2017年7月9日更新

犬はなぜ食糞してしまうのか?やめさせる方法は?【獣医師が解説】

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うんちの匂いを嗅いでいると思ったら食べてしまった。。。飼い主としては本当に衝撃です。しかし、便を食べる犬は多く「隠したい」「食べ物と間違えた」「興味を引くため」など様々な事情があるようです。食糞防止スプレーも効果がなく、何をやっても治らない。このような悩みを持っている方はたくさんいらっしゃいます。なぜ便を食べてしまうのでしょうか?どうしていけばよいのでしょうか?

 

犬はなぜ食糞をするのか?


便を食べてしまうことは動物にとって普通に起こることなのでしょうか?それとも異常なことなのでしょうか?

動物が自分の糞、あるいは他の動物の糞を食べることを「食糞」といい、ウサギやチンパンジーなどが糞を食べる代表的な動物です。このような動物が糞を食べるのは、糞の中の未消化な栄養素を摂取するためです。ほかにもカバ・ゾウ・コアラの赤ちゃんは親の糞を食べ必要な腸内細菌を取り込んでいるといわれています。

また、子犬は離乳期近くまで自力で排尿・排便できず母犬が陰部を舐め刺激することで排泄を促します。さらに排泄物は母犬が舐め取り身の回りが不潔にならないようにしています。もともと動物は寝床の近くに排泄しません。排泄物があったり、食べ物がそばにあると自らの生活拠点を周りに知らせることになり敵に気づかれてしまうため、排泄物は拠点からかなり離れたところまで行きますし、食べ物は穴を掘って隠します。食糞は栄養素を得るために行ったり、母犬の習性を真似ているともいえます。

年齢別で起きやすい食糞の原因

幼犬の場合は…

隠そうとしてる

トイレの場所が覚えられない、トイレの場所が変わったことで混乱を生じてしまった、散歩中に排泄するようになり室内で排泄するときに混乱しているなどでトイレの場所が認識しにくくなった時にトイレの失敗が起こります。失敗したときに叱られると叱られたくないために隠すようになります。便を食べたことを叱るときには現行犯でなければ何について怒られたのかが理解できません。くどくど犬に向かってお説教しても「怒られている」ということは理解できても、「何について怒られているのか」の理解は難しいといわれています。

寄生虫

消化管内に寄生虫がいる場合食糞することがあります。消化管内寄生虫は犬が食べたものの栄養素を横取りするように吸収します。少数寄生の場合はひどい栄養不足になることはありませんが、子犬で多数寄生した場合は栄養素を吸収されてしまい栄養不足から飢餓状態になり食糞が起こることがあります。

便から食べ物の匂いがする

特に子犬はなんでも興味を持ちます。人は便は触ったり食べるものではないというしっかりした認識がありますが、この認識が当てはまらない動物もいます。未消化物の多い便は新しい食べ物かもしれないと勘違いし興味から口にすることも考えられます。また、未消化な便が続くと体に必要な栄養分が不足していきますのでウサギの食糞のように栄養素を取りこむために食べてしまうことも考えられます。

成犬の場合は…

飼い主さんに構われたい

飼い主さんへの依存の度合が強い場合に便を食べることで興味を持たせようとすることがあります。「便を食べる→飼い主さんがやめさせようと騒ぎ近寄ってくる」のようなことを何回か繰り返すと、「便を食べるとこっちに来てくれる」と犬は解釈します。飼い主さんは違う目的で犬に近寄りますが、犬にとって「便を食べること=呼び鈴を押すこと」のようになっています。
このようにならないためには便を食べても騒がない。便があれば黙って片付ける。「便を食べても興味がない」というように飼い主さんがふるまっていくことが大切です。

老犬の場合は…

認知症でわからなくなってしまう

老犬になると鼻や眼が悪くなり見分けやかぎ分けが苦手になります。子犬のころほど食糞はしませんが、未消化便の場合、間違えて食べてしまうことは起こりえます。犬は視覚よりも嗅覚に頼って生活していますので、今まで迷わずにドッグフードを食べていたのに探す様になったら嗅覚が衰えている証拠です。お湯をかけ香りが強く出る様にしたり、少し缶詰を混ぜるなど分かりやすくしてあげましょう。

全年齢で考えられる原因

ドッグフードの量が足りない

ドッグフードの量が不足するときには空腹感から便を食べてしまうこともあります。食欲旺盛なのに痩せている、便の量や回数が多いなどの場合は栄養素が十分吸収できていないことが考えられます。ドッグフードの種類を変える、高カロリーのものを選ぶ、体重に見合った量なのかを再確認するなどカロリーや量が足りているかを確認しましょう。

 

