2017年6月16日更新

犬の皮膚病の原因や対策、種類や予防法【獣医師が解説】

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犬の皮膚の仕組み

皮膚は「表皮・真皮・皮下組織」の3層で構成されています。一番外は表皮でさらに4層に分かれています。

外から「角質層・顆粒層・有棘層・基底層」の順に層状構造になっています。新しい皮膚は基底層で作られ徐々に角質層まで押し上げられます。このように新しい皮膚が出来上がるサイクルをターンオーバーといいます。

犬の場合ターンオーバーは約28日ですが、ヒトの場合約21日です。表皮には血管や神経がありませんが、真皮層には血管も神経もあり汗腺や分泌線も存在します。

汗腺にはエクリン腺とアポクリン腺があり、エクリン腺はさらさらの汗を分泌し、アポクリン腺はべたべたした汗を分泌します。犬の体表にはアポクリン腺が多く、肉球にはエポクリン腺が多く存在します。一方ヒトの体表にはエクリン腺が多く存在し、アポクリン腺は脇などに多く存在します。

また、ヒトの皮膚のpHは弱酸性ですが、犬の場合は弱アルカリ性です。細菌が発育しやすいpHは7~8なので犬の皮膚は細菌増殖に最適なpHなのです。さらに犬の皮膚には毛が生えているので湿度が高くなりやすい特徴があります。また、犬の平熱は38度台ですが、一般的に細菌が発育しやすくなる温度です。つまり犬のほうがヒトよりも皮膚炎になりやすいといえます。

犬種別(タイプ)なりやすい皮膚病

柴犬

アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎

ポメラニアン

アロペシアX

秋田犬

脂腺炎

シーズー

脂漏症・マラセチア性皮膚炎・

ミニチュア・シュナウザー

シュナウザー面皰

フレンチブルドッグ

アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎
以上に挙げたのはほんの一例です。他にも多くの犬種で皮膚症状は起こります。

 

症状

皮膚に炎症が起こると様々な症状が起こります。
・発疹
・発赤
・膿疱(発疹の中心に膿を持ちます)
・痒み
・脱毛
・湿疹

皮膚病の種類

細菌性皮膚炎

細菌が表皮内に侵入することで炎症や痒みが起こり、膿皮症が代表的なものです。膿皮症は皮膚の常在菌であるブドウ球菌が原因になることが多く皮膚の抵抗力の低下や体調不良になるようなほかの疾患にかかっていることが原因になります。

真菌性皮膚炎

真菌感染によりおこる皮膚炎です。真菌にはマラセチアと糸状菌の2種類があります。マラセチアは皮膚の常在菌なので人に感染することはありませんが、糸状菌の中にはヒトに感染するものがありますので要注意です。

アレルギー性皮膚炎

食物や環境中のものに対してアレルギー反応をおこすことが原因になります。アレルギーの原因になるものを特定し、体内にできるだけ取り込まないようにすることが必要です。

アトピー性皮膚炎

1~3歳の間に発症することが多く、遺伝する傾向があります。環境中のものにアレルギー反応を起こし、眼・口・耳から痒みが始まり体側や四肢に痒みが起こることが多いです。治癒が困難で、痒みをコントロールしながら治療が生涯継続することがほとんどです。

外部寄生虫による皮膚病

ノミ、ダニ、毛包虫、疥癬などの外部寄生虫感染による皮膚病です。中でも、ノミと疥癬は痒みが強く、特に疥癬は人にも寄生しますので、早期発見が大切です。

内分泌性皮膚炎

甲状腺機能低下症や副腎皮質機能亢進症になると痒みのない両側対象脱毛や皮膚の色素沈着など独特の皮膚症状が起こります。

自己免疫性疾患

天疱瘡やエリテマトーデスは自己免疫性疾患です。体内で自分を攻撃する抗体ができていますので免疫抑制療法を行います。

皮膚病をひどくしないためにできること

皮膚病は様子を見ないことが大切です。特にかゆみが強い皮膚病は掻いたり、噛んだり、舐めたりすることでさらに悪化します。特に傷ができると傷口から細菌が侵入し二次感染を起こします。症状が軽いうちに投薬を開始すると早く治りますが、悪化すると二次感染などが加わり、始まった原因がわからなくなります。時間が経過すればするほど原因特定に時間がかかることもあります。症状が軽いうちに受診しましょう。

皮膚病の予防

皮膚病にしないためには、「良質のフードを食べる」「皮膚を清潔に保つ」「定期的にチェックし発疹・発赤・かゆみがあれば早めに受診」「ノミやダニの予防を必ずする」ことが重要です。皮膚の抵抗力をあげることが皮膚病予防の近道です。

皮膚病の早期発見のために飼い主さんが普段から気をつけること

・全身のチェックを定期的に行いましょう。毛を逆立てるようにチェックすると発疹やフケがわかりやすいです。
・定期的にトリミングに行きましょう。全身をくまなく見たり触ったりしますので、家では見逃してしまいがちな小さな変化に気づくケースもあります。

 
 

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