2017年7月5日更新

【獣医師が解説】犬の寿命はどれくらい?犬の寿命を長くするには?

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現在の犬の平均寿命は13~14歳と言われています。犬の寿命は一般的に大型犬では短く、小型犬では長いといわれます。

大型犬の場合、人に換算すると約100歳ぐらい、小型犬の場合は70歳くらいが平均寿命です。1990年代には犬の寿命は8~9歳と言われていましたので、そのころと比較しても寿命は格段に延びています。

獣医学の進歩、飼い主様の病気に対する意識の向上、ペットフードの普及などが寿命が延びた大きな要因です。

 

犬の最高齢

ギネスブックに記録されている世界最高齢の犬はオーストラリアン・キャトル・ドッグのブルーイー(1910年-1939年)です。

29年5ヶ月という長寿で、人に換算すると約140歳です。病気を患って亡くなったのではなく老衰が原因と言われています。オーストラリアン・キャトル・ドッグはオーストラリア原産の牧羊犬で、体重約15㎏、活気があり、従順で忠実な犬種です。平均寿命は12~13歳と平均的なので、ブルーイーの29歳5カ月という一生は驚異的です。

寿命の推移

犬猫の平均寿命の資料は少ないですが、日本獣医師会の発表の解説・報告によると1980年では犬の平均死亡年齢は3~4歳、1989年は10歳前後、1998年には14歳、その後は13~14歳で推移しています。

1980年代の死亡原因はフィラリア感染・回虫症・ジステンパー・レプトスピラなどの感染症や放し飼いによる交通事故、栄養失調が多くみられていました。その後、フィラリア予防・混合ワクチン接種の普及、放し飼いの減少、ドッグフードの普及などで感染症や交通事故、栄養失調が減少し死亡率が低くなり平均寿命が少しずつ伸びていきました。犬たちは時代の流れとともに番犬という立場から家族の一員という立場になってきました。

現在では、フィラリア予防やノミダニ駆除、ワクチン接種などの普及、去勢避妊手術、獣医療の進歩・改良、ペットフードの開発、飼い主様の意識の変化が要因になり寿命が延びてきたと考えることができます。

 

犬の寿命の決まり方

犬の寿命は体格の大きさや生活環境によって変わります。外で生活するか室内か、ワクチン接種の有無、フィラリア予防・ノミダニ予防の有無などで寿命は変化します。

大型犬や小型犬などの大きさによっての寿命

犬の平均寿命は13~14歳ですが、犬の体格によって異なります。一般的に大型犬は小型犬に比べて寿命が短いといわれています。小型犬は12~15歳、中型犬は11~15歳、大型犬は10~13歳といわれています。

体格が小さくなるほど寿命が伸びる傾向があります。体格が大きくなると体の隅々まで血液を送ったり、様々な物質を作ったり処理したりするために負担がかかります。そのため小型犬に比べ大型犬のほうが寿命が短くなるといわれています。

犬種によっての寿命(一例)

超大型犬

・グレートデーン: 8.5歳
・ジャーマン・シェパード: 11歳
・ロットワイラー: 10歳
・大型犬
・秋田犬: 11歳
・ゴールデン・レトリバー: 12歳
・ドーベルマン・ピンシャー: 13歳
・中型犬
・柴犬: 13.5歳
・ビーグル: 13歳
・ウェルシュ・コーギ-・ペンブローク: 13歳

小型犬

・プードル: 13歳
・マルチーズ: 14歳
・ダックスフント: 15.5歳

例外

キャバリア・キングチャールズ・スパニエル: 10歳 
心臓疾患になりやすいため小型~中型犬ですが寿命が平均寿命より短いです。

ブルドッグ: 8歳
呼吸器系の疾患になりやすく、暑さや寒さにも弱いのでほかの犬種に比べ寿命が短い犬種です。

性別による違い

性差は余りありませんが、避妊・去勢手術の有無は寿命に大きく影響する場合が多いです。例えば、避妊手術を行わなかった場合「乳腺腫瘍」や「子宮蓄膿症」の発生率は高くなります。