食糞で起こりうる問題

犬はもともと食糞を行う傾向のある動物なので頻繁に食べなければ大きな健康被害はありません。しかし便は食べたものの残渣が含まれるだけでなく、腸壁を構成する細胞の内、寿命が来て剥がれ落ちたもの、老廃物や体にとって有害になるものが含まれています。日常的に食べると本来ならば体外に捨てなければならないものがまた体内に入ってしまいますので、悪影響が出ることが懸念されます。また、万が一寄生虫がいる場合は再感染を繰り返してしまうことも考えられますので食べさせないほうが良いでしょう。

食糞しやすい環境

食糞しやすい環境としては、以下のような場合が考えられます。

留守番が多く、時間を持て余す

留守番が多いと時間を持て余してしまいます。さらにサークル内でお留守番になるとサークル内のもので時間つぶしをしますのでお皿をかじったり、ペットシーツやベッドをかじったりといういたずらが多くなります。いたずらや退屈しのぎの一環として便をかじったりなめたりするケースもあります。

現在はお仕事をしている方が多く、犬が留守番をすることを避けることはできないですが、便をしていることを大いに褒め、「便があると飼い主さんが喜ぶ」という風に犬に学習させていくことも有効かもしれません。

便をすぐに片づけられない

犬が便をするところをじっと見はるわけにはいきません。しかし、犬の排便のタイミングは「食事後、遊んだ後」などある程度の共通点があります。
食事後に排便をすることが多ければ、少し気を配り、排便したら黙って片付けましょう。

文句を言いながら便を片付ける

まさに食べようとしているタイミングで「ダメダメ~」など大きな声や、大きな動作で犬に近寄っていませんか?このことを繰り返すと便を食べると飼い主さんが来るというように解釈してしまいます。自分に興味を持たせる、飼い主さんにアピールする手段として食糞をするようになります。

排泄の失敗を叱りすぎる

トイレトレーニングの最中にトイレを間違える、腹痛のためトイレに間に合わなかったなどの理由で排泄の失敗をすることがあります。このような時に血相を変えて叱ると失敗を叱られたのではなく排泄することを叱られたと勘違いしてしまうことがあります。その結果便をなくしたい、隠したいという思いから食べてしまうことがあります。

食事の回数や量が少なく空腹を感じる時間が長い

食事回数が1日1回の場合や、食事の量が体格に見合っていない場合、空腹のあまり食糞するケースがあります。食事回数を増やしたり、食事量を見直すことで解決できるかもしれません。

食糞をやめさせる方法

フードの変更

フードの味やにおい・成分は、便の匂いに深く関係します。臭いの強い便、消化不良気味の便をする場合は消化の良いフードやメーカーを変更することで食糞しなくなることもあります。

サプリメント

食糞防止サプリメントには、錠剤のものやスプレーのものなど様々なものがあります。臭いを消すタイプや嫌な味になるタイプなど様々です。毎日のフードに混ぜたり、スプレーを吹き付けて使用します。

特定の食物を食べる

特定のものを食べると便の性状やにおいが一定になります。違うドッグフードやおやつを食べると便の性状やにおいが変わり、犬が興味を持つようになります。同じドッグフードを同じ量あげることで、ほぼ同じくらいの時間に同じ量の便をするようになりますので、犬が興味を持たなくなります。

生活習慣を変える

退屈な毎日から暇つぶしやいたずらのために食糞をしていることが考えられるときには、短い時間でも思い切り遊んだり、お散歩の時間を少し長くしたりすることで興味の方向性を変えることができます。

そのほかにも壁しか見えない場所から外の景色が見える場所に変更するなど、ほかに興味が行くように仕向けることも一つの方法です。

駆虫薬を飲ませる

特に子犬の食糞の場合には、駆虫することで食糞しなくなることもあります。糞便検査を行い寄生虫の虫卵が見つかればその寄生虫に効果のある駆虫薬を投与します。もしも検査を行っても虫卵が見つからなかった場合でも体内に寄生虫がいないということにはなりません。

糞便検査は消化管内に寄生虫の虫卵があるかないかはわかりますが、寄生虫が筋肉や脂肪内に潜んでいるかどうかはわかりません。回虫は母犬の80%が持っているといわれます。胎盤や乳汁を経由して子犬に感染しますので、回虫の駆虫は行ったほうが良いでしょう。

散歩のタイミングを変える

基本的に犬たちは自分の生活圏内に排泄することを嫌がります。散歩中に排泄する習慣ができれば室内などで排泄することはなくなることが多いです。しっかり歩くと腸が動き排泄を促します。犬の排泄のタイミングを把握し、その時間に合わせて散歩に連れ出し屋外で排泄する習慣をつけるのもよいでしょう。

褒める

便を食べようとして食べなかったら褒めることを繰り返し学習させていきます。食べれば叱るのではなく時間を決めて相手をしないというようにしてください。
犬は褒められることやかわいがられるほうが学習効果が上がるといわれています。叱る場合はタイミングが大切で、やっている最中でないと理解してくれません。

 
 

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