の一つです。口を開けて呼吸したり、呼吸が速い、荒いなどの症状がある場合は、縦郭型リンパ腫による胸水貯留の可能性が高いです。一般的に1歳以下の若い猫で起こることが多いので、FeLV感染症のある若い猫では呼吸状態に注意してください。

リンパ腫は他にも全身の体表リンパ節が腫れる多中心性リンパ腫や胃腸にできる消化管型リンパ腫などもあります。体にしこりがないか、下痢や嘔吐がないかも注意して見ておきましょう。

難治性口内炎

FeLV感染症の猫では、難治性の口内炎が非常に多くなります。FeLVウイルスによる免疫力の低下や栄養状態の悪化などが、口内炎の原因だと言われています。FeLV感染症の猫で口内炎が起こると難治性になるケースが多く、口の痛みから食欲を落として、ますます全身状態を悪化してしまうことになります。食べるときに口を痛そうにしていたり、よだれが出ている場合には、口内炎の可能性があるので注意してくださいね。

その他

その他、FeLV感染症では、免疫力の低下から腫瘍性疾患(いわゆるがん)や感染症を引き起こしやすくなります。健康な子に比べ、特に体重減少や食欲不振にはしっかり注意しておきましょう。

 

まとめ

FeLVは一度感染が成立してしまうと基本的には治ることのない不治の病です。1頭でもFeLV感染症に罹患した猫を飼っている場合は、まずはFeLVワクチンなど、他の猫にうつさない対策が必要になってきます。

また、FeLV感染症の猫はさまざまな病気を発症しやすく、寿命が短くなってしまいます。感染していない猫同様に長生きするのは難しいですが、できるだけ元気な時間を長く一緒に過ごすためには、FeLVによって引き起こされる病気の早期発見/早期治療が大切になります。FeLV感染症の猫を飼っている場合は、こまめに体調をチェックして、不調があれば早めに動物病院で診てもらうようにしてくださいね。

 
 

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