乳腺腫瘍については避妊手術を行う年齢も重要です。初回の発情が起こるまでに避妊手術を行うと乳腺腫瘍の発生は99.5%抑制できますが、30ヵ月齢以降に避妊手術を行っても効果はありません。子宮蓄膿症の抑制に関してはいつ避妊手術を行っても可能ですが、高齢になるにつれ手術のリスクは高くなります。

男性ホルモンに関係する病気では「精巣腫瘍」「前立腺疾患」「肛門周囲腺腫や肛門腺癌」などがあり、去勢手術をしていない高齢の犬の発生率が非常に高くなります。

寿命に関係すると言われていることを検証

健康に長生きするために体にとって負担になることは避けたいものです。気を付けていても体調不良は起きる可能性があります。寿命に影響する病気と寿命に大きな影響を与えない病気にはどのようなものがあるのでしょうか?

寿命にあまり影響しないとされている疾患

皮膚疾患

細菌性皮膚炎

皮膚の常在菌であるブドウ球菌などが皮膚の抵抗力の低下から皮膚内に侵入し炎症や痒みを起こすものです。皮膚の一部分に起こる場合や全身に広がる場合がありますが、薬浴や投薬治療などで治癒することが多く、内臓などに大きな影響が出ることはほぼありません。

真菌性皮膚炎

真菌には「マラセチア」と「糸状菌」があります。どちらも皮膚に常在しています。時には皮膚糸状菌症にかかっている犬や猫と接触することで一過性にもらうことはあっても、皮膚の抵抗力があれば感染し皮膚症状が出ることはほぼありません。

他の病気があったり、皮膚の抵抗力が落ちてしまった際に皮膚内に侵入され脱毛や発赤、二次的に細菌感染が起こると痒みをおこします。皮膚糸状菌に使用する内服薬には肝臓に影響を与えるものもありますが、長期間投与しなければ大きな影響を与えることはありません。

アレルギー、アトピー

アレルギー性皮膚炎やアトピー性皮膚炎の犬が増加していますが、この症状があっても直接寿命には大きな影響はありません。しかし、この治療に用いることの多いステロイドは長期にわたって投与すると肝臓などに影響が出る事があります。また、医原性クッシング症候群という病気を引き起こすこともありますので、ステロイドを長期にわたって投与する際には定期的に肝臓のチェックをする必要があります。また、免疫抑制剤を使用することもありますが、嘔吐などの消化器症状が出ることがある・歯肉の肥厚が起こるなどのケースもあります。このように病気自体で寿命が短くなることはありませんが、お薬の副反応というものには常に気を付け定期的な血液検査や健康診断をしていきましょう。

関節疾患

関節炎などの関節疾患

関節炎などは高齢になると発生しやすくなります。毎日動かし、体重がかかる場所なので年齢とともに傷んでくることは致し方がないと思います。痛みがひどくなると動きたくない、元気食欲がないなどの症状が現れますが、減量や痛み止めの処方などで解決する場合も多く、早めの受診で生活の質は大きく低下することはありません。

椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアはダックスやビーグル、ペキニーズなどでよくみられます。進行のスピードが速い場合は麻痺がおこり回復が望めず歩けなくなることがあります。
また、ヘルニアが起こる場所によっては排尿困難になる場合もあります。介護が必要になる場合、再発の恐れはありますが寿命にはあまり変化はないことが多いです。

眼の疾患

角膜潰瘍

悪化すると角膜が白濁し見えなくなる場合もありますが、食欲などの体調面には影響はほぼないとみてよいでしょう。

寿命に影響する可能性が高い疾患

感染症

マダニの感染

マダニの中にはバベシアを持っているものがいます。マダニに刺された際にこのバベシア原虫が体内に入ると赤血球に寄生し、赤血球の中で増殖しながら赤血球を破壊します。その結果重度の貧血が起こります。同時に発熱や肝酵素の上昇、黄疸などが起こり治療が遅れると亡くなることもあります。また、治療に使用する薬の中には小脳からの出血が起こるものもあります。一度バベシアが体内に入ると完全に体内から除去することが困難で、抵抗力が落ちると体内で増殖し再発します。マダニの予防薬を投与し刺されないようにする必要があります。

