2017年7月28日更新

宇宙に行った世界初の哺乳類は犬だった!ライカ犬の悲しいお話を知っていますか?

長谷川真理恵



JKC A級トリマー、JKC C級ハンドラー

グルーミングスクールに4年通い、JKC A級トリマーライセンス、JKC C級ハンドラーライセンスを取得。フリーのトリマーとして働く傍ら、在学中にモデル犬として迎えたトイプードルのチャンピオン完成をきっかけに繁殖学・遺伝学を学び、ドイツやイギリスのブリーディングスタイルをモデルとして極少数頭のみのブリーディングを手掛ける。主人の海外赴任に伴い愛犬とともにドイツへ越した後、現在はベルギー在住。日本とは大きく異なるヨーロッパにおける"犬とは"を日々体感中。

 

あなたは初めて宇宙へ飛んだ生物は何か、知っていますか?

宇宙旅行に行ける日も夢ではないほどに発展した現代の宇宙開発技術。
その立役者として一番初めに宇宙へと飛び立った生物は、実は犬でした。
その名もクドリャフカ。
ライカ犬という呼び名の方が有名でしょうか?
今回はその悲しいお話をご紹介します。

 

なぜ多くの生物の中で犬が選ばれたのか?

1940年代、ソ連の宇宙開発では生物を宇宙へと送り出すための研究と実験が進められていました。
ロケットで宇宙に生物を送る上で起きる影響、その実験を行う上でどんな生物が最適か?が検討されます。

そこで精神的、肉体的影響を認識するために最適と挙げられたのが犬と猿でした。
しかし猿は病気にかかりやすく、センサーなどを外してしまう懸念、訓練のしやすさや飢えへの強さ、そして見栄えのよさから犬に決定されたのでした。

なぜライカだったのか?選ばれる犬の条件とは


犬に決定したところでどんな犬でも良かったわけではありません。

当時のロケットに乗れるような小さな犬。
映写機ではっきりと見える明るい犬。
実験に耐えうる耐久力。
訓練しやすい従順さ。
排泄の姿勢や着せるスーツの問題からメス。

これらの条件に合う犬を、捕まえてきた野良犬から9頭選抜し、初期の実験メンバーとなったのです。

 

ライカが乗ったカプセルはどんなもの?

初の宇宙への生物飛行の前にも何度か犬を乗せて高度100kmまで打ち上げる実験は行われてきました。
高度に達するとケージが切り離されパラシュートで降りてくるというものでしたが、着地の衝撃で怪我をしたり、パラシュートの不具合でそのまま落下し犬が亡くなるということもあったようです。

ライカが入ったのは身動きの出来ない小さなカプセルでした。
1週間程度の酸素供給装置、8日程度分のゼリー状の餌、様々なデータ測定器を搭載したカプセルで、気密服を着てチェーンで固定され、立ったり座ったりと餌を食べられる程度の空間に耐えられるよう、訓練が繰り返されました。
その他にも音や揺れ、温度や圧力の変化に耐えられるような訓練・実験も行われたといいます。

様々な訓練に適応し、最終的に選ばれたのがクドリャフカ(ライカ)でした。
ちなみにクドリャフカは「小さな巻き毛」、ライカは「吠えっこ」という意味なのだそうです。

そして宇宙へ飛び立つ日


そんな実験を幾度か繰り返し、ついに初めて生物が宇宙へと打ち上げられる日がやってきます。

ライカは心電図や血圧、動きを測る装置、トイレ用の袋が取り付けられ、カプセルに入れられた3日後、ついに宇宙へと送り出されます。
宇宙ロケットが発射された後、予定通りに軌道に乗りライカの生存も確認、生物が生きたまま宇宙へ行ったというニュースは瞬く間に世界の関心を集めます。

そのままロケットは地球を1周、その際のデータではライカの生存が確認されていました。
しかし3周したところのデータではカプセル内の温度が40度に…。
センサーからライカが狭い中で精一杯動いていることが分かりました。
暑さの中でなんとか出ようとパニックになったのでしょう。

そして4周して戻ってきたロケットのデータはライカの死を示していました。
打ち上げから5時間ほどの飛行でした。

そもそも片道切符だった

予定外の温度上昇により命を奪われてしまったライカですが、この実験はそもそも生きて帰るということを想定していないものでした。
当時の宇宙開発技術では宇宙から帰還する技術は開発されておらず、ライカにとって最初から特攻の片道切符、生きて帰ることはできないものだったのです。

宇宙への生物の到達に世界が驚き期待を寄せる一方で、その非常な実験内容は世界中から非難を浴び、皮肉にも今も尚ライカは伝説の犬として語り継がれることとなったのです。

ライカのその後

不幸にも実験の中で命を落としたライカ。
それから5ヶ月後、アメリカで落ちていく明るい光が観測されます。
それはライカを乗せたロケットの残骸でした。

その悲しい運命から、様々な映画や小説、歌、切手などにライカは登場し、後々まで語り継がれる存在となりました。

多くの犠牲の元に今がある


今となっては人間が宇宙に行き、生きて帰ってくる、そんな時代になりました。
そこには間違いなく、ライカやその他の実験に関わってきた犬たちの功績が大きく影響していることでしょう。
また私たちが日頃お世話になっている薬、化粧品なども未だ多くの動物実験が繰り返されているものもあります。

動物たちの犠牲なくしてはここまで発展していなかったのでしょうし、日々動物の命を頂くことで生きています。
一概に何が良い、何がいけないと語れるものではありませんが、ライカのお話であなたは何を感じたでしょうか?

 
 

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