2017年8月9日更新

犬のワクチンっていったい何?毎年接種が必要?【獣医師が解説】

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ワクチンとは感染症の予防接種に使用する薬のことを言います。細菌やウイルスが感染すると体内に病原体に対する抗体が作られます。この原理を応用したのが予防接種です。病原性を弱めたり、無毒化したワクチンを接種して体内に抗体を作らせ、実際に病原体が体内に入ってきたときに発症を予防したり、症状を軽度にすませることができます。

 

ワクチンを打つ目的

打つことが義務付けられてるのはなぜか?

狂犬病は犬だけの病気ではなく全ての哺乳類が感染し、治療方法がなくほぼ100%死亡するする伝染病です。狂犬病はラブドウイルスの感染が原因になる人獣共通感染症です。日本では1957年の猫での発症を最後に、現在狂犬病の発症の報告はありません。平成18年にフィリピンから帰国した人が狂犬病を発症し亡くなったという報告があります。しかし日本国内で狂犬病の動物に噛まれ発症し人が亡くなったという報告は1956年を最後にありません。
1920年代には年間3500件の発症がありましたが、1922年に家畜伝染病予防法が制定され、犬にワクチンの接種が義務付けら得ました。それからの10年間で年間数件の発生にまで激減しました。その後戦争が起こり予防がおろそかになると約1000件の発生が見られるようになりました。しかし、1950年に狂犬病予防法が施行され、犬に年2回のワクチン接種が義務付けられ、1956年に6頭の犬の発生を最後に狂犬病の発生はありません。
このように狂犬病予防接種の義務付けを行うことで、日本は狂犬病清浄国と呼ばれるようになりました。狂犬病の犬の発症を防ぐことで人の発症も防ぐことができるために狂犬病予防接種の義務付けは有効といえます。

ワクチンをなぜ打つのか?

細菌やウイルスなどの病原菌が体内に侵入すると、体内にとって異物なので体を守るために抗原抗体反応が起こります。
ワクチンは病原体の病原性を弱くした、もしくは無毒化したものです。この原理を利用したものがワクチンによる予防接種です。ワクチンを体内に入れると、体がワクチンを異物と認識し抗体が作られます。再度同じ病原体が体内に侵入すると抗体が産生され抗原と抗体が結合し毒性が中和され、病気を予防することができます。このようにワクチンはあらかじめ体内に抗体をつくり、病原菌が侵入したときに素早く対応し病気が発症しないように備えるために必要なものです。

ワクチンの種類

狂犬病のワクチン

狂犬病のワクチンは狂犬病を予防するためのワクチンです。
狂犬病予防法で生後90日以上の犬に1年に1度接種するように義務付けられています。

コアワクチン

コアワクチンは全ての犬が接種すべきとされるワクチンです。
犬ジステンパー、犬パルボウイルス感染症、犬伝染性肝炎、狂犬病がこれにあたります。

ノンコアワクチン

ノンコアワクチンは感染のリスクに応じて接種するワクチンです。
犬パラインフルエンザウイルス、コロナウイルス、レプトスピラがこれにあたります。

 

不活性ワクチンと生ワクチンの違い

不活性ワクチン

病原体の病原性をなくしたワクチンのことです。副反応が出にくいですが、抗体が持続しにくい面があります。

生ワクチン

病原体の病原性を弱くしたワクチンで病原性は残っています。副反応が出やすいですが、免疫力が強く持続します。

ワクチンを打つ場所?

ワクチンを打つのはどこがいい?

犬のワクチンの場合特に接種する部位は決まっていませんが、肩甲骨周辺や大腿部に接種することが多いです。
猫の場合は、白血病ワクチンを接種する場合(白血病のみ、4種・5種・7種混合ワクチン)は大腿部に接種し、1年ごとに接種する肢を変える方がよいとされています。白血病ワクチンはワクチン関連肉腫という腫瘍を引き起こす場合があるので切除が容易な大腿部に接種することを推奨されています。

打つ前に確認

ワクチンを打つ時期?