レプトスピラ症

混合ワクチンで予防することができる感染症です。レプトスピラは細菌でタヌキや野ネズミなどの野生動物が保菌することが多く、腎臓で増殖し尿とともに排泄されます。この細菌は河川敷や田畑の畦など土や水にかかわりのある場所にいる可能性が高く、犬の散歩中に感染することが多いです。ワクチンは7種以上のワクチンには含まれますが、6種以下では含まれないので何種のワクチンを接種しているのかを把握することをお勧めします。万が一レプトスピラに感染した場合は、高熱、食欲不振、嘔吐、ブドウ膜炎、黄疸などが主症状です。これは人畜共通感染症ですので、犬が感染した場合は尿から排泄され飼い主様に感染する可能性が高いので尿の処理には十分注意が必要です。犬がレプトスピラに感染した場合半数の犬が亡くなるといわれています。

腫瘍

腫瘍には良性と悪性があります。良性の場合は腫瘍がある部分だけの問題であることが多く、ほかの部位に転移することもあまりありません。しかし、悪性の場合は他に転移したり、同じ部分で再発したりする恐れもあります。全身状態が悪くなり貧血や白血球減少、悪液質で亡くなることもあり寿命に大きな影響を与えます。

外での飼育

外で飼育する場合、眼が行き届きにくく体調の変化に気づきにくく病気の発見が遅れるという点と、ノミやマダニなどの寄生虫や蚊に接触しやすいというデメリットがあります。また毛色の白い犬の場合日光に当たることで扁平上皮癌ができやすくなります。

運動不足

運動不足になると新陳代謝が落ち、肥満傾向になったり筋肉が減少します。血液循環が悪くなることから様々な病気の原因になります。

肥満

肥満は万病のもとと言いますが犬も同様です。心配なのは糖尿病や心疾患です。摂取カロリーが消費カロリーより多い事が肥満の原因です。犬の場合糖尿病の原因はインスリンの不足~枯渇です。また、肥満になると心臓に大きな負担がかかり心臓が悪くなります。肥満は体に大きな負担をかけますので寿命が短くなる原因になります。

犬のための良い習慣で寿命を伸ばそう

ではどのようにすると犬の寿命が長くなり、健康な毎日を送ることができるのでしょうか?

規則正しい生活

体内時計の狂いから体調不良が起こることがあります。起きる時間や寝る時間はほぼ決めることや、太陽の光を浴びることは体内時計をほぼ正確に保つために大切です。

食生活

おやつや人間の食事ばかり食べ、ドッグフードをほとんど食べない。このような生活を送っているとカロリーは満たされても、元気に生活するための栄養素が満たされず体調を崩したり、病気の原因になります。
犬に必要な栄養バランスと、ヒトに必要な栄養バランスは異なります。成犬・老犬になってから食生活を変更するのは大変です。子犬のころからおやつの与えすぎや、偏った食生活にならないように注意しましょう。

運動習慣

運動すると筋肉が動くため、血液循環が良くなるだけでなくリンパの流れもよくなります。また、新陳代謝もよくなるために老廃物が体内に溜まりにくくなります。ストレス発散にもなりますので、適度な運動を心がけましょう。
また、肥満になった犬のダイエットのために急に運動を行うと関節を傷めます。老犬や肥満の犬の場合は、少し長い距離をゆっくり歩きましょう。

ストレスをためさせない生活を心がける”

ストレスがたまると交感神経が活発になり血圧が高くなります。また、ストレスに対抗するために副腎皮質ホルモンがたくさん分泌されるために糖尿病のリスクが上がります。また、抵抗力が落ちてしまいますので、ストレスがたまると病気になりやすくなります。犬も適度に運動、適切なものを適切な量食べるなど環境を整えストレスが過度に溜まりすぎないように気を付けてあげましょう。

 
 

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