2017年7月10日更新

犬アレルギーの原因・症状、検査方法や治療について【獣医師が解説】

ペット生活



編集部

犬や猫との暮らしを豊かにするお役立ち情報をお届けします。

 

犬に多い病気の一つ「アレルギー」。生死にかかわることはほとんどないため軽視されがちですが、一生付き合っていかないといけないケースも多く、重度の痒みなどにより生活の質(QOL)を非常に低下させてしまう病気です。

アレルギーは完治させることは難しいですが、症状を抑えて愛犬が快適に生活できるようにすることは可能です。薬を飲んだら治るという簡単なものではないため、アレルギーの治療には飼い主さんの知識と協力が不可欠です。愛犬のためにしっかりアレルギーについて知っておいてくださいね!

 

アレルギーとは

アレルギーは日本語では「過敏症」です。体に何らかの形で入ってくる物質に対し、免疫が過敏に反応しすぎることで、体の中で炎症反応を起こしてしまう病気です。犬で代表的なアレルギーは食物アレルギーとアトピー性皮膚炎です。

アレルギー反応には、「アレルギーの原因物質(アレルゲン)の侵入」と「免疫の過剰反応」という2つのステップがあります。アレルギーという病気とその治療を理解するために、この2つのステップがあるということを頭に入れておきましょう。

アレルギーを疑ったら


アレルギーを疑った場合は、できるだけ早めに動物病院へ行くことが大切です。アレルギーは無治療のまま様子を見ていると徐々にひどくなることが多く、病気が複雑になってしまうこともあります。早期発見・早期治療がその後の愛犬の生活を左右すると言っても過言ではありません。

アレルギーを疑った場合に観察しておくべきポイントは

  • いつから始まったのか
  • どのような症状か
  • 症状が出る前数週間の間に、何か変えたことはなかったか(食餌、おやつ、散歩コース、服、タオル、部屋など)
  • 症状は外の方がひどいか、家の中の方がひどいか

などです。この時、自己判断で食餌を再度変更したりショップで買えるサプリメントなどを与えると、病状を悪化させたり複雑にしてしまうこともあるので、自己判断で何かするのはできるだけやめておきましょう。

 

犬のアレルギーによくある症状

犬のアレルギーに代表的な症状は以下の通りです。

皮膚炎症状(皮膚のかゆみ・赤み)

犬に多い食物アレルギー・アトピーではどちらも皮膚炎の症状を引き起こします。特に、顔や耳・口回りなどの顔面、脇の下や内股、手足の先と肉球の間に痒みや赤みが出てくることが多いです。

また、接触性皮膚炎と言われるアレルギーでは、草が接触する四肢や鼻先、首輪や服が接触する首回りや胴回りに痒みが出ることもあります。

鼻炎(くしゃみ・鼻水)および結膜炎症状(目やに・涙)

環境アレルゲンである花粉やほこりなどが原因となるアレルギーでは、鼻や眼などの粘膜に炎症を起こし、鼻水・くしゃみなどの鼻炎症状、目やにや涙などの結膜炎症状が出ることもあります。

下痢

犬の食物アレルギーでは、下痢を引き起こすこともあります。下痢まで行かなくても軟便が多いという場合にも、実は食物アレルギーが根底にあるということもあります。

アレルギーの診断

アレルギーの診断で最も大切なのは、アレルギー以外の病気を除外しておくということです。アレルギーの検査で陽性(アレルギーがある)の結果が出たとしても、他の病気による症状であることも多いためです。

特にアレルギー性皮膚炎と同じような症状を起こす病気は多いため、皮膚の痒みがある場合は、しっかりした皮膚検査が必要になります。

犬のアレルギー検査は、動物アレルギー検査株式会社という検査機関が行っています。動物病院で採血してもらえば検査は可能ですが、その検査を取り扱っていない動物病院もありますし、採血できないタイミングもあるので、まずは動物病院に検査が可能か、いつ動物病院へ行ったらいいのかをしっかり確認しておきましょう。

2種類のアレルギー検査

アレルギー検査には2種類の項目があります。

①  アレルゲン特異的IgE検査

特定のアレルゲンに反応するIgE抗体と呼ばれるものが、体にどれくらいあるのかを調べる検査です。環境アレルゲン(コナヒョウダニ・ブタクサ・スギなど)と食物アレルゲン(牛肉・豚肉・トウモロコシ・サケ・ジャガイモ・米など)合計40の物質に対するアレルギー反応を、陰性・要注意・陽性の3段階に分けて調べてくれます。

② リンパ球反応検査

IgEが関与しないリンパ球が関与するアレルギー反応を検出する検査であり、食物アレルギーの半数以上はこちらの検査をしないと検出できないと言われています。よくドッグフードに含まれる「主要食物アレルゲン」9種類(牛肉・豚肉・小麦・トウモロコシなど)と、アレルギー食に多く含まれる「除去食アレルゲン」9種類(羊肉・アヒル・ナマズなど)に対するアレルギー反応を陰性・要注意・陽性の3段階に分けて調べます。

