2017年7月12日更新

犬の生理はなぜ起こる?~発情周期や人との違い、注意点など【獣医師が解説】

ペット生活



編集部

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犬は生理のある動物です。犬では発情周期の一時期に陰部からの出血がありますが、犬の出血はヒトの生理出血とは違うメカニズムで起こります。

今回は、犬の生理出血について、発情周期や妊娠可能な時期、ヒトとの違いを解説し、生理中に気を付けることのアドバイスもさせていただきます。避妊手術をしていないメス犬の飼い主さんは、ぜひ参考にしてみてくださいね。

 

犬の生理の特徴

生後半年以降で初めての生理が来る

犬は、生後半年~1年くらいで性成熟(性的に大人になり、妊娠できる体になること)を迎えます。その時期に初めての生理が来ることが多いのですが、大型犬では生後1年以上たってから性成熟を迎え、生理も1歳以上になってから起こることも多いです。

犬の生理は年に2回

メス犬の発情は、基本的に年に2回(年に1回の犬もいます)ですので、生理出血も年に2回あります。発情がスタートすると生理出血が出始め、出血は大体1~2週間程度続きます。生理の出血量や長さには個体差が大きく、ほとんど出血がわからない犬から、1か月近く出血がある子まで様々です。

犬には閉経がない

犬ではヒトと違い閉経がないと言われていますので、高齢になっても生理は続きます。ただし、徐々に出血量が減ったり生理の間隔が伸びるため、年齢とともに生理がわかりずらくなることが多いです。

犬と人の生理の違い


犬はヒトと同じく生理出血がある動物ですが、犬とヒトの出血では、そのメカニズムが大きく変わります。

出血の部位の違い

人では、妊娠に備えて分厚くなった子宮内膜が、妊娠していない場合に剥がれ落ちることで生理出血が起こります。

一方、犬では卵胞が成長し発情ホルモンを放出することで、外陰部の粘膜が充血して血液が染み出てきます。犬の生理出血が起こる部位は、膣や外陰部になります。

生理周期における出血のタイミングの違い

ヒトでは、排卵が起きてしばらくの間、受精・着床が起こらなければ生理出血が起こります。大体排卵後2週間程度で生理出血が起こると言われています。

一方、犬の生理出血は排卵前に起こります。生理出血がほとんどなくなると、発情期という妊娠可能な時期に入ります。

 

犬の発情サイクル


犬の発情は発情前期・発情期・発情後期(発情休止期)と非発情期に分かれます。

発情前期

発情前期は約14日と言われています。この時期には卵胞が発達し、発情ホルモン(エストロゲン)の分泌が盛んになってきます。外陰部が発達し大きく分厚くなるとともに、出血が始まります。これがいわゆる「生理」です。

出血が多い子の場合は、マナーパンツやおむつなどを履かせることで家の中が出血で汚れるのを防ぐことができます。詳しくは、「犬の生理への対処方法」の章を参考にしてみてください。

発情期

出血が徐々に少なくなってくると、犬は発情期を迎えます。この時期は、犬は交尾を許容する時期であり、妊娠可能な期間でもあります。発情期は7日~10日あります。同居に未去勢のオス犬がいる場合、妊娠を防ぐためにはオムツなどを履かせておく必要がります。

発情後期(発情休止期)

発情期が終わると、発情後期(休止期)が約2か月あります。この時期は妊娠期間と同じ長さであり、妊娠していなくても、犬の体の中では妊娠したのと同じような変化が起こります。

そのため、犬では「偽妊娠」が多く妊娠していなくても乳腺が発達し、お乳が出ることもあります。また、この時期にホルモンバランスを崩して食欲や元気をなくす子もいます。発情後に偽妊娠が強く出たり、調子を崩したりする子では、ホルモンが過剰に出ている可能性がありますので、できるだけ避妊手術をしてもらった方がいいでしょう。

さらには、子宮に膿が溜まる危険な病気「子宮蓄膿症」も、この時期に起こる可能性があります。

  • 生理が異常に長い
  • 一度整理が終わったはずなのに、またすぐに出血が始まった。
  • いつもの生理の出血よりもにおいや見た目が違う
  • 尿量や飲水量が多くなる

発情後期にこういった症状がある場合は、子宮蓄膿症の可能性があるので、すぐにでも動物病院で診てもらうようにしましょう。

無発情期(非発情期)

発情後期が終わると、無発情期が約3~4か月続きます。この時期は卵巣が活動を停止している時期に当たります。避妊手術をする場合には、卵巣や子宮の血管の発達が弱く、出血のリスクの少ない無発情期に行うことがすすめられています。

このように発情前期~無発情期までを、約6カ月のサイクルで繰り返します。そのため、犬の生理出血は年に2回あるんですね。

犬の生理への対処方法

犬の生理出血の量や期間はその子によって大きな幅がありますが、出血の多い子ではお家の中に出血がかなりたくさんついてしまいます。室内犬が多くなり、生理出血用のオムツやマナーパンツも多く販売されています。

オムツやマナーパンツにはサイズがありますので、商品に書かれている体重や犬種でのサイズ分類を参考にしてオムツやマナーパンツを買うようにしてください。ヒトの赤ちゃん用のオムツにしっぽの穴をあけて犬用オムツを作ることもできますので、サイズの合うお子さん用のオムツがお家にある場合は一度試してみてくださいね。

生理出血による血液は栄養分が豊富ですので、オムツをつけっぱなしにするそこに細菌が繁殖してしまいます。出血が多い時は1日2回は変えてあげるようにしましょう。オムツやマナーバンドは排尿や排便も一緒に吸ってしまいます。お家の中で排尿や排便をする子では、そのたびに交換してくださいね。

外出をする際の注意点


発情中は、オス犬をひきつけるフェロモンを出していることが多いです。そのため、他のオス犬が興奮して近づいてくることが多いので、お散歩中は注意してください。突発的な事故を防ぐため、犬が多い場所を散歩する場合は、排尿や排便時以外にはマナーパンツをつけておいた方が無難かもしれません。

また、発情出血中や出血が終わって2週間程度はドッグランには極力行かないことをおすすめします。マナーパンツをつけていても他のオスが寄ってきて交尾をしようとします。思わぬ事故を防ぐためにもドッグランは極力控えておいてください。

まとめ

犬の生理は人と違うメカニズムで起こります。犬の発情周期や出血のメカニズムを知っておくことは、妊娠させることを考えている場合はもちろん、出血に対する家出の対処法や病気の早期発見にも役立ちます。この記事を参考に、愛犬の生理出血やその前後の様子をしっかり観察して、適切な対処をしてあげてくださいね。