2017年7月7日更新

猫がフードを丸飲みする…消化に悪いからやめてほしい…は間違い。

NEKOCLIP



ペットシッター、愛玩動物飼養管理士2級

博物館に20年勤務していた古生物学系元学芸員。猫は絶滅してしまった化石猫から イエネコ、ライオンに至るまで全部大好き。猫飼い歴ン十年の猫おばちゃんです。 飼育のお悩みから進化学に至るまで、幅広い情報と猫の素晴らしさをわかりやすく お伝えしようと思います。理学修士、ペットシッター資格、愛玩動物飼養管理士2級。 ペット用品販売会社での勤務経験もあります。

 

フードを食べるとき、ほとんど噛まないで丸飲みして食べる猫っていませんか?そんな愛猫を見ると、消化が悪いんじゃ?と不安になったり、お行儀が悪いと思ってしまいます。でも、猫はもともと食べ物を丸飲みする動物で、多くの場合心配する必要はありません。

 

猫の歯には「咀嚼用」の歯がありません

私たち人間の歯には、臼状の四角い形の奥歯(臼歯)があります。臼歯には大臼歯と小臼歯があり、上顎・下顎にそれぞれ6本の大臼歯、4本の小臼歯、計20本の臼歯があります。この臼状の歯を上下ですり合わせる、つまり咀嚼することで食べ物を細かくしています。

一方、猫の歯にはもちろん臼歯はあるのですが、人と全く違って「臼状」の形をしていません。猫の臼歯は鋭い山型になっています。これらは咀嚼用ではなく、肉を切るハサミの役割をしています。そのため、猫は肉を噛みちぎったらあとは咀嚼せず丸飲みにする、という食べ方になるのです。ではどうして猫の歯はそのようなつくりなのかというと、猫は完全な肉食動物だからです。

猫は「完全」な肉食動物

肉食動物に完全も不完全もあるのか?と思われるかもしれません。例えばクマを見てみましょう。クマは分類学上は、猫と同じく食肉目という肉食動物に分類されます。でも実際は木の実や植物の芽など雑食もかなりしますし、とても大きな臼型の臼歯を持っています。犬も食肉目ではありますが、臼状の臼歯があって雑食もします。

しかし猫は臼状の臼歯を持たず、実際の食性も全く雑食をしない(猫草は食べ物として食べているわけではありません)完全な肉食動物なのです。

 

肉と植物、どっちが消化しやすい?


噛みちぎった肉片を咀嚼せずに丸飲みする。人間だったら消化不良を起こしそうですよね。だからこそ、猫がそんな食べ方をしていると飼い主さんは大丈夫かしらと思ってしまうのでしょう。

しかし、そのような私たちの印象とは違い、元々猫は胃で肉のタンパク質を消化する消化酵素を持っていますし、肉は植物と違って腸から栄養を吸収するのに時間がかかりません。一方植物は、硬い繊維質が多く含まれ、栄養価も低いため、消化して栄養を吸収するための特別な消化器官や消化方法が必要なのです。例えば、草食動物の腸は非常に長く、体の10倍以上もあります。

また、牛には4つも胃があり、しかも第1胃で消化途中の植物をもう一度口の中に吐き戻して(反芻)、植物の発酵を促します。馬には巨大な盲腸があり、その中の共生細菌で植物を発酵させます。などなど、植物食の動物たちは大変なのです。

つまり、消化吸収が大変な植物と違い、肉食に適応した猫が肉を丸飲みしても消化不良にはならないのです。

ただし、一気食いは少し問題があります。特にドライフードは一度にたくさん食べると胃の中で水分を含んで膨らんでしまい、猫は反射的に吐き戻してしまいます。
丸飲みは気にしなくてかまいませんが、一気食いをする猫には1回の量を何度かに分けて与えることをお勧めします。

猫も歯のケアが大事

猫も人間と同様、歯に歯垢がたまります。特に臼歯に歯垢がたまりやすく、放置すると歯石となって歯周病の要因になるため、猫もデンタルケアは欠かせません。

現在、猫の歯磨き用の硬めで粒の大きなドライフードや、おもちゃがありますが、前述のように猫はそもそも奥歯をあまり使わないので、100%効果があるわけではないようです。歯磨きフードやおもちゃが当たったその場所の歯垢は落ちますが、歯の根元や歯周ポケットの歯垢まで落とすことはできないのです。一番良いのは、やはり歯磨きでケアしてあげること。

歯磨きが難しいようでしたら、現在は歯磨きスプレーもありますので、そうしたものから少しずつ歯のケアを始めてはいかがでしょうか。

まとめ

猫にとって食べ物を丸飲みすることは、ごくふつうのことです。でもだからといって猫の歯が大事でないわけではありません。お口の病気は万病の元。愛猫の歯を健康に保つよう、飼い主さんが気を配ってあげてくださいね。