2017年7月11日更新

犬の血便~血便の確認から対処・予防方法まで【獣医師が解説】

後藤大介



獣医師

 

愛犬が血便をした時にどうしたらいいか、ご存知ですか?実は、犬はヒトに比べ血便を比較的起こしやすい動物で「血便をしたからかなり怖い病気だ!」ということはないんです。ただし、血便の中には怖い病気や緊急性のある病気もあります。今回は、血便の原因と血便をした時にどうしたらいいのか、一緒に考えてみましょう。

 

愛犬の血便に気付いたら

愛犬が血便をしているかも――そう気づいた時にまず行うことは以下の通りです。

血便の確認方法:オキシドールを便に垂らす

見た目に便が赤い場合、下痢や軟便もあれば血便である可能性は非常に高くなります。ただし、いい便をしているのに便が赤い場合には、血便なのかフードの成分による着色なのか悩むときがあります。そんな時に使えるのがオキシドールです。

オキシドール(過酸化水素)は血液に含まれる「カタラーゼ」という酵素に反応して白い泡を出すという性質があります。そのため、赤い便が出たり、便に赤いものが付いていた場合には、オキシドールを便にかけることで血便なのかどうかをある程度判別することができます。

もし、オキシドールを垂らして白い泡が出る場合、便に血液成分が混ざっている可能性が高く、血便である可能性を示唆します。ただし、カタラーゼは血液以外にも含まれるため、血便以外でも泡が出る反応が起こる可能性があります。

一方で、オキシドールを垂らしても何の反応がなければ、便に出てきた食事中の成分が赤く見えているだけの可能性が高いでしょう。

動物病院へ連れていく


血便があれば何かしらの異常があることは間違いないです。そのため、早めに動物病院で診てもらいましょう。動物病院へ行く場合には以下の注意点を守ってもらうと診察がスムーズにいきます。

便を持っていく

血便と言ってもいろいろな種類があります。便そのものがあるとその見た目からの推測も可能ですし、必要があれば検便もできます。ペットシーツやティッシュごとでかまいませんので、それらをビニール袋に入れて一緒に持って行ってください。

犬の情報を整理

血便の原因を診断していく上で、犬の基本情報や最近の状態は非常に重要です。普段お世話をしていて犬の情報をしっかり知っている人が病院へ連れていく場合はいいですが、あまり知らない人が動物病院へ連れて行く場合は、動物の情報を確認しておくことが重要です。以下のような点をわかる限り確認しておいてください。

  • 年齢や避妊/去勢手術の有無・既往歴などの動物の基本情報
  • ワクチン歴
  • 同居動物の状態
  • 食事の変更の有無
  • ここ数日のストレス(環境の変化など)の有無
  • 嘔吐や食欲不振など他の症状の有無

これらの情報は、血便の原因を推測するために重要ですし、わからない場合には余分な検査が必要になることもあります。できる限り動物の情報を整理して、動物病院へ連れて行きましょう。

家の中で無くなっているものがないかチェック

血便の原因として、異物の誤食や中毒、ごみあさりなどがあります。家の中で無くなっているものがないか、ごみをあさっていないかなどをチェックしてみましょう。もし何か心当たりがあれば、動物病院で伝えてください。

いつもと違うものを与えていないか家族に聞く

血便の原因には、食餌アレルギーや消化不良などもあります。そのため、家族がいつもと違うものを与えていないかどうかの情報も大切です。知らないところで与えて閉まっていることもあるので、しっかり家族に確認しましょう。また、散歩中の拾い食いの可能性についても確認しておきましょう。

同居動物の状態をチェック

ウイルスや細菌、寄生虫などの伝染病も血便の原因となります。同居動物がいる場合には、同居動物も感染している可能性があるので、同居の子の便の状態もチェックしましょう。

便になぜ血が混じる?~血便が出るメカニズム

血便は、胃・小腸・大腸のどこかからの出血によって起こります。口の中や食道の出血による血便もありますが、あまり多くはありません。

胃や小腸からの出血は黒色便

胃や小腸など比較的上部の消化管からの出血による血便は、黒っぽい色をした「黒色便」として出てきます。血液に含まれる成分が腸内細菌や消化酵素によって黒く変性を起こす結果、黒っぽい色になると言われています。

赤い鮮血便は大腸や肛門から

一方、大腸からの出血では赤い血便として見られることになります。大腸は肛門の近くですので、血液が変性をせずにそのまま赤い状態で出てきやすいです。ですので、実際に飼い主さんが気付く赤い便は、大腸の出血から起きると思ってもらっていいでしょう。大腸の出血では、粘液が混じる粘血便という形でも多く認められます。また、肛門嚢からの出血でも便に血が付くことがあります。

