愛犬の尿が赤い!原因となる病気と血尿が出たときの対応とは?【獣医師が解説】

尿に血が混じる―――そんな犬の血尿はそれほど珍しい症状ではなく、愛犬の血尿を経験したことのある飼い主さんは少なくないと思います。

犬の血尿にはさまざまな原因があり、軽い膀胱炎から命の危険のある怖い病気までさまざまな原因があります。

今回は犬の飼い主さんにぜひ知っておいて欲しい血尿について解説いたします。

血尿の原因から早期の発見方法まで詳しく解説いたしますので、ぜひ参考にしてみて下さいね!

血尿とは

血尿とは、「血が混じった尿」をさす言葉です。そのため、真っ赤な血のような尿も血尿であり、尿の最後にわずかにピンク色の血が混じるのも血尿となります。また、尿の色が赤茶色~褐色になるような血尿もあります。

さらには、見た目は薄黄色の正常な尿でも、少量の出血が検査で初めてわかる「顕微鏡的血尿」もあります。

また、赤血球が壊れて出てくるヘモグロビンが尿に混じる血色素尿というものもり、血色素尿も出血による血尿と同じく尿が赤くなるので、血色素尿と血尿は見た目で区別をすることはできません。

血尿になりやすいタイプの犬

特に血尿に注意が必要なのは、以下のような犬です。

高齢の未去勢オス

去勢手術をしていない高齢のオス犬では前立腺肥大が多く発生します。

8歳以上の未去勢オスのほとんどでは、軽度なものを含めるとほぼ100%の犬が前立腺肥大を起こしているとも言われています。

前立腺肥大の犬では、血便や便秘などの消化器症状を起こすこともありますが、血尿や尿の切れが悪いという泌尿器症状が出ることもあります。

そのため、未去勢の高齢のオス犬では血尿を含めた尿の異常に注意が必要です。

ストレスのかかりやすい犬(神経質な犬)

犬にはストレス性の血尿(膀胱炎)が多く発生します。

ストレスのかかりやすい神経質な犬では、飼い主さんが旅行に行ったり、環境が変わるなどのストレスがあっただけで血尿を起こすことも珍しくありません。

人のご飯をよく食べる犬

膀胱結石は血尿の一般的な原因の一つです。

膀胱結石は、膀胱内のミネラル成分が固まってできるため、ヒトのご飯やおやつなどを多く食べてミネラルのバランスを崩すと、膀胱結石のリスクが高くなり血尿が出やすくなります。

血尿を起こさないために飼い主さんができること

血尿が出やすい犬では、まずは血尿の原因に何かの病気がないかを調べてもらって必要があれば治療してもらうことが大切ですが、お家できる血尿対策は以下の通りです。

飲水量を増やす

飲水量が減ると、尿が濃くなり結石ができやすくなったり、膀胱の洗い流し作用が弱まって膀胱炎が起こりやすくなります。

できるだけ飲水量を増やすため、飲み水の場所を複数カ所に置いて置いたり、ウェットフードを使うなどの工夫をするといいでしょう。

ストレスをかけない

ストレスで血尿が出やすい犬では、ストレスの少ない生活を心がけてもらうことも大切です。

栄養バランスに注意

人のご飯やおやつなどをたくさん与えてミネラルのバランスが崩れると、結石ができて血尿が出やすくなります。

特に結石ができやすい犬では、フード以外に与えるものには注意が必要です。

愛犬の血尿を見つけたときの対応

愛犬が血尿をしたのを発見した場合には、以下のような対応をしましょう。

真っ赤な血尿はすぐに動物病院へ

血尿にも程度がありますが、真っ赤な血尿が出る場合には緊急性が高い病気である可能性があります。

真っ赤な血尿は、溶血性貧血や出血傾向など命にかかわる病気である可能性もあるため、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。