初年度のワクチンは3回接種します。1回目は8-9週齢、2回目は1回目の3~4週間後、3回目は2回目の3~4週間後に接種を行うことを推奨します。2年目からは1年に1回の接種になります。

ワクチンを打つ前の体調

ワクチン接種は健康状態のよいときに接種するのが大切です。食欲がない、元気がない、下痢嘔吐があるなどの場合は予防接種は見送りましょう。

混合ワクチンの種類を決めよう

接種する混合ワクチンの種類は、犬の生活スタイルによって決めます。
周りに田・畑・山・川など自然が多かったり、自然から離れていても野生動物が生活する場所が近ければレプトスピラが入っているワクチンを勧めます。レプトスピラのみのワクチンもありますが、7種混合ワクチン以上にはレプトスピラが入っています。
家の中での生活がメインで散歩にもほぼ行かない場合、自然から離れていて野生動物が出ない地域の場合はレプトスピラが入っていない6種混合ワクチン以下でよいでしょう。
旅行で他地域に行く場合はレプトスピラが入っているものをやはりお勧めします。
年齢や体調にもよりますので接種前には獣医師とよく相談してください。

獣医さんに事前の連絡をする。

動物病院にもよりますが、予防接種は予約制になっている場合があります。前もって動物病院に連絡しましょう。また、過去のワクチン接種歴がわかるものを持参すると間違いがなくスムーズに接種できます。また、ワクチンの副反応が出たことがあれば、いつ・どのような状態であったかを接種前に伝えるようにしてください。予防接種後は運動・シャンプーや散歩などは控え案誠意にすごすようにしてください。また、飼主様が犬の様子を見ることができる日に予防接種は受けるようにしましょう。接種後、思わぬ副反応が起こることもありますので
午前中に予防接種を受け、その後体調が悪くなった場合は動物病院を受診できるようなスケジュールで行いましょう。
都道府県にもよりますが、狂犬病予防接種は公園や公民館、市役所で集合接種を行う場合があります。日付や時間が決まっていますので、広報誌やお知らせのはがきなどをよく確認しましょう。

ワクチンの打った後

過ごし方

ワクチンを打った後は安静に過ごします。激しい運動や散歩をしないことはもちろんですが、シャンプーもやめましょう。

副作用の注意点

副作用が起こると、次のような症状が起こります。

  • 触ると痛がったり、怒ったりする
  • じっとしたまま動かない
  • ぶるぶる震える
  • 熱が出る
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 倒れる(アナフィラキシーショック)

アナフィラキシーショックとは、発症後、極めて短い時間のうちに全身性にアレルギー症状が出る反応です。処置が遅れると命にかかわります。

ワクチン期間

ワクチンの期間ってどれくらい?

  • 狂犬病: 1年に1回の接種が義務付けられています。
  • コアワクチン: 1年に1回の接種ですが任意です。
  • ノンコアワクチン: 伝染病の発生の程度によるとされますが、1年に1回の接種を行う場合が多いです。

ワクチンが遅れてしまった

ワクチンの抗体がどの程度の期間持続するかは個体差があります。遅れても3~4ヶ月以内には接種するほうがよいでしょう。遅れすぎると抗体価が下がり病原体から体を守ることが難しくなります。

ワクチンの効果

ワクチンは体内に抗体を作り、病原体(抗原)が体内に侵入してきたときに抗体が働きます。この抗体が全ての抗原と結合すると発病に至らない可能性があがりますが、そのようにならない可能性もあります。発症しない場合、症状が軽くなる場合など病気の予防に役立ちますがワクチンを接種すれば100%発病しないわけではありません。

ワクチンの必要性とは?


ワクチンについては賛否両論があります。ワクチンを接種することで体内に抗体を作り、病原体が体内に侵入することで病原体に負けないように準備をします。もしも、体内に抗体がない場合、病原体が侵入してきても病原体に対して対応が遅くなり体が病気に負けてしまい、体調がどんどん悪化します。ワクチンは体を病気から守るために必要なものなので定期的に接種していきましょう。

 
 

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