血便の原因となる病気

黒色便にしても赤い血便にしても、原因は胃腸の出血ですので、出血させるような原因があれば血便は起こります。主な血便の原因は以下の通りです。

  • 感染:細菌性、ウイルス性、寄生虫性、ストレス性
  • 炎症:アレルギー性、周囲の臓器の炎症の波及(すい臓、子宮、前立腺など)、肛門嚢炎
  • 腫瘍
  • 胃腸内異物
  • 腸重積
  • 全身の出血傾向など
 

血便をした時にチェックするべきの犬の様子


犬が血便をした場合には、愛犬の以下のような様子に注意してください。

お尻が変じゃないか

犬の肛門嚢炎や肛門嚢の破裂でも血便が出ます。肛門の左右の皮膚が盛り上がったり、そこから出血している場合は肛門嚢の破裂の可能性があります。

腹痛がないか

血便とともに腹痛がある場合は、重度の胃腸炎や膵炎、胃腸内異物、腸重積など比較的緊急性と重症度の高い病気の可能性が高まります。

  • お腹を触るのを嫌がる
  • キュンキュン鳴いて、不安そうなそぶりをする
  • 祈りのポーズ(前足を伸ばしてお尻を突きあげる「伸び」の姿勢を長時間続ける)をとる

これらのサインがある場合は、腹痛がある可能性があり、できるだけ早めに動物病院で診てもらう必要があります。

自己判断で様子を見ない

犬は血便をしやすい動物ですが、血便は様子を見てもいいということではありません。

膵炎や急性の前立腺炎、食中毒、パルボウイルスなど犬の血便には急変して生死にかかわる病気も多いです。特に腹痛の有無や元気食欲の有無は重要で、これらの異常がある場合は、様子を見る余裕はありません。他にも胃腸内異物なども比較的経過が早いですので、様子を見ていると、見る間に状態が悪化してしまうことがあります。

自己判断で、「これくらいなら大丈夫だろう」と様子を見ていると、一気に状態が悪化してしまう可能性もあります。しっかり動物病院で診てもらいましょう。

血便の時に気を付けること

動物病院での診察を受けたら、基本的にはその獣医師にどういった生活(特に食生活)を送ったらいいのかを聞いてもらうのが一番ですが、一般的には、血便の時には以下のようなことに注意してください。

いつもと違うもの・消化の悪い物は与えない

血便が出ているときは、たとえ薬などを飲んでいてもいつもと違うものや消化に悪い物は与えないようにしましょう。極力普段のドッグフードを与えるようにしましょう。

フードはできれば少量頻回で

フードは少量頻回で与えるほど消化には良くなります。1回量を減らして、与える回数を増やしてみましょう。

必要があれば消化系のフードを

血便が続く場合は、一度フードを変更することを動物病院で相談してみましょう。消化に優しいフードや食物繊維の多いフードを食べることで、血便の改善につながることがあります。

血便を予防しよう

では、最後に血便になりにくくするためにできることを考えてみましょう。

寄生虫対策やワクチンをしっかり

血便の原因の中でも感染症は予防ができるものになります。特に血便を起こす感染症として知られているのが、寄生虫とウイルスになります。多くの寄生虫やウイルスは、年に1度のワクチンや、薬で予防できます。フィラリア予防薬にはお腹の虫の予防もできる薬もありますので、そういった薬を飲ませるのもいいですね。

おやつや人のご飯に注意

犬の血便の原因には、アレルギーや消化不良も多いです。いつものフードを食べていればいいが、変わったおやつや消化に悪い物を食べさせると血便が出やすくなります。血便をしやすい子ではおやつや人のご飯を与えないように気を付けてください。

ストレスにも注意

血便の原因として、ストレス性のものも非常に多いです。できるだけストレスの少ない生活を心がけるとともに、留守番などのトレーニングをして、一人の時間が長くてもストレスを感じさせないようにしてあげましょう。

サプリで胃腸環境を改善

頻繁に血便を起こす場合は、腸内環境が悪化していることが多いです。そのため、血便の改善や予防のために、整腸剤のサプリメントを使うのも有効な手段です。ペットショップや動物病院で手に入りますので、ビフィズス菌や乳酸菌などのサプリメントを普段からフードに混ぜておくのもいいでしょう。

まとめ


犬は比較的血便を起こしやすい動物ですが、血便には一時的なストレスによるものから、重度の胃腸炎や腸重積など危険な病気まで、さまざまな原因があります。血便が見られた場合には、自己判断で大丈夫と思わず、可能な限り動物病院で診てもらいましょう。また、愛犬のより良い健康管理のために、血便の原因や対処法、予防法など、この記事を参考にしてみてくださいね!