尿に血が混じる程度の場合も早めに動物病院を受診

血尿は基本的に病的な症状です。元気や食欲があって、血尿が一時的に収まっても、膀胱結石や膀胱腫瘍など治療が必要になる病気は多いです。

一過性で自然治癒することもありますが、病気によっては再発や進行をしてしまうこともありますので、その原因を探るためにも早めに動物病院を受診しましょう。

自宅での尿の採取法

動物病院を受診する場合には、可能であれば尿を取って病院へ持参してもらうといいでしょう。

犬が尿をしている間に、陰部と地面(床)の間に使い捨ての皿や紙コップを入れてもらうとうまく尿を取ることができます。

ペットシーツにした尿は詳しい検査には向いていませんが、尿を絞り出すことができればある程度の尿検査は可能です。

血尿の原因とその治療方法

血尿の原因とその治療法は以下の通りです。

膀胱炎

犬の血尿の最も一般的な原因は膀胱炎であり、犬には細菌性膀胱炎や特発性膀胱炎などが多く見られます。

膀胱炎の治療方法は、抗生物質や消炎剤、止血剤などの注射、点滴、内服薬などになります。通常、単純な膀胱炎であれば数日~数週間で血尿が良くなることが多いです。

薬で血尿が良くならない場合には、膀胱炎の陰に他の原因が隠れていることがありますので、より詳しい検査が必要になってきます。

膀胱結石

犬には膀胱結石もよく発生し、膀胱結石は粘膜を傷つけて血尿を起こすことが多いです。

膀胱結石の治療は結石の種類によって違い、食餌による溶解療法や手術による結石摘出などが適応になります。

膀胱結石は膀胱炎を併発することも多いため、膀胱炎の治療も同時に行うことが一般的です。

食餌療法を行う場合には、数カ月かかっても石が溶けなければ手術が必要になることが多いです。

膀胱腫瘍

高齢の犬の血尿の場合には、移行上皮がんと呼ばれる膀胱腫瘍が原因となることも少なくありません。

膀胱腫瘍が原因の血尿は、手術や抗がん剤、放射線など腫瘍に対する治療が必要になってきます。

腫瘍のできた部位や進行状況によっては、治療が非常に難しくなることもあります。

前立腺肥大

高齢の未去勢オスでは、前立腺肥大が血尿の原因となることがあります。

止血剤や消炎剤などの投薬治療で治まることもありますが、前立腺肥大による血尿の根本的な治療には、去勢手術が有効となります。

また、前立腺炎や前立腺がんなどの前立腺の病気も血尿の原因となることがあり、その場合には薬や手術などが必要になってきます。

溶血性貧血

溶血性貧血は、血色素尿の原因となる病気です。

溶血性貧血には、免疫の病気である自己免疫性溶血性貧血、玉ねぎ中毒などの中毒、バベシア症などの感染症などが原因としてあげられます。

通常、溶血性貧血の治療は、免疫抑制剤や抗原虫薬の注射や点滴が必要となり、重度の溶血性貧血があれば輸血が必要になります。

玉ねぎ中毒は解毒剤がないため、基本的には点滴をして毒素を体内から排泄する治療となります。

治療がうまくいけば数日で尿の赤みが無くなってきますが、自己免疫性溶血性貧血やバベシア症は治療していても数日で命を落とすこともある怖い病気です。

血尿の早期発見方法

では、血尿にできるだけ早く気付くために、どのような点に注意したらいいでしょうか?

尿の回数に注意

膀胱炎など膀胱に原因のある血尿の多くでは、頻尿の症状が出るケースが多いです。

そのため、尿の間隔が短くなっていないか、尿の一回量が少なくなっていないかなどに注意するといいでしょう。

頻尿の症状があれば血尿の可能性も高いですので、尿の色に注意して見てください。

白いペットシーツの使用

ペットシーツの色には何種類かありますが、白いペットシーツは血尿を発見するためには便利です。

また、外で尿をする犬でも、尿をした時にその下にペットシーツを入れることで尿の色を確認することができます。

特に、尿の最後に血が混じることが多いため、最後の方の尿をペットシーツで受けると血尿が分かりやすくなります。

陰部をティッシュで拭いてみる

尿の色をなかなか確認できない場合には、陰部を白いティッシュで拭いてみることで、血尿の確認ができることがあります。

オスではペニスの先、メスでは陰部の先の毛に尿が付いていることが多いので、尿をした後に少しの毛をぬぐってみましょう。

血尿がない場合には、薄い黄色~無色にティッシュが濡れますが、血尿があると薄ピンク~赤色にティッシュが変色します。

まとめ

以上のように、犬の血尿にはさまざまな原因があり、治療法やその危険性も病気ごとに大きく異なります。

ただし、犬の血尿は何かしら体に異常があるというサインであり、早めに病院で診てもらった方がいい症状の一つです。

尿検査は尿さえ持って行けば愛犬の負担なくできる検査ですので、定期的に尿検査をしてもらうこともおすすめです。

早期発見方法や血尿の予防法なども参考に、愛犬の健康を守るようにしてくださいね!

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ABOUTこの記事をかいた人

後藤大介

岐阜大学農学部・獣医学科(現応用生物科学部・共同獣医学科 ) 卒業。大阪・北海道の動物病院に勤務し、2018年、岐阜市にアイビーペットクリニックを開業。生まれ育った地元で、ペットと家族の幸せのためのお手伝いをしたいと考えています。病気の治療だけでなく、ペットの健康のための情報発信や、地域の飼い主さん同士が交流できるような動物病院を目指しています。