2017年7月6日更新

【猫の不思議行動】猫が高い所が好きな理由は、猫のルーツにあった

NEKOCLIP



ペットシッター、愛玩動物飼養管理士2級

博物館に20年勤務していた古生物学系元学芸員。猫は絶滅してしまった化石猫から イエネコ、ライオンに至るまで全部大好き。猫飼い歴ン十年の猫おばちゃんです。 飼育のお悩みから進化学に至るまで、幅広い情報と猫の素晴らしさをわかりやすく お伝えしようと思います。理学修士、ペットシッター資格、愛玩動物飼養管理士2級。 ペット用品販売会社での勤務経験もあります。

 

猫って本当に高い所が好きですよね。わが家の猫も、冷蔵庫の上がお気に入りです。ルートさえ確保されれば、カーテンレールやエアコンの上にもチャレンジする猫がいます。「壊れるから、落ちるから降りて!」と飼い主さんがハラハラすることもあるでしょう。なぜ猫は高い所に登るのか、そして登れるのか。その理由にせまります。

 

猫の高い所好きには歴史がある

猫類の最初の祖先(犬類との共通の祖先)は、今から4800~4000万年前にいたミアキスという名前の動物です。ミアキスは、猫ともイタチとも似ている姿の小型の肉食動物で、森林に住んでいました。

単に住処が森林というだけでなく、ミアキスは生活の半分くらいを木の上ですごす樹上生活者でした。やはり木の上に住む小さな哺乳類を餌にしていたようです。

餌を木の上で獲物を捕まえ、天敵が襲ってき時には、木の上に逃げ込んだでしょう。木の上は餌場でもあり、安心・安全な場所という意味があるのです。

猫は森林にとどまった

その後地球環境が変わって乾燥化が進むと、ミアキスが住んでいた森が平原にとってかわり、住む場所が狭くなっていきました。その時森を捨て、平原へと生活の場を変えたのが犬の祖先です。平原へ出て行った犬の足は走ること専用になり、木に登る能力を失いました。反対に、猫の祖先は森林にとどまり、木に登る能力を極めていきました。

 

猫が高い所に登るための能力1「爪」

猫が高い所に登れる1つの理由は、鋭いカギ爪があるからです。爪を鋭く保つのが、猫の出し入れ自由な爪の構造。力を抜いている時には引っ込み、力を入れると指骨の下側にある腱が引っ張られ、爪が出ます。

この構造のおかげで、猫の爪は歩く際に引っ込み、地面との摩擦で爪がすり減らないようになっているのです。鋭い爪はもちろん獲物を倒すときにも必要ですが、木登りにもとても役立つアイテムです。前足、後ろ足の爪を木に突き立てて、体重を支えて登ります。

猫が高い所に登るための能力2「抱きつける前足」

猫が木に登るために、もう1つ大事な体のつくりがあります。それは、相手に横から抱きつくことができる前足です。人ができることなのであまり不思議に思われないでしょうが、これは、鎖骨がないとできないと言われています。

犬や草食動物などは、走るために鎖骨は不要となり、無くなってしまいました。ですから犬は腕をしっかり内転させて横からものに抱きつくという動作ができません。

猫には小さいながらも鎖骨があり、しかも柔軟に動くため、相手に抱きつく動作ができます。さらに手の指の関節も柔軟で、ものをつかむ動作もできます。これらは、木に登ったり木の上で枝にしっかり抱きついていたりするのに役立つのです。

猫は立体的に行動する動物

猫にとって高い所は生活の場であり、安心できる場所です。それをよく証明している動物園があります。旭山動物園さんは動物の生態展示で有名ですが、園ではヒョウの檻を人の頭上に設置し、ヒョウをすぐ真下から見られるようになっています。ふつうは観客が近くにいれば大きなストレスになってしまいますが、高い所にいれば大丈夫なのだそうです。というか、真下に人がいるのにヒョウは実際くつろいでいました。

4000万年前から続いてきた森林での生活で、猫にとって生活の場を立体的に利用するというのはあたり前となり、高い所はくつろげる場所となりました。現在の猫たちもそれを引き継いでいるということなのでしょう。

愛猫のための生活空間

シニア猫は別として、愛猫のために高い所に登れる場所を、生活空間にできるだけたくさん取り入れてください。キャットタワーを複数置いたり、なければ本棚や箪笥を活用してもかまいません。

さらにキャットウォークがあればより良いでしょう。高い場所をつくってあげるときは、窓の外が見られるところに置くと猫は好んでそこにいます。最近は窓ガラスにじかに取り付けられるベッドも販売されています(直射日光が長時間当たる場所は避けましょう)。反対に登られて困るような場所は、そこに到達できるルートを断てば大丈夫です。

まとめ

猫の生活に必要なことは、広さよりも高さです。できる範囲でかまいませんので、なるべく工夫して猫が立体的に生活できるようにしてあげましょう。