アレルギー検査の考え方

アレルギー検査は、どちらの検査の方が優れているというわけでなく、両方を行うことで見逃しが少なくなるため、検査をお願いするときは可能な限り2種類とも行ってもらいましょう。

アレルギー検査の結果は

  • 陰性:アレルギーを引き起こす可能性は極めて低い
  • 要注意:アレルギーを起こす可能性がある
  • 陽性:アレルギーを起こす可能性が高い

ということになります。アレルギー検査で陽性が出た場合は、まずはその物質を避けるような生活をしてみましょう。

犬のアレルギーの治療と治療期間


アレルギーは基本的にはその子の体質であり、完治させることは非常に難しいです。アレルギーの治療は「アレルゲンを避ける」と「アレルギー反応を抑える」の2種類になります。

1.アレルゲンを避ける

アレルギー検査でアレルゲンが分かったのであればそのアレルゲンを避ける生活をしましょう。

食物アレルギーの場合は、原材料に陽性(要注意)が含まれないフードやおやつを選ぶことが大切です。このとき注意してほしいのは「少量でもアレルゲンを食べてしまったら意味がない」ということです。おやつで少量与えるものの中にもアレルゲンが入っていないか確認して与えるようにしましょう。

環境アレルゲンの場合は、完全に避けることは難しいですが、以下のような方法を取ることができます。

  • 頻繁な掃除・換気・空気清浄機:ダニやカビ・ゴキブリなどへのアレルギー
  • 特定の季節の散歩の制限や散歩コースの変更:スギやブタクサなど花粉や植物に対するアレルギー

アレルギーを避ける生活をしてもすぐに効果が現れることはありません。最低でも2~4週間続けてもらう必要があります。それでも症状が改善しない場合は、アレルギー以外の原因がある、もしくは対策が万全ではない可能性があるので、もう一度動物病院で治療法を相談してみましょう。

2.アレルギー反応を抑える

アレルゲンが体の中に入ってきてしまうのを防げない場合は、アレルギー反応を抑える治療が必要になります。これは主に内服薬を使って行います。

最もよく使われる薬はステロイド剤になります。ステロイド剤の中でもプレドニゾロンと呼ばれる薬は日常的に使われます。即効性が強く、確実な効果があり、安価であるということが、プレドニゾロンのメリットです。ただし、長期に使うと副作用も多くなるため、プレドニゾロンは他の治療と併用して使うことがすすめられています。

他にはシクロスポリンやアザチオプリンなどの免疫抑制剤や、抗ヒスタミン剤や分子標的薬(オクラシチニブなど)を使うこともあります。これらの薬は長期的なアレルギー症状のコントロールとして使われることも多いです。

他にも、シャンプーやサプリメント(ω3脂肪酸など)、外用薬なども、アレルギーの治療として補助的に使うことが多いです。

犬のアレルギーをひどくしないための方法

アレルギーをひどくしないためには、普段から以下のようなことに気を付けるようにしてください。

1. おやつや人のご飯をむやみに与えない

基本的にどんな物質もアレルギーの原因「アレルゲン」になりえます。おやつや人のご飯にはたくさんの物質が含まれており、その中にアレルゲンが含まれている可能性があります。いろいろなものを与えると、アレルギーを起こす物質を体に入れてしまうリスクがあるので気を付けましょう。

2.安すぎるフードは与えない

安すぎるフードには、粗悪な原材料や過剰な食品添加物が含まれる可能性が高くなります。そのため、安価なフードを食べることでアレルギーが発症してしまうこともあります。異常に安売りしている外国産のフードなどには特に注意しておきましょう。

3.普段から犬の様子をチェック

アレルギーの症状は、初めは非常にわかりにくいです。そのため、普段から犬の様子をよく観察しておかないと早期発見できません。早期発見のメリットには、病気が進行する前に治療を始めることができるということだけでなく、アレルゲンの予想がしやすいということもあります。できるだけ愛犬の様子を観察しておきましょう。

4.お家は清潔に

ハウスダストやカビによるアレルギーは非常に多いです。これらに対するアレルギーをはじめはもっていなくても、繰り返し暴露されることでアレルギーを獲得してしまうことがあります。できるだけ環境を清潔に保っておくことも大切ですね。

まとめ

犬にはアレルギー疾患が非常に多く発生します。アレルギーは完治させられることは難しくても、近年、検査や治療法が確立され始め、うまく治療をすることでつらい症状を出さないように治療することは可能です。

そのためには、しっかりした検査と飼い主さんの治療への協力が欠かせません。愛犬がストレスなく生活できるよう、犬のアレルギーをしっかり理解して治療の役に立ててくださいね!